今日の東京新聞

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連載メメント・モリ 「穏やかな最期を施設で」

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穏やかな最期を施設で メメント・モリ  第7部「ひとりで逝く」/22面

 染川はつさん(95)が暮らす「ついのすみか」は、1階の突き当たりにある。手作りのパッチワークに彩られた24平方メートルの部屋には、小さな台所とベッド、座卓。毎朝5時半に起きると香をたき、「今日もお願いします」と手を合わせる。「1日がうまくいけば上等。時が来れば逝くんだから」
 愛知県尾西市の高齢者施設「せんねん村平口」。頼れる家族や親類もなく、友人にも先立たれた染川さんは「ここで最期を迎えよう」と決めている。
 同県豊橋市に生まれ、終戦直前の1945年8月、22歳で結婚した。だが、豊川海軍工廠(こうしょう)に勤めていた夫は挙式の翌日、空襲で亡くなった。、再婚しで1女をもうけたが、しゅうとめとの関係に悩み、30歳で娘を置いて家を出た。以来、調理師として働きながら独りで生きてきた。
 入所を決めたのは、日本が超高齢社会に差し掛かり、介護保険制度が始まった2000年の夏。一人暮らしだった友人の計報を聞いたのがきっかけだった。
 新聞がたまっていると通報を受けた役所の職員が室内に入った時、友人は事切れて1週間ほど過ぎていた。「扇風機の前で、ぞうきんを握りしめて倒れていたんだって」。遺体の腐敗が進み、染川さんは通夜での対面もかなわなかった。
 当時は77歳。6人きょうだいのうち、4人はすでに他界していた。末弟は音信不通で、唯一、連絡を取っていた長姉は関東の施設暮らしで頼れなかった。「自分も、孤独死してしまう」。不安に駆られていた時、翌年に開設を控えたせんねん村のちらしを役所で見た。
 茶飲み友達と話題にすると、「まだ早い」と言われた。「じゃあ、誰か私の面倒をみてくれるの」と聞き返すと、皆黙り込んだ。「施設のお世話になろう」。染川さんは、築5年ほどの一戸建てを引き払った。
 人生の最後をどこで迎えるか。病院での死亡が7割を超える現代。30~40年代には、40万人のベッドが足りなくなるとの予測もある。国は介護施設を含む住宅での看取(みと)りを増やす方針を打ち出している。
 そんな時代を見越すように、せんねん村は開設した01年から施設での看取りを実践してきた。入所後に亡くなった高齢者の8割近い約250人が、自室で最期を迎えた。
 <略>

逆境に負けぬ父が手本 二胡奏者 ウェイウェイ・ウーさん

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<家族のこと話そう> 逆境に負けぬ父が手本 二胡奏者  ウェイウェイ・ウーさん/22面

 父(79)は作曲家で、私の音楽の師でもあります。中国の江蘇省無錫(むしゃく)市に生まれ、祖父の商売で10代で上海へ。音楽が好きで、さまざまな楽器を習得し、当時の歌謡曲やミュージカルなどを手掛ける作曲家として活躍しました。
 父の20代後半は、文化大革命(1966~76年)の時代。文化人の父は工場で働かされ、大変な思いをしたようです。工場の曲を作れと言われ、みんなが楽しく働けるようワルツを作曲したら、資本主義的と批判されたり、いじめられたり。母(76)はそんな父と工場で出会い、父を守ってあげたいと思ったそうです。私のオリジナル曲「ラバーズ・イン・レッド」(赤い時代の恋人)は、両親を思って作りました。
 父は家でもいろんな楽器を演奏し、5歳だった私はバイオリンの音色のとりこになりました。当時は西洋の楽器として禁じられ、売っている店はありませんでした。どうしても弾きたがった私に、父と父の友人が手作りしてくれました。それが私にとって、人生最初の楽器。すごくうれしかったです。
 父は夜中に工場で働き、昼間は私の練習に付き添いました。家では厚みのある生地のカーテンを二重にしました。見つかって、刑務所に入る人もいたのです。うちは近所に恵まれ、みんな私がバイオリンを弾いているのを知っていましたが、密告する人はいませんでした。それでも文革が終わってしばらくは、いつまたダメと言われるか分からない不安があり、練習で最初に弾く曲も、必ず毛沢東をたたえる歌でした。
 このように逆境でも夢をあきらめないことは、父が教えてくれました。普段は無口ですが、今でも口癖は「人がやっていることをまねする必要はない。人がやっていないことを考えなさい」。私も来日して苦労しました。ダメと言われても、もしかしたら何か方法があるかも、と考えられたのは父のおかげです。 <略>

皇后さま平成最後の誕生日 女性の時代先駆けに

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皇后さま  平成最後の誕生日 女性の時代  先駆けに/26面

 皇后さまが平成で最後の誕生日を迎えられた。男女雇用機会均等法ができたのは昭和の終わり。平成はさまざまな分野に女性たちが進出した時代だ。平成を生きる女性たちにとって、皇后さまはどのような存在だったのか。各界の識者に聞いた。(荘加卓嗣、小松田健一)=1面参照

安心して見られる存在 作家 北原みのりさん(47)
 美智子さまは日本の女性に求められるものを背負い完璧に応えてきた。多くの人が天皇を「美智子さまの夫」としてみるぐらい、皇室では主役となった。
 ファミリーをつくる過程が、戦後の社会に希望と未来を見せ、過去の戦争にも真摯(しんし)に向き合おうとしてきた。「天皇制は全ての差別の根元」という言葉が、リアリティーを持たない時代になった。天皇制に批判的な人でも、美智子さまがされてきたことを認めざるを得ないのでは。
 私自身、美智子さまが好き。自分たちのロールモデルにはならないし、皇室に対する憧れもないけれど、世の中に尊敬される女性像が少ないから、安心して見ていられるということかもしれない。
 それでもかつて声を失ったことにどれだけ葛藤があり、女性として過酷な環境だったのかと考えさせられる。皇后という立場から解放された後、何を話されるか期待する。家族の中の立場が変わるわけではないから、引き続き気を抜けないのかもしれないが。

 <略>

「過ごした日々 深い感慨」  皇后さま84歳に/1面

 皇后さまは20日、84歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち宮内記者会の質問に文書で回答し、天皇陛下の退位を来年4月30日に控え「新憲法で定められた『象徴』のお立場をいかに生きるかを模索し続けるお姿を見上げつつ過ごした日々を、今深い感慨とともに思い起こしています」と、率直な心境を吐露した。<略>

東京新聞:皇后さま84歳に 「陛下との日々 深い感慨」:社会(TOKYO Web)

復興写真展 大田区「政治的」作品一部除外求める

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復興写真展 大田区「政治的」作品一部除外求める/26面

 東京都大田区の施設で開催予定の写真展で、区側が主催者に、作品の一部が「政治的」だとして展示を除外するよう求めていたことがわかった。フォトジャーナリストの豊田直巳さん(62)が福島県内で撮った原発事故被害を描く写真展で、豊田さんはすべての作品の展示を求めている。 (山田祐一郎)

 問題となったのは、26日から区立男女平等推進センター「エセナおおた」で始まる豊田さんの写真展「叫びと囁き フクシマの7年間~尊厳の記録と記憶」。約40点の展示を予定する。主催する市民団体「大田ネットワーク」によると、区は展示を許可する条件として、福島県双葉町の標語「原子力明るい未来のエネルギー」が書かれた看板の前で、防護服姿の2人が「撤去が復興?」などのパネルを持った作品を除くよう求めたという。
 施設を管理する区人権・男女平等推進課は、作品の展示を拒んだことを認め、「作品が若干、政治的だと感じた」と説明する。施設は利用条件で、展示できないものとして営利目的や政治活動、宗教活動を表現したものを定めているためという。
 豊田さんは「作品1点だけを取り上げて駄目だとする判断そのものが政治的で、表現の自由や文化を破壊する行為だ」と話し、区側の対応を批判。予定していた全作品の展示を求めてきた。本紙の取材に、同課の担当者は「今後直接、豊田さんの思いを確認した上で、すべての作品を展示できるようにしたい」との考えを明らかにした。<略>

政府、沖縄県に対抗措置 玉城氏「民意踏みにじる」

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政府、沖縄県に対抗措置 玉城氏「民意踏みにじる」/1面

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設に伴う新基地建設を巡り、防衛省沖縄防衛局は17日、辺野古沖の埋め立て承認を県が撤回したことに対抗措置を取った。岩屋毅防衛相が発表した。行政不服審査法に基づく不服審査請求に加え、撤回の効力停止を石井啓一国土交通相に申し立てた。沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は「知事選で示された民意を踏みにじるもので、到底認められない」と反発した。=対話路線はや転換2面、社説5面 

 玉城氏は政府との対話を求めていたが、安倍政権が対抗措置を講じたことで、国と県が再び法廷で争う可能性がある。
 岩屋氏は、9月末の知事選で示された民意を「真摯(しんし)に受け止めなければいけない」としながらも、抑止力維持と沖縄の負担軽減の必要性を挙げ「大きな目的を達成するために前に進めたい」と記者団に述べた。
 不服審査請求は同じ政府の国交相が審査するため、沖縄防衛局の申し立てを認める裁決を出す可能性が高い。効力停止の申し立ては今月中にも結論が出る見通しだ。認められれば、不服審査請求に対する裁決まで撤回の効力は失われる。
 玉城氏は県庁で記者団に「行政不服審査法は国民の権利救済が目的で、趣旨をねじ曲げた法治国家としてあるまじき行為だ」と批判した。効力停止に関しては「認められた場合、内閣の自作自演の極めて不当な決定だ」と語った。 <略>

東京新聞:政府、沖縄県に対抗措置 玉城氏「民意踏みにじる」:政治(TOKYO Web)

 

藤井七段 新人王 「優勝で卒業 うれしい」/1面

 将棋の最年少棋士藤井聡太7段(16)が17日、大阪市関西将棋会館であった第49期新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝3番勝負の第2局で、奨励会員の出口若武(わかむ)3段(23)に勝ち、2連勝で初優勝を果たした。藤井7段は2月の朝日杯将棋オープン戦に続き2度目の棋戦優勝。16歳2カ月での新人王は、森内俊之9段(48)の17歳0カ月を31年ぶりに更新する最年少記録となった。

 新人王戦は6段以下の若手棋士が対象の棋戦で、プロを目指す奨励会員も出場する。5月に7段昇段した藤井7 段は、2回目の出場となる今期が新人王のラストチャンスだった。藤井7段は「優勝という形で卒業できたのはとてもうれしい。これを機にさらなる活躍をしたい」と語った。
 出口3段は奨励会員ながら「プロ棋士を次々と破って決勝に進出。藤井7段が史上最年少でプロ入りを決めた伊昨年の奨励会3段リーグでも両者は対戦し、藤井7段が勝っているが、もし結果が逆なら出口3段の方がプロ入りしていたという ”因縁の相手” だった。
 この日の対局は、先手の藤井7段の得意戦法である「角換わり」の将棋を出口3段が受けて立った。藤井7段は終盤、相手の読みにない鋭い一手を放ち、一気に寄せきった。藤井7段にとって初の「番勝負」とあって対局場には60人以上の報道陣が集まった。(樋口薫、岡村淳司)

 

投稿ミラー「党方針より平和が大切」

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投稿ミラー「党方針より平和が大切」 自営業 竹沢 正雄(65)/5面

 先月末に行われた沖縄県知事選の結果は、玉城デニー氏の完勝と言っていいだろう。公明党山口那津男代表は選挙直後の記者会見で、翁長雄志前知事の弔い合戦が色濃く出た結果になった、と評していた。そうした心情面もあったが、それ以上に辺野古反対を強く願望する沖縄県民の心がはるかに勝っていたのだと思う。
 公明党は、前回の知事選では自主投票としたが、今回は与党として自民党と共に佐喜真淳氏を推薦した。しかし、公明党員や支持母体の創価学会員であるにもかかわらず、推薦に納得せず、玉城氏に票を投じた人たちも多かったようだ。それは当然のことと思う。まず、仮に佐喜真氏が当選した場合、辺野古基地建設を承認することは明々白々だからだ。
 公明党を支援する創価学会の思想・信念の究極は、生命の尊厳・恒久平和・人々の幸福にある。これが党の生命である。辺野古を安易に認めることは、この哲学を放棄することになってしまう。そして、国民の心に、沖縄県民の心に最大限耳を傾けることを立党精神としている公明党は、これを第一に考えず、政府自民党に加担することを優先してしまった。
 公明党支持者で、今回の公明党の方向・方針で絶望感に陥った人たちが全国に多数いることと思う。私もその一人である。
 普天間の移設先は辺野古しかないと一方的に決めつけて譲らない日本政府は、二度の知事選で沖縄県民が示した心のかけらも斟酌(しんしゃく)することはないだろう。その横暴な態度に怒りを感じない政党や、本土の国民は猛省すべきではないだろうか。


政府、沖縄県に対抗措置 辺野古承認撤回の効力停止を要求/2面

 政府は16日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設を巡り、辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回した県への対抗措置として、行政不服審査法に基づき17日にも国土交通相に対して審査を請求し、撤回の効力停止を申し立てる方針を固めた。政府関係者が明らかにした。知事選が終わり、国が具体的な対抗措置に出ることで、県側が反発を強めるのは必至だ。
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 政府は、2015年に県が埋め立て承認を取り消した際にも行政不服審査法に基づき国交相に審査請求と効力停止を申し立て、取り消しは無効とされた。ただ同法は「国民の権利救済」が目的とされ、「国民の権利救済制度の乱用だ」と批判を受けた経緯がある。

東京新聞:政府、沖縄県に対抗措置へ 辺野古承認撤回 効力停止を要求:政治(TOKYO Web)

筆洗 2018.10.16 「真田小僧」

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 落語の「真田小僧」に出てくる金ちゃんはずる賢い。こづかいをくれぬおとっつぁんにおっかさんの「秘密」を教えてやると持ちかけ、まず1銭、巻き上げる▼「おとっつぁんのいないときに白い服を着て色眼鏡をかけたキザな男が来た」「おっかさんが手を取って家に上げた」。おとっつぁんの気になるところで話を切ってはそのたびに「ここから先が聞きたきゃ、もう少し出しなよ」「ここから先を話すのは子どもとしてはとってもつらいんだ。もうちょっと…」。おとっつぁんは言われるがままにおあしを出してしまうが、結局、おっかさんのところに按摩(あんま)さんが来たというだけの話だった▼「真田小僧」にしてやられている気がしてならぬ。安倍首相は15日、消費税率を来年10月1日に現行の8%から10%へ引き上げる方針を正式に表明した。導入以来5%、8%と3度目の引き上げとなる▼「財政の危機だから」「社会保障制度を守るためだから」と言葉巧みに説得され、その度引き上げをがまんしてきたが、ついには10%である▼しかもこれで将来の社会保障制度は安泰かといえば、そんな話では毛頭なく、最近の政府税調では先細りしていく年金を背景に国民の「自助努力」を促す方針という▼消費税率を引き上げる上に、老後のことは自分でも何とかしなさいよでは無策と無責任さに真田小僧も顔を赤らめるだろう。

社説/消費増税表明 無駄遣いをまず止めよ/5面

 安倍晋三首相が来年10月からの消費税引き上げを表明し、大がかりな景気対策を指示した。しかし、増税する以上は徹底した無駄の排除、将来不安の払拭(ふっしょく)に努めなければ、国民の理解は得られまい。
 2度も消費税増税を先送りしたため、国民の間では3度目もあり得るのではと半信半疑だっただろう。実施まで1年を切っての表明は遅すぎたぐらいだ。
 計4年間も先延ばししたうえ、増税分の使途も財政再建に充てる分を幼児教育・保育の無償化に流用する。つまり消費税増税の根拠だった与野党の3党合意に基づく社会保障と税の一体改革は反古(ほご)にされてしまった。
 だが、国民に増税をたのむ以上は、政府は最低限国民に約束すべきものがある。第1に無駄遣いを徹底的になくすことだ。
 安倍政権は財政規律を失い、政府予算を膨張させてきた。典型的なのは2020年東京五輪パラリンピックの開催費用だ。国費は1500億円のはずが、すでに8000億円が計上されたと会計検査院が指摘した。
 五輪関連と銘打てば予算化が広く認められたためで、同じようなことが成長戦略をつくるたびに繰り返された。無駄の温床のようないいかげんな予算の使い方である。これでは国民は到底納得できるものではない。 <略>

東京新聞:消費増税表明 無駄遣いをまず止めよ:社説・コラム(TOKYO Web)