今日の東京新聞

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黛まどかの四国歩き遍路 同行二人 25

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黛まどかの四国歩き遍路「同行二人」25 ペカディジョ 変化を受け入れ前へ/6面

 足摺岬高知県土佐清水市)の付け根にある小さなロッジを出立する。38番金剛福寺(こんごうふくじ)を打ち、今夜は足摺岬の宿に泊まり、明日またこのロッジに帰る。同じ道を戻るのを「打戻り」と言うが、私は行きは東回り、帰りは西回りの道を選んだ。ちょうど足摺岬を1周するかたちだ。小さなザックに1泊分の荷物を入れ、後はロッジに預けた。札所まで22キロ程の道程だ。
 ゴールデンウィークに入ってにわかにお遍路さんが増えた。数日間の遍路なので軽装で足取りが軽い。他方、通しで歩いている人は、みな痛む足を引き摺(ず)って歩いている。「修行の土佐」も終盤、日々痛みとの闘いだ。
 波乗りを横目に大岐(おおき)の浜を過ぎ、以布利(いぶり)港に着く。市場では水揚げされたばかりの魚が所狭しと並び、男たちが小魚の処理に追われていた。「大きいだろ? 2キロはあるよ」。アオリイカに見入っていた私に、市場で働くおじいさんが教えてくれた。今日は宗太鰹(そうだがつお)や鰆(さわら)、鯛(たい)、そして土佐の清水鯖(さば)がたくさん獲(と)れたそうだ。
 「お遍路さ~ん!」。長い棒を手に、道の反対側からおばあさんに呼び止められた。高知特産の小夏をくれると言う。「膝が痛うてね…」。時折膝をさすりながら、高枝の小夏を3つもとってくださった。
 「ぺカディジョ」とは、スペイン語で「小さな罪」のこと。「傷ついた足」を意味する「ペカス」に由来する。「ペカディジョ」を正す唯一の方法は、辛(つら)くても前へと進み歩くことだと、『星の巡礼』の作者パウロ・コエーリョは言う。歩き続け、直面する新しい状況に誠実に向き合うことで、代償として恵みを受け取ることができるのだ。
 巡礼者だけではない。こ れまで道ですれ違った数えきれないほどのお年寄りが、痛む足を引き摺りながら、田畑を耕し、庭の草を引き、どぶを浚(さら)い、遍路道の手入れをし、懸命に生きていた。炎天下で働くお年寄りを目にするたびに、ただ歩いてそこを通り過ぎる自分を恥じた。
 生きるとは変化を受け入れることだと、ある哲学者が著書で述べていた。転勤、災害、病、老化、死…人生は変化に満ちている。そしてそこには痛みや苦悩がつきまとう。しかし変化をしなやかに受け入れ、何かを諦め何かを捨てて前へと進み、歩き続けていれば、いつか恵みを受け取るに違いない。
 波音を聞きながら歩いていると、最愛の人を亡くし、四国を巡るお遍路さんたちの顔が次々と浮かんだ。

 風の立つところに神や草若葉

<ブログコメント>黛まどかの四国歩き遍路「同行二人(どうぎょうににん)」の連載25回目。四国土佐の南端、足摺岬を目前にして、日々、足の痛みとの闘いのようです。旅(たび)が行(ぎょう)になってくると、見知らぬ土地を歩いていても、意識は不思議と自分の内側へと向かってきます。四国遍路の同行二人は弘法大師と一緒に巡礼しているの意味ですが、大師は仮の姿で、一緒に歩くのはもう一人の自分かもしれません。

第3次安倍第3次改造内閣発足

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変わるのか、変わらないのか 政治部長・金井辰樹/1面

 報道各社の世論調査では内閣支持率が暴落し、不支持率は5割を超えた。不支持と答えた人の多くは「首相が信頼できない」と答えている。その首相が、内閣と自民党役員の新しい顔触れを決めた。
 人事を前に首相は「骨格は替えないで人心一新を図る」と矛盾するようなテーマを口にしていた。なるほど財務相官房長官、党幹事長ら「骨格」は替えず、6人を初入閣させた。閣僚の資質が間われ続けた法相、防衛相のポストには経験者を据えた。当選3回の斎藤健氏を抜てきしたのは、年功序列ではないところを見せようとしたのだろう。パズルのピースを埋めるように、細心の注意を払って人選した形跡が随所にうかがえる。
 安倍政権は、安保法制の成立、原発再稼働、そして改憲と「安倍路線」を走り続けてきた。批判や疑間には耳を傾けず、その間の人事は「安倍路線」を加速するために利用してきた。それが今の失速の要因となっている。首相は人事で局面展開を図った。
 3日の会見で首相は国民に低姿勢を貫いた。しかし国民が最も求めている加計(かけ)学園問題、防衛省の日報隠蔽(いんぺい)問題の説明責任については「国会から求められれば対応する」と受け身のまま。野党要求の閉会中審査の開催にも前向きの発言はなかった。関係者招致を求められた時に繰り返してきた従来の国会答弁と何ら変わりない。
 改憲に向けては「スケジュールありきではない」と修正したが、自身の考えを引っ込めたわけではない。「安倍路線」を変えるのか、変えないのか。国民の疑間に答えるのか、幕引きを図るのか。国民は、閣僚らの顔触れではなく、これからの仕事ぶりを不信を込めた目で見つめている。

福田元首相 安倍政権批判

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官僚が官邸の顔色見て仕事 福田元首相 安倍政権批判/1面

 福田康夫元首相は2日、東京都内で共同通信のインタビューに応じ、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画や「森友学園」への国有地払い下げなどを踏まえ、安倍政権下の「政と官」の関係を批判した。「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と述べた。2014年に発足した内閣人事局に関し「政治家が人事をやってはいけない。安倍内閣最大の失敗だ」との認識を示した。

 中央省庁の公務員の姿勢について「官邸の言うことを聞こうと、忖度(そんたく)以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ」と指摘。「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」とも述べた。
 安倍晋三首相が3日に実施する内閣改造自民党役員人事では「過去4年間の実績評価に対応し、外交や経済、財政などの山積する問題を克服する体質になるかどうかが問われる」と注文を付けた。
 首相の政権運営について、安定政権ではないとの見方を示した上で「(自民党内に)競争相手がいなかっただけだ。(脅かすような)野党もいないし、非常に恵まれている状況だ」と強調。同時に「そういう時に役人まで動員して、政権維持に当たらせてはいけない」とくぎを刺した。
 安倍政権が設置した内閣人事局は、各省庁の幹部人事を一元管理。現在は萩生田光一官房副長官が局長を務めている。

 

<ブログコメント>今日の1面には福田元首相の安倍政権批判が載りました。各省庁の幹部人事を安倍政権になってから官邸がおこなうようになったため、官僚が官邸の顔色を見て仕事をするようになったと指摘します。この記事の横には今日発表される内閣改造人事の予想顔ぶれが紹介されています。新聞だけではありません。テレビも昨日、一昨日から内閣改造人事予想で持ちきりです。このような報道にどれほどの意味があるのでしょうか。今日の午後には改造人事が発表されます。人事の予想で熱くなっているのは、政治家と接触のあるマスコミ関係者だけだと思います。こういうどうでもいい記事に紙面を割くのはやめてほしい(というのが一読者の願いです)。

籠池前理事長逮捕 核心は国有地8億円値引き

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籠池前理事長夫妻逮捕 核心は国有地8億円値引き/1面

【解説】 森友学園の前理事長籠池泰典容疑者らの逮捕で、補助金不正を巡る捜査は節目を迎えた。しかしこの事件の核心はほかにある。なぜ学園が8億円余りの値引きを受け、国有地を購入することができたかだ。
 学園が小学校建設のために購入した土地の評価額は、近畿財務局の算定で当初9億5600万円だった。しかし、昨年2月に地中から生活ごみや廃材が見つかったため撤去費用が差し引かれ、1億3400万円になった。
 近畿財務局はごみの量を1万9500トンと見積もって値引き額を算出したという。しかし、小学校の施工業者が豊中市に報告したごみの排出量は194トン。撤去費算定の不自然さなどが国会で追及されたが、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)前理財局長は「売買交渉の記録は破棄した」として物証を示さないまま、「取引は適正」と繰り返した。
 大阪地検特捜部は、近畿財務局の職員が国有地を不当に安く売却したとする背任容疑でも捜査を続ける。大幅値引きの裏で、森友側とどのようなやりとりがあったのか。値引きの過程で何らかの付度(そんたく)や、政治家側からの働き掛けがあったのか。徹底した捜査を期待したい。(望月衣塑子)

 

<ブログコメント>「森友学園」事件で籠池夫妻が逮捕されました。数千万円の国の補助金詐取容疑です。しかし「森友学園」事件の核心は近畿財務局による8億円値引きです。まさか、籠池夫妻逮捕が「森友」隠し、ではないでしょうね。あと「加計学園」事件。加計理事長はなぜ追及されないのでしょうか。「森友学園」とは桁違いの補助金を受けとる以上、加計理事長には一連の疑惑に対する説明責任があります。

 

日本の岐路 7月 「すべては2日、始まった」

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コラム日本の岐路/7月「すべては2日、始まった」政治部長金井辰樹/2面

 7月2日を境に、日本の政治は景色が一変した。東京都議選で、小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が圧勝、自民党は歴史的大敗を喫した。当欄でも以前書いたように、都議選は国政の影響を受け、その結果は国政を直撃する。それは分かっていたが、都議選の結果がここまで衝撃的で、その後の国政をこれほど変えることになるとは想像できなかった。
 今月は、報道各社が行った世論調査の結果が話題になることが多かった。どの調査からも、内閣と自民党の支持が暴落。安倍晋三首相への信頼が下がっているという傾向がはっきり出た。そして、多くの調査では、都議選の結果を「良かった」という回答が多数を占めた。都民が出した結果を、全国民が好意的に評価し、追随している。そういえば、2日以降、「安倍一強」という言葉は聞こえなくなった。

 都議選の結果が、どれだけ国政に影響したか、振り返ってみる。10日、国会の閉会中審査で前川喜平前文部科学事務次官参考人として出席。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設について「はじめから加計に決まるようなプロセス」があったと語った。前川氏招致は、長い問野党が求め、前川氏も応じると言っていたが、与党が難色を示してきた。もし、都議選で自民党が勝っていたら前川氏の国会出席は、なかっただろう。説明責任を果たすことに消極的な自民党に、都民が示した怒りの一票が、国会を動かしたことになる。
 24、25の両日、安倍首相が出席して衆参の予算委員会が開かれた。首相は2日間「私の不徳の致すところ」などと低姿勢の答弁を続け、野党を挑発するようないつもの口調は消えていた。都議選敗北の「反省」による変化だ。
 23日の仙台市長選では、自民党の地方組織が推す候補が野党系に敗れた。これも都議選の延長線として考えていい。
 28日、稲田朋美防衛相が辞任した。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題で特別防衛監察が公表されたのを機に引責辞任した形だ。ただし稲田氏は都議選の応援演説で「防衛省自衛隊防衛大臣自民党としてもお願いしたい」と問題発言をし、敗北の一因となったと批判された。もし都議選で惨敗しなければ、8月3日の内閣改造を待たず辞任に追い込まれることは、なかったかもしれない。

 一方、民進党も都議選で敗北し、その影響に悩まされている。安倍内閣の支持率が急落しているのに、お付き合いして低迷を続ける。27日、蓮肪代表が辞任を表明した。前身の民主党は、2012年末の衆院選で負け、政権から転落することが決まった時の代表は野田佳彦氏だった。その後、海江田万里氏、岡田克也氏、蓮肪氏と代わった。毎年のように代表が交代しながら党勢回復には失敗している。
 トップの安倍首相が信頼を失い迷走する自民党。その「受け皿」と認められない民進党自民党内閣改造と党役員人事で、民進党は代表選で、新しく生まれ変わった姿を競い合うことになる。

貧困、虐待被害の少女ら支援 NPO法人シェルター開設

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夜の街には返さない 「自立まで」シェルター開設/1面

 貧困や虐待、性被害などに直面した10~20代の女性を中長期的に受け入れ、自立できるまで後押しする全国でも珍しい民間のシェルターが東京都練馬区に開設された。困難を抱えた少女らを支援してきたNPO法人「BOND(ボンド)プロジェクト」(東京)が運営。空き家を活用してスタッフが共に暮らし、 一時的な保護にとどまらず、少女らを支える。(神田要一)

 シェルターは3階建ての住宅で「ボンドのイエ」と名付けられ27日にオープン。3階には個室が2つ。常に2人が最長1年程度、生活できる。 1階の部屋は短期間の入所者向けだ。
 面談で保護が必要と判断されれば全国から少女らを受け入れ、スタツフが泊まり込みで食事を作る。入居時に「3ヵ月間」「20歳になるまで」などと期間を相談し、少女らは月3万円の生活費を負担する。臨床心理士のカウンセリングも予定している。
 BONDは渋谷の繁華街で少女らに声を掛け、相談に乗ってきた。 一夜を明かす場所を求めて援助交際に走る少女らを前に「今日家に帰れない子が、ほっとできる場所をつくりたい」と、2010年に女性専用のインターネットカフェを渋谷に開設した。
 資金の都合でネットカフェを開じた後も、事務所に借りたマンションの一角にマットを敷き、少女らを泊めた。「初めは一時保護が目的だった。でも、夜中に電話で相談を受けながら、この子たちを帰せる安全な場所がないことに気づいた」。代表の橘ジュンさん(46)が打ち明ける。
 BONDには、虐待や暴力を受けた少女らのSOSが毎月1000件超も寄せられる。橘さんは児童相談所などに行くたび、淡々とした職員の対応に違和感があった。公的施設で年齢差のある女性との共同生活を嫌がる少女や、「親を悪者にしたくない」と事実を明かせず、家に戻される少女も珍しくない。
 対応に時間がかかると、「少女らは『結局、大人は役に立たない』と思い、夜の街に戻ってしまう」と橘さん。中長期の支援が必要と感じていたところ、社会福社法人「ベテスダ奉仕女(ほうしじょ)母の家」(練馬区)から、空き家を無償で借りられることになった。
 今月に入ってインターネットで支援を呼びかけると、2週間で全国から生活用品が寄せられた。橘さんは「周囲の支えが必要なのに公的な支援につながらない子を、時間がかかっても自立できるまで応援したい。あの子たちの実情に制度が合っていくように、声も上げていく」と話している。

警官制圧死訴訟 最高裁映像提出「認めず」

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こちら特報部/警官制圧死訴訟 最高裁映像提出「認めず」/26面

 警察官に取り押さえられた際に死亡した男性の遺族が、事件そのものを撮影したテレビ局の取材映像を民事裁判で証拠として求めたところ、司法は「報道の自由が侵害される恐れがある」と退けた。報道の自由はもちろん譲れないが、何とか遺族に寄り添う方法はないものか…。(池田悌一)

報道の自由」譲れないが…
 鹿児島市の男性=当時(42)=が、けんかの通報で駆け付けた警察官に取り押さえられ、低酸素脳症で亡くなったのは2013年だ。警察官2人が業務上過失致死罪に問われ、鹿児島地裁は15年、罰金30万円の判決を言い渡した。
 実は事件発生時、テレビ局がドキュメンタリー番組の制作で警察官に同行取材しており、一部始終を撮影していた。実際に放映はされなかったが、鹿児島県警が映像を差し押さえ、鹿児島地検で保管していた。しかし刑事裁判では証拠として出されなかった。
 初公判前、遺族とともに地検で映像を見た下之薗優貴弁護士は「警察官4人に組み伏せられた男性は、『助けて』『死ぬ!』と悲鳴を上げ、警察官が『黙れ』と怒号を浴びせていた。でも刑事裁判ではそのやりとりが認定されず、罰金刑にとどまった」と振り返る。
 そこで遺族は県に約9000万円の損害賠償を求める訴訟を地裁に起こし、映像の提出も要求。地裁は昨年12月、「高い証拠価値があり、報道の自由やテレビ局の利益を優越する」と地検に提出を命じた。
 だが、検察側の即時抗告を受けた福岡高裁宮崎支部は今年2月、「映像を提出した場合、報道の自由や当事者以外のプライバシーが侵害される恐れが高い」と地裁決定を取り消した。最高裁第二小法廷も今月25日付で、遺族側の特別抗告を棄却。損害賠償訴訟は映像記録なしに、地裁で審理されることが確定した。
 なぜ司法の判断は割れたのか。最高裁は1969年、学生と機動隊が衝突した「博多駅事件」の決定で、映像の提出をテレビ局に命じた一審判決を容認しながらも、「報道機関の不利益が必要限度を超えないよう配慮されなければならない」と付言した。
 裁判官の解釈次第で判断が分かれる流れができたわけだが、その後もリクルート事件では検察側が押収したテレビ局の贈賄申し込み映像が証拠採用され、和歌山の毒物カレー事件でも、検察側が編集したテレビ映像が証拠として認められた。愛知県で2007年にあった立てこもり事件では、名古屋地裁が番組録画を証拠採用したことに民放連が抗議したが、いまだ「報道の自由の侵害」は続く。
 上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「取材映像は報道のために撮影されたものだ。目的外使用は報道の自由の根幹にかかわることで、公権力の介入によって強いるようなことは許されない」と断じる。
 報道倫理に詳しいジャーナリストの春名幹男氏も「取材映像が裁判に利用されれば、取材の協力が得られにくくなるし、プライバシー侵害にもつながる。安易に証拠提出されることが一般化すれば、議道の自由が著しく侵害される」と警戒する。
 とはいえ、両氏とも今回のケースについては「例外的に証拠と認めてもいい事案だ」と理解を示す。
 田島教授は「警察官の職務に絡み、市民が命を落とした。遺族が真相究明には映像が不可欠だと考えているのなら、司法は寄り添うべきではないか。過去のケースを見ると、捜査機関の証拠申請はたびたび認めている。司法はどこを向いているのか」と強調する。
 春名氏も「もっと遣族の利益を検討すべきだった」と指摘した上で、メディアにも注文を付ける。「本来は法廷外で、テレビ局が遺族側に自主的に映像を提供すれば済んだ話だ。テレビ局は警察や検察に配慮して提供を控えたのかもしれないが、報道機関の存在意義は弱い人の立場に立つことではないか」