今日の東京新聞

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本音のコラム「不正に怒らぬ有権者」三木義一

本音のコラム「不正に怒らぬ有権者」三木義一/21面

 安倍首相が病気を理由に辞任を表明した。決して、彼が種々関与した不正に対する国民の怒りが爆発して辞任に追い込まれたわけではない。
 世論調査では早く辞めすぎたと言うのが10%以上もいる。内閣支持率が30%以上もあり、なお与党に投票するという人が4割以上いる。「悪夢」を見ているような恐ろしい数字だ。権力を握った者が不正をしないように監視し、公約を実現するように見守るのが、民主主義社会の有権者のはずだが、イデオロギーやスローガンさえよければ、権力を不正に行使しても許し、もしくはその不正を指摘する者を非難し、スローガンに酔いしれる選挙民。
 彼らからすると、安倍首相は国民のために一所懸命努力したために病気になった可哀想(かわいそう)な首相のようだ。だから、こんなに頑張った人に『お疲れ様』の一言も言わないマスコミを批判する。そのマスコミも辞めた首相をもう追わず、首相在任中の不正は闇から闇へ消され、不正に関与した官僚達は無事出世し、反省する機会もないだろう。
 こういう人たちがなんの反省もなく、また次のリーダーを選ぶ。公正な人物が選ばれる余地などなさそうだ。
 国民が主権者として自らの政府を作ることができるようになってからもう74年。いまだに気づかぬ有権者達。政府の真逆が府政(ふせい)であることを。(みき・よしかず/青学大名誉教授) 
 注:「府政」は、ここでは「政府本来の政治」の意味か。

<ブログコメント>8月29日の「安倍首相退陣」記事の付録5です。これで終わります。

本音のコラム「続・安倍政権」斎藤美奈子

本音のコラム「続・安倍政権」斎藤美奈子/25面

 2007年9月、第一次安倍晋三政権が退陣したときには、のどに刺さった小骨がとれたような解放感があった。そんな気分に今度はなれない。なぜなのだろう。
 ひとつは、小骨がのどに残した傷があまりに深くて大きいことだ。
 特定秘密保護法、安保法、共謀罪を含む改正組織犯罪処罰法など、反対の声が多かった法律を強引に通したうえに、政権の後半はスキャンダルの嵐だった。
 もうひとつは「次期政権」の問題である。
 もっか「ポスト安倍」に最有力候補は安倍政権の立役者たる菅義偉官房長官。いわばA級戦犯だ。次にできるのはつまり「続・安倍政権」で、自浄作用は望めない。ところがメディアは「じつはこんなに親しみやすい苦労人」というゴマすりキャンペーンをもうはじめている。忖度(そんたく)報道を続けてきたことへの反省はないってことだ。
 「まったく問題ない」「そうした指摘にはあたらない」「仮定の質問には答えられない」「コメントは差し控えたい」。こんな調子で「続・安倍政権」もいくのだろうか。だとすれば不人気で短命に終わるのは必至。次の総選挙後に本命登場となる公算が大きい。
 安倍政権を「史上最悪だった」と評する人もいるけど、判断はまだ早い。次なのか、次の次なのか。「続・最悪」がないという保証はないのである。(さいとう・みなこ/文芸評論家)

<ブログコメント>8月29日の「安倍首相退陣」記事の付録4です。

本音のコラム「壮大なゼロの記録」鎌田慧

本音のコラム「壮大なゼロの記録」鎌田慧/23面

 安倍首相はジコチュウの代表である。退任記者会見で森友、加計、サクラ問題などへの批判が強かったのは、政権の私物化批判だったのではないか、との質問に対して「政権の私物化はあってはならないことであり、私は政権を私物化したというつもりは全くないし私物化もしていない。まさに国家、国民のために全力を尽くしてきたつもりだ」。
 まず能書きをいい、それはないと否定し、美辞麗句を並べたてて反撃する。安倍話法である。
 今回も「全身全霊を傾けて」「痛恨の極み」「断腸の思い」。政治は言葉だが、彼の言葉は自己防衛か、「地球儀を俯瞰(ふかん)する」など、空疎な自己美化である。相手の心に届く言葉ではない。
 記憶に残るのは東京オリンピック招致のための欺瞞(ぎまん)語。「アンダーコントロール」。福島原発事故から9年半、まだコントロールできていない。「憲法改正の世論が十分に盛り上がらなかった」。7年8ヶ月かけても、最大の目標だった憲法改定を達成できなかった。
 安倍政治は小選挙区制を利用した公認権と資金で議員を支配、護送船団的官邸官僚と官僚支配の内閣人事局を駆使、憲法無視で突っ走ってきた。
 最後っ屁は「敵基地攻撃能力の保有」。専守防衛を破る発言をした直後、史上最長在位の記録を達成するや、あっさり敵前逃亡。言葉への責任感はない。(かまた・さとし/ルポライター

<ブログコメント>8月29日の「安倍首相退陣」記事の付録3です。

本音のコラム「差別への抑制を取り戻そう」宮子あずさ

本音のコラム「差別への抑制を取り戻そう」宮子あずさ/23面

 第二次安倍政権がようやく終わる。その感慨を深めてくれるような事件が、少し前にあった。
 訪問看護の仕事で、ある高齢男性と話した時のこと。部屋のテレビからコロナ関連の話題が流れた瞬間、暴言が始まった。「中国肺炎だよ。ウイルス兵器も造っている。中国を抑え込めるのはトランプと安倍さんだ。ふたりがいなくなったら世界は大変なことになる」。この後に続いた嫌中・嫌韓ヘイト発言は、とてもここには書けない。
 彼には強度の脳萎縮があり、生活能力はかなり低い。しかし、今目の前にいる彼は、普段とは明らかに違った。しっかりした口調で自説をまくし立てている。ヘイト発言ならばここまでできるのか。そう思うと、絶望的な気持ちになった。
 差別への抑制が緩んでいるのは、世界的な傾向である。米国のトランプ大統領はそのチャンピオン。安倍総理の感性も同様で、どちらも差別そのものを糾弾せず、それに声を上げる人に厳しい。
 このような権力者の心性は、人の心の闇を引き出し、分断を深めている。私たちは第二次安倍政権7年半余で緩んだこの抑制を、なんとか取り戻さねばならない。
 恐怖をあおり、恨みをかき立てるヘイト思考は単純でわかりやすい。どうすれば、差別への抑制を取り戻し、ヘイト発言をなくせるのか。高齢男性の顔を思い出しつつ考えている。(みやこ・あずさ/看護師)

<ブログコメント>8月29日の「安倍首相退陣」記事の付録2です。

本音のコラム「責任とって辞めてくれ」前川喜平

本音のコラム「責任とって辞めてくれ」前川喜平/21面

 僕がツイッターを始めたのは、第二次安倍政権発足の時だ。文部官僚として生きづらい時代を覚悟した僕は、本当の思いを吐き出す場がほしかった。名前は「右傾化を深く憂慮する一市民」
 政権が真っ先に行った朝鮮高校の無償化からの排除には深く落胆した。安全保障法制は明らかに違憲立法だった。僕は我慢がならず、国会正門前のデモに参加した。
 加計問題では、安倍氏の親友加計孝太郎氏のため、本来認可できない獣医学部が認可された。森友問題では、国有地の不当な安価での払い下げに関する決裁文書が改ざんされ、そのために赤城俊夫さんが亡くなった。安倍氏と親しい山口敬之氏は、伊藤詩織さんに性被害を与えたが、逮捕も起訴もされなかった。
 安倍氏がやると言ってやらなかったことは、拉致問題北方領土問題だけではない。希望出生率1.8、女性管理職3割、国内総生産(GDP)600兆円など。コロナ禍でも株価は下がらない。アベノミクスの破綻は明らかだ。嘘(うそ)を嘘で固めた国会答弁。プロンプターを読むだけの記者会見。辞めるなら説明してから辞めてくれ。辞めるなら責任とって辞めてくれ。
 安倍氏が辞めても専制的で欺瞞(ぎまん)的で無責任な政権体質は、負のレガシーとして残るだろう。このままでは「あべとともにさりぬ」というわけにはいかない。(まえかわ・きへい/現代教育行政研究会代表)

<ブログコメント>8月29日の「安倍首相退陣」記事の付録1です。

安倍首相 退陣

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<社説>「安倍政治」の転換こそ 2020.8.29/5面

 安倍晋三首相(自民党総裁)が辞意を表明した。持病の潰瘍性大腸炎の再発が理由だという。健康悪化が理由ならやむを得ない。憲法を軽んじる「安倍政治」を転換する機会でもある。自民党は速やかに後継総裁を選び、山積する課題への対応に万全を期すべきだ。
 首相はきのう午後五時からの記者会見で「8月上旬に潰瘍性大腸炎の再発が確認された。国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、首相の地位にあり続けるべきではないと判断した」と述べた。
◆任期途中2度目の辞任
 2012年12月に政権復帰した首相は昨年11月、第一次内閣と合わせた「通算」在職日数が憲政史上最長となり、今月24日には、第二次内閣以降の「連続」在職日数も大叔父の佐藤栄作首相の2798日を超え、史上最長を更新したばかりだった。
 党総裁としての任期は来年9月まであり、首相としては新型コロナウイルス対策に取り組み、来年に延期された東京五輪パラリンピック開催を花道に、退く道筋を描いていたに違いない。
 首相自ら「アベノミクス」と呼んだ経済再生策は新型コロナの影響もあって国民の実感に乏しい。「戦後外交の総決算」とした北方領土返還や北朝鮮による拉致問題も前進がない。第一次内閣に続く道半ばでの病気退陣に首相は「痛恨の極み」と述べた。
 とはいえ首相交代は第二次内閣以降の「安倍政治」を転換する機会でもある。
 首相はこの7年8カ月間に特定秘密保護法カジノ解禁法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法など、国論を二分する法律を、野党や国民の反対を押し切って次々と成立させてきた。
 歴代内閣が違憲としてきた「集団的自衛権の行使」を、一内閣の判断で一転容認し、他国同士の戦争への参加を可能にする安全保障関連法の成立も強行した。
憲法軽視の「一強政権」
 さらに憲法53条に基づく臨時国会の召集要求も拒否してきた。15年は召集せず、17年は要求を3カ月以上放置し、召集日に衆院を解散した。新型コロナや豪雨への国会対応が求められる今年も召集を拒否している。
 憲法を尊重し、擁護すべき立場にありながら改憲を主張し、現行憲法と誠実に向き合わない姿勢を見過ごすわけにはいかない。
 また、長期政権は「安倍一強」とも呼ばれる政治状況を生み、与党議員や官僚らの間に、首相ら政権中枢に過度に配慮する忖度(そんたく)をはびこらせた。
 格安での国有地売却が問題視された森友学園を巡る問題では、官僚機構のトップとして君臨してきた財務官僚が、公文書偽造に手を染めるにまで至った。
 首相と親密な関係にある加計学園の大学の獣医学部新設を巡る疑惑や、公的行事である「桜を見る会」の私物化問題も、一強に起因する弊害と言えるだろう。
 法務官僚の違法な賭けマージャンや、財務次官の女性記者セクハラ行為など「統治機構根腐れ」ともいえる深刻な状況も生んだ。
 後継首相は、こうした憲法を軽んじ、統治機構根腐れを生んだ「安倍政治」を、どう転換するのかも問われることになるだろう。<略>

首相退陣表明 「安倍政治」の転換こそ:東京新聞 TOKYO Web

 

<ブログコメント> 安倍首相の退陣表明、この日をもってこのブログを終了します。長らく、ありがとうございました。本当に「長らく」でした。ブログを始めた当初は、1年くらいでこの日が来る、と思っていたのですが。どうしてこんなにも長く、この異常な政権が続いてしまったのでしょうか。
 見栄っぱりで、平気でウソをつく首相。そのくせ窮地に陥ると、腰を低くして弱々しく振る舞う演技上手な首相。同情を集めてピンチを切り抜ける術(すべ)は、今回の辞任会見でも遺憾なく発揮されました。
 そういえば大叔父の佐藤栄作元首相は政界の歌舞伎役者、団十郎とも呼ばれた人物。一族の安倍首相にも、政界の歌舞伎役者としての素養は受け継がれていたようです。
 私たちは、見栄を切るのが好きな歌舞伎役者に、7年8ヶ月、騙されてきたのでしょうか。
 いえ、違うと思います。騙されてきたのではなく、私たちは威勢のいい歌舞伎役者に乗っかってきた。理由は簡単です。安倍首相に乗っかると、金回りがよくなったし、出世もできたからです。このことを忘れてしまうと、私たちはまた平気でウソをつく人を首相に選び、ウソで固めた政治に威勢の良さに乗っかって、それ行け行けどんどんとなってしまいます。
 しばらくすると、安倍政権の経済政策であった「アベノミクス」がいかにでたらめでひどかったか、ウソがばれてくるでしょう。
 病気理由で辞任を表明した安倍首相ですが、なぜか入院しませんでした。マスコミはそのことには触れず、早くも次の自民党総裁候補選び(報道)に熱心です。
 次の首相には、見栄が悪くてもいい、口上が下手でもいい。歌舞伎役者のように颯爽(さっそう)としなくてもいいから、ウソをつかない人、安倍疑惑(安倍のウソ)を解明する人になってほしいものです。

検察庁法案 今国会断念 定年延長反発受け

検察庁法案  今国会断念 定年延長反発受け  秋以降の成立目指す/1面

 政府・与党は18日、検察官の定年を政府の判断で延長できるようにする検察庁法改正案の今国会成立を断念した。検察人事に政治が介入しかねない事態に、著名人や検察OBらが相次ぎ抗議の意思を表明。世論の批判が高まる中で早期採決を強行すれば、政権に深刻な打撃を与えると、安倍晋三首相が自ら判断した。与野党は、国家公務員法改正案なども含め計10本からなる一括法案を継続審議とすることで合意。政府・与党は、秋にも開かれる臨時国会で改めて成立を目指す考え。 (井上峻輔)
 <略>

うねる民意 首相追い込む
 政府が18日に検察庁法改正案の今国会成立を断念したのは、世論の怒りや反発が想定以上だったためだ。与党内でも新型コロナウイルスの感染が収束しない中での採決強行に疑問が広がった。正面突破による政権運営への打撃を避けるため、先送りに追い込まれた。
 「一人の声が政治を動かすことが証明された。あなたの声が政治を動かすと言いたい」。立憲民主党安住淳国対委員長はそう語った。
 「政治を動かす声」は、改正案が実質審議入りした8日夜に30代女性がツイッターに投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ(検索目印)付きの書き込み。コロナ対策に集中すべき時に法案を通そうとする政府・与党に批判の声が多く集まり、会員制交流サイト(SNS)を使った「ネット・デモ」の様相となった。
 政府は当初「声」を軽んじた。政権幹部は「意図的」な動きだと指摘。首相周辺も「特定秘密保護法や安全保障関連法のように(国会周辺に)人はいない」と語った。感染症対策に関心が集まり、改正案は強い反対を受けないとの判断もあった。
 <略>

東京新聞:<#ウォッチ 検察庁法改正案>検察庁法案 今国会断念 定年延長反発受け 秋以降の成立目指す:政治(TOKYO Web)