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籠池夫妻 10カ月ぶり保釈

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籠池夫妻 10カ月ぶり保釈/27面

 学校法人「森友学園」による補助金詐欺事件で、詐欺罪などで起訴された前理事長の籠池泰典(かごいけやすのり/65)、妻の諄子(じゅんこ/61)両被告が25日、勾留先の大阪拘置所から保釈された。昨年7月末、大阪地検特捜部に逮捕されて以降、10力月近く勾留されていた。両被告は大阪市内で記者会見に臨み、「国策勾留であると認識している。家内については全くの冤罪(えんざい)だ」と検察を批判した。(山田雄之)

 会見で籠池被告は、安倍晋三首相に対して「為政者は本当のことを言うべきだ。正々堂々と伝達、報告するものだ」と指摘。また安倍首相の妻で、学園が開設を目指した小学校の名誉校長だった昭恵氏については「本当のことをしっかり伝えていただいたらいいのではないか」と述べた。
 学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざんについては「国民のサーバント(奉仕者)である国家公務員がすべきことではない。国民に対する背信だ」と批判した。
 国会の証人喚問などで見せた「籠池節」は健在で、小学校建設についても「いまだ諦めていない。吉田松陰先生の志を持って進んでいきたい」と語った。
 初公判で起訴内容を認めるかどうかは「まだ言えない」と明言しなかった。
 大阪地検特捜部は、学園が大阪府豊中市の国有地で開校を目指した小学校建設を巡り、国の補助金約5600万円を詐取したとして両被告を起訴。大阪府大阪市補助金計約1億2000万円をだまし取ったなどとして追起訴した。
 昨年11月の保釈請求が却下され、今月に再度請求していた。大阪地裁は23日に保釈を決定、検察側の準抗告も25日に退けた。保釈保証金は籠池被告が800万円、諄子被告が700万円。
 大阪拘置所前にはこの日、100人を超す報道陣が詰め掛けた。両被告が姿を現したのは、午後5時20分すぎ。籠池被告は右手を上げ、外で待っていた弁護士に軽く会釈をした。諄子被告は拘置所の建物を振り返って深々と頭を下げ、無言で迎えの車に乗り込んだ。

私の東京物語1 「あっちが東京」 クミコ

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私の東京物語1「あっちが東京」クミコ/30面

 荒川の土手に立つと、こっちが埼玉の川口、あっちが東京の赤羽。大きな橋を車と電車が走り、2つの街を繋(つな)いでいる。赤羽には、「セキネ」というシューマイの店があり、そこに家族3人で行くことが子供の頃の、何よりの楽しみだった。
 数年前、歌のキャンペーンに行くと、その差し入れをいただいた。「ああ、これこれ」。変わらぬうまさに目が覚めた。店自体がもうないのではと危惧していただけに、よけいにうまさが沁(し)みた。自分の大切な子供時代が、きちんと証明された気がした。
 赤羽から池袋へ。ちょっとおめかしをすると、西武デパートに出かけた。当時の池袋駅には、いつも数人の傷痍(しょうい)軍人が座っていた。この人たちを見るたびに、胸のあたりがもやもやと苦しくなる。怖くてしかたがない。吸い寄せられるように見つめる私に、手を繋いだ母親が言った。「ダメよ、そんなに見ちゃ」
 まだまだ戦争のにおいが、そこいらに残っていた。キレイとキタナイが一緒くただった。色付きの街ではなく、モノクロームの街、混沌(こんとん)のマグマが行き場を探しているような街。それが東京だった。
 赤羽も池袋も、今ではすっかり変わってしまった。時々無性に行きたくなるのは、きっと、そこに若い両親と子供の私がいるからだろう。

 クミコ/1954年、水戸市生まれ、埼玉県育ち。歌手。82年、銀座の「銀巴里」でシャンソン歌手としてプロ活動をスタート。2010年「INORI~祈り~」で第61回NHK紅白歌合戦に初出場。

森友交渉記録950ページ 財務省公表

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森友交渉記録950ページ 財務省公表/1面

佐川氏答弁に合わせ廃棄 理財局職員の指示認める
 財務省は23日、「残っていない」と説明してきた学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る交渉記録を国会に提出するとともに、問題が発覚した直後の昨年2月下旬以降、同省理財局職員の指示で廃棄していたことを明らかにした。記録には安倍晋三首相の妻、昭恵氏の取引関与をうかがわせる記載もあった。昨年2月に安倍首相が「妻が関与していたら首相を辞める」とした国会答弁の直後に、決裁文書の改ざんと並行して、昭恵氏の関与を隠そうとしたことになり、財務省の隠蔽(いんぺい)体質が鮮明になった。(桐山純平、白山泉)=有力者の名何人も2面、主なやりとり7面、影響色濃く浮かぶ26面、社説5面

 大阪地検の協力などで復元した交渉記録は約950ページで、217件に上る。財務省職員が「手控え」として個人のパソコンなどに保管していた。
 交渉記録には、昭恵氏付きの政府職員だった谷査恵子氏が2015年11月、森友側による国有地の賃料減額の優遇制度について財務省に問い合わせた、と記されている。安倍首相はこれまで谷氏の問い合わせを「自発的」と説明してきたが、記録には「優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、問い合わせた」との記載があった。
 森友問題が発覚後の昨年2月17日の衆院予算委員会で、安倍首相は「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と強調。野党は追及を続けたが、同月24日、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官(当時は理財局長)は衆院予算委で「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と述べた。
 財務省は23日、文書改ざんと同様、佐川氏の答弁とつじつまを合わせるのが交渉記録を廃棄した理由だと説明した。野党は合同会合で「誰の指示で廃棄したのか」と財務省を追及。理財局の富山一成次長は「それは人事当局の調査で」と明言しなかったが、同省は今月中にも、文書改ざんや交渉記録の廃棄が行われた原因や責任に関する調査結果を公表する。
 財務省は交渉記録のほか、森友学園に関する改ざん前の決裁文書全文(約3000ページ)と、「本省相談メモ」とされる資料も提出した。

本音のコラム「反則の構造」斎藤美奈子

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本音のコラム「反則の構造」斎藤美奈子/23面

 ①監督が全体的な方針や方向性を示し、②コーチが「相手のクオーターバックを1プレー目でつぶせ」などの具体的な指示を出し、③他の選択肢がないところまで追い詰められた選手が、悩みながらも「つぶしにいくから(試合で)使ってください」と申し出る。
 悪質なタックルに及んだ日大アメフット選手の会見は、旧日本軍の上官と兵士の関係を連想させるものだった。いや、日本の組織にはいまもこのような命令系統、役割分担で動いているところが多々あるのではないか。
 財務省での決裁文書の改ざんも、防衛省での日報の隠蔽(いんぺい)も、森友問題や加計(かけ)問題にも同様の三段構えの構造を感じる。
 森友学園への国有地売却問題で、文書の改ざんに関与した近畿財務局の職員は、自殺に追い込まれた。彼の立場は③の選手に重なる。しかし、虚偽公文書作成の疑いで刑事告発された、②のコーチに当たる佐川前国税庁長官は不起訴になり、さらに①の監督に相当する財務大臣や総理大臣は権力の座に座り続ける。
 不祥事が発覚したと見るや、責任を現場に押しつけ、自分は命令していないと主張する最高責任者。上を慮(おもんばか)って下を守ろうとしない中間管理職。省庁も大学も同じなのだろうか。日大選手の会見は、追い詰められた兵士の立場と心情を図らずもあぶり出した。真実を語った彼の勇気を見習いたい。(さいとうみなこ/文芸評論家)

首相「獣医大学いいね」 加計理事長と15年2月面会

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首相「獣医大学いいね」加計理事長と15年2月面会/1面

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、安倍晋三首相が加計孝太郎・学園理事長と2015年2月に面会した際、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と述べていたことが、愛媛県が作成した文書に記録されていたことが分かった。文書によると、柳瀬氏は、首相と加計氏の面会を受け、同年4月に学園関係者らと面会するなど、学部開設に向けた動きを活発化させていた。(中沢誠)=野党「うその二乗三乗」2面、要旨7面、加計氏直談判27面

愛媛県が新文書 虚偽答弁の疑い
 県は21日、これらの記録を含め獣医学部開設に関する新たな文書を参院予算委員会に提出。本紙も文書を入手した。
 文書が事実なら、首相は15年4月2日以前に学部開設計画を知っていただけでなく、首相の意向が開設のプロセスに影響を与えていた可能性が出てきた。これまで一貫して「学園の計画を知ったのは17年1月20日」と主張してきた首相の答弁と食い違い、答弁が虚偽だったとの批判が高まるのは必至だ。
 県が新たに提出した文書によると、学園は15年3月の県との打ち合わせで、同年2月25日に加計氏が首相と15分程度面会したことを報告。加計氏は愛媛県今治市に設置予定の獣医学部で国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明し、首相から「新しい獣医大学の考えはいいね」と評価するコメントがあったと伝えていた。
 15年3月の今治市との打ち合わせの文書には、学園からの報告として「安倍総理加計学園理事長が先日会食した際に、獣医師養成系大学の設置について地元の動きが鈍いとの話が出た」という記述もあった。
 一連の文書からは、柳瀬氏が15年2月の首相と加計氏との面会後、獣医学部開設に動いていたことがうかがえる。
 文書によると、「学園理事長と総理との面会を受け、(柳瀬)秘書官から資料提出の指示あり」として、学園側は15年3月24日に柳瀬氏と官邸で面会。柳瀬氏が学園に対し、獣医師会の反対を乗り越えるため地方創生特区(国家戦略特区)の活用を指示し、担当する藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)に相談するよう持ち掛けたという。
 今月13日の衆参両院の予算委員会て野党議員の追及に、柳瀬氏は「首相に報告したことも、指示を受けたことも一切ない」と答弁。安倍首相も14日の国会審議で、柳瀬氏から「報告を受けていない」とし、「誰一人として私から何らの指示も受けていないことが明らかになっている」と自身の関与も否定している。
 この日、県が参院予算委に提出したのは、柳瀬氏との面会に関連し、 15年2~4月に作成した文書27枚と回答書など2枚。同委が県と今治市に面会記録の提出を求めていた。今治市は情報公開条例を理由に柳瀬氏との面会記録の提出を拒んでいる。
 加計学園は「理事長が2015年2月に総理と会ったことはない」とコメントした。

是枝監督カンヌ最高賞 「作る覚悟 また新たに」

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カンヌ最高賞受賞 是枝監督「作る覚悟 また新たに」/24面

 【カンヌ=共同】「今年のパルムドールはコレエダ…」。審査員長の女優ケイト・ブランシェットさんが、「万引き家族」の是枝裕和監督の名前を読み始めると、会場は拍手と歓声に包まれた。19日夜(日本時間20日未明)に開かれたカンヌ国際映画祭の授賞式。壇上でブランシェットさんから最高賞パルムドールのトロフィーを受け取った是枝監督は、感激のあまり「うわぁ」と声を漏らした。=是枝監督カンヌ最高賞1面

「すごく重い」感激の笑顔
 「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。この映画祭に参加していつも思いますが、映画を作り続けていく勇気をもらいます」と喜びを語り、穏やかに言葉を継いだ。「今回頂いた勇気と希望を、一足先に日本へ戻ったスタッフとキャストや、これから映画を作り、ここを目指す若い映画の作り手たちと分かち合いたい」
 続いて行われた記者会見でも、各国の記者から「おめでとう」と拍手で迎えられた。「日本の家族に特有の個性を描こうとしているのか」との質問に、日本的とは意識していないとし「ただ、今の日本社会の中で隅に追いやられ、見過ごしてしまうかもしれない家族の姿をどう可視化するかは考えます」と答えた。
 最高賞に決まった瞬間、少しうつむき加減で、信じられないというような表情を浮かべた是枝監督。発表を待つ間の心情については「(賞の)発表順が分からず、気が付くと、(最高賞に次ぐ)グランプリとパルムドールしか残っていなかった」と振り返った。
 タキシード姿でトロフィーを持ちながらの取材対応。「すごく重いんですよ。腕がかちかち」と笑顔を見せつつも「別の意味でもこれを頂くのは本当に重たい。これをもらった監督として恥ずかしくないものを作らなければならないという覚悟を、また新たにしています」と語った。

秘密抱えた「家族」描く 脚本・編集も担当
 「万引き家族」は、都会の片隅の平屋でひっそりと暮らす ″家族″ の物語。是枝監督が脚本や編集も手掛けた。
 家の持ち主の祖母(樹木希林)の年金を頼りに、父(リリー・フランキー)と息子(城桧吏)が万引で日用品を補い、母(安藤サクラ)とその妹(松岡茉優) と共に、貧しいが仲むつまじく暮らしている。父が連れてきた幼い女の子(佐々木みゆ)を迎え入れ、娘として育てようとするが、やがてある事件が起き、家族それぞれの秘密や関係性が明らかになっていく。(共同)

「物言えぬ世 食い止めた」九条俳句訴訟

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「物言えぬ世 食い止めた」九条俳句訴訟/25面

 憲法9条について詠んだ俳句の掲載拒否を巡る訴訟で、1審判決に続き、掲載しなかったことの違法性を認めた18日の東京高裁判決。原告の女性(77)や、識者らは「思想や信条によって不公正な取り扱いは許されないと認めた意義ある判決」などと評価した。 (山田祐一郎)=1面参照

原告、改めて掲載訴え
 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した弁護団の久保田和志弁護士は「市が市民活動に介入した点について、違法性を認めた」と指摘。「訴訟を通じて公正、中立を理由に市民の権利を制限することがいけないと主張してきたが、今回の判決も『正当化できない』と結論づけた」と述べた。
 会見後、女性は控訴審前の今年2月に98歳で死去した俳人金子兜太(とうた)さんに触れ、「(金子さんは)『物が言えなくなる世の中が戦争につながる』と言っていた。それを食い止めるような判決で良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 掲載拒否の問題は、本紙紙面で金子さんと作家のいとうせいこうさんの対談で取り上げられ、本紙「平和の俳句」(2015~17年)が始まるきっかけになった。
 女性は「判決では、掲載を命じなかったが、市側は当然、俳句を掲載するべきだ」と改めて訴えた。今後、市に俳句の掲載を要請する方針だという。
 政治的中立を理由に地方自治体が市民の活動を制限する動きについて、同様の事例が近年、全国で相次いでいる。武蔵野美術大学の志田陽子教授(憲法)は「判決には思想や信条によって不公正な取り扱いは許されないという強いメッセージが込められている」と指摘する。
 集団的自衛権の行使や安全保障関連法案を巡る議論が活発化した2015年前後は、同様の事例が多く発覚。 16年には神奈川県海老名市が、政権を批判する内容のプラカードを持って静止するパフォーマンスを禁止したが、横浜地裁は禁止命令の取り消しを命じた。 14年以降、市民団体が東京都国分寺市のまつりに参加を拒否されたケースでは、人権救済申し立てを受けた東京弁護士会が、まつりの実行委員会に対し拒否しないよう要望した。
 公民館など公の施設について、志田教授は「市民が集会や学習の場として活用し、政治的な意識を共有できる民主主義を育てる場だ」と説明。「公の施設が政治問題に神経質になっている中、明確に違法性を認めた。判決は今後、同様の事例を抑止するための指針になる」と期待する。