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本音のコラム 「ございません。」 斎藤美奈子

本音のコラム 「ございません。」 斎藤美奈子/25面

 モリカケサクラ、ヤジコロナ。赤子泣いても認めるな。そんな標語(ないし念仏)を唱えていそうな安倍晋三政権。
 イライラが募るなか、17日にはサクラ案件が動いた。衆院予算委員会での立憲民主党・辻本清美議員の質問である。辻本議員は2013年、14年、16年の桜を見る会・前夜祭が行われたANAインターコンチネンタルホテル東京との間で交わされた文書を紹介した。この7年間に開かれたパーティーや宴席に関する質問と回答は…。
 Q「貴ホテルが見積書や請求書を主催者側に発行しないケースは」
 A「ございません」
 Q「個人・団体を問わず、貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースは」
 A「ごぜいません」
 Q「ホテル主催ではないパーティー・宴会で、代金を参加者個人から、会費形式で貴ホテルが受け取ったことは」
 A「ございません」
 Q「以上について、主催者が政治家や政治家関連の団体であることから対応を変えたことは」
 A「ございません」
 辻本議員の追求もさすがだったが「ございません」の連打で首相答弁を否定したANAホテルの回答にもシビれた。曖昧な態度で逃げ切りを図ったホテルニューオータニとの差は歴然。これが正常な企業の姿だ。官邸の介入や妨害にも負けないで! (さいとう・みなこ/文芸評論家)


CIA主導で半世紀 米独、暗号機販売し解読

CIA主導で半世紀 米独、暗号機販売し解読/6面

 【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は11日、中央情報局(CIA)とドイツ情報機関が1960年代以降、日本など同盟国を含む120カ国以上や国連に暗号機を販売してきたスイスの会社を秘密裏に所有し、外交公電などの通信内容をひそかに解読していたと報じた。
 ドイツ公共テレビZDFとの共同調査報道。暗号機は一時、各国政府の外交公電や通信の約40%で使用されるほど流通し、現在も12カ国以上が使っているという。
 米政府は最近、通信網の安全性を巡り中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)などを批判しているが、米国自身が半世紀にわたり同盟国などに暗号機を販売してウィーン条約に違反する情報収集をしてきた実態が暴露され、波紋を広げそうだ。
 スイスの暗号機製造会社は「クリプトAG」。米国は60年に同社と契約を結び、70年ごろ米国と西ドイツの連邦情報局(BND)が共同で買収した。70年以降はCIAや国家安全保障局(NSA)が共同で作戦を実施していたという。
 同紙は50年代から2000年代に製品を購入した62カ国・機関が特定できたとしてリストを公表。日本やイタリア、トルコのほか国連も含まれていたが、米国と敵対してきたソ連(現ロシア)や中国、北朝鮮は購入していなかったとされる。
 イスラエルスウェーデン、スイス、英国が知っていたか情報を得ていた可能性があると指摘。同紙が入手したCIA文書は「外国の政府は少なくとも2カ国(場合によっては5、6カ国)に秘密の通信を読み取らせるため、米国とドイツに高額の支払いをした」と記していた。
 しかし、発覚した場合のリスクの大きさから東西統一後のドイツは93年に離脱。米国はドイツ側から株式を購入し所有を続け、解読を続けていたが2018年に売却した。

 <略。以上は東京新聞デジタル版記事。以下の追加は翌日の統合版記事から>

 米国はドイツ離脱後、暗号機販売で得た利益で第2、第3の会社を買収し、暗号分野の秘密企業を増やしている。

東京新聞:CIA主導で半世紀 米独、暗号機販売し解読 日本含む120カ国公電:国際(TOKYO Web)

 

マルチ商法勧誘に首相夫妻との桜写真

マルチ商法勧誘に首相夫妻との桜写真 業務停止命令の会社/1面

 悪質なマルチ商法だとして2017年に消費者庁から業務停止命令を受けた暗号資産(仮想通貨)販売会社「48(よつば)ホールディングス」(札幌市中央区)の役員が、「桜を見る会」に出席した際の写真が、組織的に会員勧誘に使われていたことが、関係者の話で分かった。前日に安倍晋三首相の後援会が東京都内で開いた「前夜祭」で、安倍首相夫妻と写った写真も会員間に出回っており、会員は「写真を見せると『すごいね』となり、信用してくれた」と話している。(石井紀代美)

 48社は、15年12月、新しい仮想通貨だとする「クローバーコイン」の販売を開始。購入した会員が新規会員を勧誘すると報酬が出るマルチ商法だった。「購入すれば1カ月半後には10倍に値上がりする」などとして会員数を伸ばし、17年7月時点で会員は約3万5000人だった。
 本紙の取材に応じた東海地方の女性会員によると、16年に上位会員が開いたセミナーで、48社役員(当時)の中田義弘氏が同年四月の「桜を見る会」で菅義偉官房長官と撮影した写真や、その前日に都内のホテルで行われた「前夜祭」で淡路明人同社社長(同)と安倍夫妻らが写ったものなど、複数の写真を見せられたという。
 女性会員は「政界にも人脈が広くてすごい人だと思った。上位会員からこうした写真をもらい、自分が勧誘する際にも使った。写真を見せると、相手の態度が全然違った」と語った。写真は上位会員から下位会員に拡散されていき、「勧誘効果は絶大だった」(別の会員)という。 <略>

東京新聞:マルチ商法勧誘に首相夫妻との桜写真 業務停止命令の会社 「効果絶大」と会員に拡散:社会(TOKYO Web)

 

本音のコラム 「検察人事の私物化」 前川喜平

本音のコラム 「検察人事の私物化」 前川喜平/25面

 国会で追及が続く桜を見る会の前夜祭。「主催」は後援会だが「契約」は参加者個人。5000円の価格やキャンセル料の扱いは事務所が「合意」したが「契約」ではない。明細書の宛名は「営業の秘密」だから明かさない。これらの答弁は全く合理性を欠き、安倍首相は説明不能の状態に追い詰められている。政治資金規正法違反と公職選挙法違反の疑いはいよいよ深まる。
 そんな中、黒川弘務東京高検検事長の定年延長が閣議決定された。次の検事総長に任命するためだと思われるが、検察庁法違反の疑いもある異例の人事だ。検察内部では林真琴名古屋高検検事長が次期検事総長の本命候補だという。僕は両氏とも知っているが、黒川氏は如才ない能吏、林氏は冷静な理論家という印象だ。安倍政権にはどうしても、官邸に近い黒川氏を検察トップに据えたい訳があるのだろう。
 同様の「異例の人事」は文科相でも起きた。藤原誠君は2018年3月末が官房長の定年だったが、異例の定年延長を受け、11月に事務次官に就任した。本命の小松親次郎文科審議官は退官した。藤原君は官邸に極めて近い人物、小松君は官邸と距離を置く人物だった。
 検察も教育行政も政治的中立性が不可欠な分野だ。検察が政権に私物化されれば、「首相の犯罪」は決して暴かれることがないだろう。(まえかわ・きへい/現代教育行政研究会代表)

<社説>検事長の人事 政治介入という悪例だ

<社説>検事長の人事 政治介入という悪例だ/5面

 政府が定年間近の黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長した。次期検事総長に充てる目算だとされる。検察庁法の定めにはなく、公正たるべき検察に政治の介入を許す悪例となるのを恐れる。
 「禁じ手の人事だ」「汚点になる」ー検察OBや官僚らからも批判が噴出している。それほど前代未聞の出来事だ。
 検察庁法では定年を検事総長は65歳、検事長を含む検察官は63歳と定めている。黒川氏は今月7日に定年を迎えるはずだったが、半年間の延長を閣議決定した。異例の人事は国会でも取り上げられ、森雅子法相は「重大、かつ複雑な事件の捜査・公判に対応するため」と答弁した。
 だが、そんな単純には受け止められてはいない。現在、検事総長である稲田伸夫氏が慣例どおり、おおむね2年の任期で今年8月までに勇退すれば、黒川氏を後任に充てることが可能になるからだ。
 確かに国家公務員法では、公務に著しい支障が生じる場合に勤務の延長を認めているものの、検事長の勤務延長の前例はない。立憲民主党枝野幸男代表は「検察官の定年は検察庁法で定められ、国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為だ」と批判する。
 事件捜査の畑よりも法務官僚としてキャリアが長い黒川氏については、政権との距離が近すぎるとの評がある。それを枝野氏は問題視したのだ。
 もともと検事総長の後任には「政治色がない」とされる林真琴名古屋高検検事長が就任するとの見方が有力だった。ところが、今回の閣議決定で、後任が入れ替わってしまう見通しになった。
 つまりは官邸による人事のコントロール検事総長にまで及ぶ危うさが露呈したわけだ。「この人事は法務省の中で決定した」と首相は国会で答弁したが、本当なのか。2013年に「憲法の番人」たる内閣法制局長官に、集団的自衛権行使の容認派だった外交官を充てた異例の人事と重なる。
 検察庁はかつてロッキード事件金丸信・元自民党副総裁の脱税事件など、政権中枢の腐敗を摘発した歴史を持つ。首相経験者をも逮捕しうる検察トップが、官邸の指一本で差し替え可能ならば、そんな検察を誰が信頼できるだろうか。
 <略>

東京新聞:検事長の人事 政治介入という悪例だ:社説・コラム(TOKYO Web)

政府決定前に桜招待通知 衆院予算委

政府決定前に桜招待通知 衆院予算委/1面

 安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、「桜を見る会」に地元支持者が多数参加していた問題について、政府が招待状を送付する以前に、自身の地元事務所が招待決定を通知する文書を送っていたことを認めた。野党側は首相側が実質的に招待客を決めていたと追及を強めた。首相はあくまで自身や事務所は招待客の最終的な人選に関わっていないと主張した。 (中根政人、坂田奈央)

 共産党の宮本徹氏は、首相の地元事務所が昨年2月に支持者に出した文書を示し、政府による3月の正式な招待状発送の前だったと明らかにした。首相は文書について「事務所によれば、推薦すれば招待されるだろうという安易な臆測の下で作業を進めてしまったとのことだ。招待プロセスを無視した不適切な表現で問題があった」と語った。
 同時に首相は、地元事務所が支持者に会への参加を呼び掛けていたことについて「幅広く募っているとの認識だった。募集しているとの認識ではなかった」と答弁。「募る」の意味について「事務所が今までの経緯の中で(会への参加に)ふさわしい方々に声を掛けている。新聞等に広告を出して『どうぞ』ということではない」と説明した。
 宮本氏は「『募る』は『募集する』と同じだ」と指摘した。その上で「実態はふさわしい方だけでなく、知人や友人を含めどんどん誘ってくださいと地元事務所がやっていたということだ」と追及した。 <略>

東京新聞:政府決定前に桜招待通知 衆院予算委、首相「問題あった」:政治(TOKYO Web)

時代を読む 「劇的事件になれる怖さ」 宇野重規

時代を読む 「劇的事件になれる怖さ」 宇野重規/5面

 2020年最初の寄稿である。今年の展望について、期待を込めて書きたいところだが、そのようなのんきな思惑を吹き飛ばすような事件が、昨年末から年初にかけて続いた。12月29日には前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告の海外逃亡事件が、1月3日にはイランの革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害事件が起きた。性格は異なるが、どちらも冷水を浴びせられるような感覚を残した。
 両事件はひどく「劇的」であった。まるで映画の出来事と言ってもいい。ゴーン被告は音響機器用の箱に隠れ、プライベートジェット機で脱出したという。複数の国籍の人物が関与し、米陸軍特殊部隊グリーンベレーに所属した経験のある人物が助けたとの報道もある。ますますハリウッド映画風である。保安検査の甘い関西空港が狙われるなど、入念な準備の上での「逃亡劇」であった。
 ソレイマニ氏の殺害は、シリアからバグダッドの国際空港に到着したソレイマニ氏が車で移動中に発生した。ドローンのミサイル攻撃によるものであり、居場所について米軍による詳細な監視と追跡がなされていたことがわかる。さながらスパイ映画の印象があるが、かくもピンポイントな攻撃が可能なのかと思うと、SF映画的にも思えてくる。いずれにせよ驚くべき「暗殺劇」であった。
 ただし、劇は劇でも、ひどく安っぽい三文芝居の印象があることも否めない。ゴーン被告の逃亡は、長期の勾留により自白を強要するなど、「人質司法」とも批判され、人権に反する日本の刑事司法の問題点を、世界にさらすことになった。もちろん、だからといって一国の制度の裏をかいて逃亡することが正当化されるわけではない。グローバルエリートの身勝手さを感じてしまうのも事実である。
 ソレイマニ氏の殺害についても、トランプ米大統領がいかにテロ対策の正統性を主張するにせよ、一つ間違えば世界的な戦争状態を招きかねない危険な蛮行であった。トランプ流の計算があったにせよ、ギリギリの賭けに似た行為であり、米国首脳の「予測不可能性」ばかりを印象づけた。その決断の背景には、米大統領選への対策があることは明らかで、大国の国内事情で世界が揺さぶられる危険性を痛感させられた。
 あらためて思うのは、今日の世界が「帝国主義」的になっていることである。さながら、サラエボにおける一発の銃声が第一次世界大戦を引き起こしたように、何か一つの偶発的事件によってバランスが崩れ、戦争が起きてもおかしくないのが世界の現状である。各国指導者の自国第一主義が加速し、それを抑制するはずの国際的な制度は空洞化するばかりである。グローバルエリートの身勝手さが目立ち、金と力があれば何でも押し切れるという思いが、ますます状況を悪化させる。
 何より恐ろしいのは、このような現状を当たり前のように受け止めてしまう自分自身の感性である。こんなことが起きてもおかしくない。ドラマ以上にドラマ的なのが現状だ。そう思っているうちに、やがて事件を忘れてしまい、次の劇的な出来事をぼんやりと待っている。誰もが無責任な観客となってしまう危険性をまざまざと痛感した、2020年の幕開けであった。
 世界は流動化し、不安定化している。傍観しているだけでは無力になるばかりだ。
 (東大教授)