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文科相「やじ飛ばす権利ない」 埼玉知事選 応援演説中の抗議拘束

文科相「やじ飛ばす権利ない」  埼玉知事選 応援演説中の抗議拘束/3面

 埼玉県知事選の応援演説をしていた柴山昌彦文部科学相に対し、大学入学共通テストに反対するやじを飛ばした男性が県警に取り押さえられる事案があり、柴山氏は27日の閣議後会見で「大声で怒鳴る声が響いてきた。選挙活動の円滑、自由は非常に重要。そういうことをするのは権利として保障されていない」と述べた。
 7月の参院選中、札幌市で行われた安倍晋三首相の街頭演説にやじを飛ばすなどした聴衆が北海道警によって排除されている。表現の自由を巡り、柴山氏の発言は議論を呼びそうだ。
 柴山氏によると、やじは24日夜、JR大宮駅近くで、街宣車から演説を始めた際、待ち構えていた男性から「柴山やめろ」「民間試験撤廃」との声が上がった。目撃者によると、男性はその後、県警関係者とみられる数人に囲まれ、抵抗したが、遠ざけられた。
 柴山氏は会見で「表現の自由は最大限保障されないといけないのは当然」としつつ、「街頭に集まった方は演説をしっかり聞きたいと思っている」と強調。声の大きさについて「マイクを使って演説をしていたが、明らかに私の耳に届いた」とも語った。
 一方取材に応じた目撃者は「声はそこまで大きくはない。取り押さえられた時、彼か、警備担当者が発した喧騒(けんそう)の方がうるさかった」と指摘した。
 埼玉県警幹部は、県警がその場にいた男性を取り押さえたことを認め、「男性は街宣車のすぐ近くに近づいている。警護対象に危害を加える可能性がある場合、取り押さえるのはやむを得ない」とした。

トウモロコシ追加購入に補助金? 日米貿易首脳会談

トウモロコシ追加購入に補助金? 日米貿易首脳会談 理由の害虫被害わずか/1面

 安倍晋三首相は日米貿易交渉で、トランプ米大統領に米国産トウモロコシの追加購入を約束した。日本が年間に輸入する飼料用トウモロコシの「3カ月分」(西村康稔官房副長官)に上る約275万トンに達する見通し。首相は理由に害虫被害を挙げるが、国内生産量の6割に被害が及んで釣り合いが取れる計算で、現実的でない。さらに被害を受ける国内のトウモロコシは追加購入するものと種類が異なり単純に代替できない。輸入を無理に増やすため補助金投入が膨らむおそれがある。

 「中国が約束を守らないから、米国ではトウモロコシが余っている。その全てを日本が買ってくれ、農家はとても幸せだ」
 トランプ氏は25日、仏ビアリッツでの日米首脳会談で語った。安倍首相は「日本では害虫被害に悩まされており、民間に追加購入需要がある」と応じた。
 農林水産省によると、害虫被害とは、「ツマジロクサヨトウ」というガの幼虫による食害を指す。7月3日に国内で初めて鹿児島県内で確認されて以来、9県52市町村で飼料用トウモロコシの葉が食べられる被害が出ている。
 ただ、被害はそれほど広がっていない。飼料用トウモロコシは年間約1100万トンを米国などから輸入。国内では約450万トンを生産しているが、食害はごく一部で発生が確認されているだけ。農水省は「現時点では通常の営農活動に支障はない」(植物防疫課)としており、米国に約束した275万トンは必要量に比べ過大になる公算がある。
 また、食害は葉や茎も砕いて飼料にするトウモロコシで起きており、米国から追加購入する実を用いるトウモロコシとは栄養価などが異なる。鈴木宣弘・東京大教授(農業経済学)は「家畜の健康維持には2つを区別しバランスよく与えねばならない」と指摘。仮に被害が拡大しても米国産では単純に代替できない。
 安倍首相は会談でトランプ氏に追加購入のため「民間企業を緊急支援する」と表明。飼料メーカーや商社の購入を税金を基にした補助金で支える方針とみられる。購入を無理に増やすために多額の補助金投入を迫られる可能性がある。 (皆川剛)

「アベ政治を許さない」デモ4年 澤地久枝さんに聞く

こちら特報部アベ政治を許さない」デモ4年 作家・澤地久枝さんに聞く/22.23面

 東京・永田町の国会議事堂前に毎月3日、「アベ政治を許さない」と書かれたポスターを掲げる人の群れが現れる。安倍晋三首相に退陣を突きつけるデモだ。先頭に立つのはノンフィクション作家の澤地久枝さん(88)。シュプレヒコールもない。組織もない。一人ひとりの意志だけに支えられた行動は4年を超えた。猛暑の夏も体の限界に挑むように澤地さんは路上に立った。戦後74年。日本を見つめてきた作家は、何を思うのか。 (佐藤直子

たった一人でも立つ 安保法きっかけ 憲法無視の暴走見過ごせず
 じーじーじーとセミの声が響く。8月3日。正午過ぎの都心の気温は32度を超えた。強い日差しの中を議事堂正門の向かいの歩道に人が集まる。帽子をかぶり、長袖シャツ姿の澤地さんがあいさつを交わす。つえを手にした男性。北海道帯広市から、茨城県牛久市から、初めて参加したという女性たち。夏休みの小学生も交じっている。
 午後1時。約100人が一斉に「アベ政治を許さない」のポスターを掲げた。顔に汗をにじませ、みな黙って議事堂を見つめる。10分がたち、通算47回目となったこの日のデモは終了。参加者が近況報告をして解散した。
 「すごい暑さでしたからね、ここでひっくり返るわけにはいかないと思って、しっかり足を踏みしめていました。これで立っていられないんなら、やめだなって」。澤地さんは東京都内の自宅で8月のデモをこう振り返った。
 7月の参院選自民党議席を9減らした。しかし、投票率が50%に届かず、過去2番目の低さだった。澤地さんはそれがくやしい。「政権支持率はまた少し上がったでしょ。一人ひとりが抗議の意志を示すことが、いよいよ大事になってきましたね」
 作家として澤地さんが問うてきたのは、人間をぼろぼろになるまで追い詰めていく国家や戦争のむごさだった。戦前の2・26事件や戦中のミッドウェー海戦の遺族らに焦点を当てた作品は、声なき声に耳を澄ます作業であり、日本人が忘れてはならない昭和の罪責を描く作業だった。それは「9条の会」や、3・11後の脱原発運動へのかかわりにも通じている。
 2013年12月に特定秘密保護法を成立させた政府は、15年に集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案を強引に成立させようとしていた。憲法を無視した政治の暴走を見過ごせず、澤地さんは自ら呼び掛け人となって、法案が衆院を通過した直後の7月18日、最初の「許さない」デモを決行した。
 安保法が成立すると国会前の人の波は引いていった。澤地さんは「悪法を廃止しよう」と訴え、憲法公布記念日(文化の日)の11月3日にデモを再開。それ以来、毎月3日に必ず国会前で立ち続けている。
 「アベ政治を許さない」の文字は、昨年死去した俳人金子兜太(とうた)さんの筆によるものだ。「兜太さんの字は力強い。見ているとね、兜太さんが生きているみたい」
 国会前のほか、有志が同時刻、全国一斉に同じポスターを掲げる。自分の町の駅頭で、あるいは家の窓から、道ゆく人に見えるように。「政権にノーを言うことに勇気が必要になりましたけど、たった一人になっても立とうと思う。私はこう思うのよって。ギリギリの意思の表明です」と澤地さんは言う。

国に捨てられた 敗戦時の苦難が原点
 澤地さんが個人の力を頼みにするのは、国家に対する不信があるからだ。「国ってものはあてにならない。平気で国民を捨てる。ウソをつくんです」。そう言い切る原点は、敗戦時の難民生活にある。
 幼いときに両親と満州国中国東北部)に渡り、1945年8月の終戦時は14歳で女学校の3年生だった。満州関東軍は逃げるように先に撤退し、澤地さんら日本の民間人は取り残された。
 <略>
 「日本はまた戦争をする国になると思っていたけれど、今の政治はひどすぎる。国民は真綿で首を絞められていて、昨日できたことが今日はできない、そんなことが、日に日に増えているのではないかしら」
 あいちトリエンナーレ名古屋市)での「表現の不自由展」が中止された出来事もその一つだ。「京都アニメーションの放火事件が起きたばかりだったから中止になった。ひと言の脅しでできなくなるなんて」
 そして澤地さんは「風流夢譚(むたん)事件」を振り返る。雑誌「中央公論」に掲載された小説での天皇らの描写に憤った少年が、中央公論社社長宅で家政婦らを殺傷した事件だ。「あの後、天皇制を論じることが一気にタブーになってしまった」
 来年は復興をテーマにした東京五輪パラリンピックがある。「熱狂の中で原発事故の被害を消し去る。問題のすり替えです。お祭り騒ぎの後に何がやってくるのか」と澤地さんは暗たんとした思いに駆られる。それでも安倍政権への抗議をあきらめない。
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あいちトリエンナーレ「不自由展」出展者ら再開を求める

あいちトリエンナーレ「不自由展」出展者ら再開を求める/26面

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が公開後に中止になった問題で、有識者らでつくる「表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク」などが7日、東京都内で集会を開いた。「今回の事態は、日本が『表現の不自由な社会』であると改めて実証した」として、中止の撤回と展示の再開を求めるアピールを公表した。 
 アピールは「問われるべきは慰安婦問題へのヘイトクライムやガソリンテロという脅迫行為」と指摘。「本来、これらの脅迫から表現の自由を守るべき行政が、中止によって表現の自由への侵害を行った」とした。
 世話人代表で武蔵野美大の志田陽子教授(憲法学)は「表現の自由が大変な危険にさらされ、自粛や萎縮をしてしまう恐れが大変強い状態が起きている。看過できない」と指摘した。
 企画展は元慰安婦を象徴した「平和の少女像」などを1日から展示したが、芸術祭の実行委員会は3日、ガソリンテロ予告や脅迫とも取れる抗議があったとして、中止を決めた。
 出展者の1人で造形作家の中垣克久さん(75)は「作家の意見を聞かずに中止したのは極めて暴力的なやり方。(平和の少女像を作った作家にも)どんな思いで作ったか聞くべきだが、なおざりにされている」と批判した。
 企画展の実行委員会メンバーの武蔵大の永田浩三教授(メディア社会学)は「平和の少女像という作品をちゃんと見てほしかった。わずか3日の展示だったが、たくさんの人たちが、いろんな見方をしてくれた。それは非常に感動的な場だった」と述べた。 (松尾博史)

比呂美の万事OK 「つらければ会わなくても」

比呂美の万事OK 「つらければ会わなくても」/11面

Q 友人に嫉妬し自己嫌悪
 高校時代からの友人は、夫同士が同僚。彼女は夫の出世コースに乗り、家庭も円満ですが、うちは逆です。あるとき彼女が何げなく「うちもいつか悪いことが起こるかも」と言ったのを機に会いたくなくなりました。嫉妬する惨めな自分が許せません。(女性)

A つらければ会わなくても
 読者のみなさんのために補足説明をいたしますと、この相談者には、今、不安がさまざま重なり合っているんです。
 夫は出世コースから外れ、それで傷ついてストレスがたまって病気になり、それから事故に遭いました。(不運な夫をいたわりながら生きるのはものすごくストレスになるものですから)今度は妻が病気になって、とても不安な思いを抱えている。
 だから今はそれを受け止めて日々をくらしていくだけで精いっぱい。
 そんな不運と苦労が重なれば、誰だってそうなります。誰だって運のいい友人とその夫をうらやみます。
 問題は、あなたと彼女との友人関係にあるんじゃない。あなたが嫉妬しやすいとかみじめだからというんでもない。問題は、あなたが今、抱えきれないくらい抱えている苦労にある。
 でもそれは人生によくあることです。今は、それに誠実に、焦らずに、思いつめることなく問題に向き合って、一つ一つ対処していけばいいんじゃないでしょうか。そのときのコツは「がさつずぼらぐうたら」「明日は野となれ山となれ」ですよ。
 どの世代の人間にも言えることですが、友人っていうのは、そんなに大切にしなきゃいけない、一生ずっと同じようにつきあっていかなければいけないものでもないんです。
 時にはかけがえのない存在だ。でも知りあってから一生ずっとそうかというと、それはあり得ない。
 人生をあらわす線がある。上がったり下がったりしながら伸びていく。
 そのそばを別の人生が、別の線を描いて近くなったり遠くなったり、ときどき交差したりする。
 交差してまた離れ、離れてまた近づいて、ときにはほとんど重なりあって伸びていく。それが人生における他人との関わりですよ。
 必要なときが来たら交差する。必要じゃなかったら交差しなくていい。
 確実なことは、どの線もそれぞれ自分の人生を生きていること。
 友人というのは、それでいい。親や夫や子どもや恋人とはちょっと違う。だからこそ、友人は、そういう関係の人たちよりつきあいがずっと楽なんです。
 あなたは今、自分の苦労にしっかり向かって生きているでしょう。それでいい。自分を取り戻した頃にふと「会いたいなあ」という気持ちがわいてくるかもしれない。そのとき連絡を取ればいい。向こうが渋ったら、それはそれでいい。
 彼女がいなくても明日の太陽は昇るし、あなたは生きていける。
 (詩人/伊藤比呂美

少女像展示の企画展 中止 表現の自由後退

少女像展示の企画展 中止 表現の自由後退/1面

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会は3日、慰安婦を象徴した「平和の少女像」などの展示を同日までで中止すると発表した。実行委会長の大村秀章・同県知事が記者会見し「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況だ」と理由を述べた。

津田氏「表現の自由後退」
 少女像は国内の美術館やイベントで近年、撤去や公開中止となった作品を集めた企画「表現の不自由展・その後」の一つとして出品。実行委は企画全体の中止を決めた。事務局によると、開幕からの2日間で抗議の電話とメールは計約1400件に上ったという。
 大村知事は「(抗議が)これ以上エスカレートすると、安心安全の確保が難しい」と説明。事務局に「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」とのファクスがあったことも明らかにした。芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏も会見し、「想定を超えた抗議があった。表現の自由を後退させてしまった」と述べた。
 一方、不自由展の実施団体は「中止決定は一方的に通告されたもので、契約書の趣旨に反する行為。法的対抗手段も検討している」との抗議声明を出した。
 実行委会長代行の河村たかし名古屋市長は2日、大村知事に抗議文を出し少女像などの展示中止を要求。文化庁の補助事業でもあり、菅義偉官房長官も同日、補助金交付を慎重に判断する考えを示した。

政治的圧力 検閲につながる ペンクラブ表明
 中止が決まった企画展について、日本ペンクラブ(吉岡忍会長)は3日、「展示は続けられるべきだ」との声明を発表した。
 声明は芸術について「制作者が自由に制作し、受け手もまた自由に鑑賞する。同感であれ、反発であれ、制作と鑑賞の間に意思を疎通し合う空間がなければ、芸術の意義は失われ、社会の推進力たる自由の気風も萎縮させてしまう」と強調。河村たかし名古屋市長や菅義偉官房長官の発言にも触れ、「政治的圧力そのものであり、憲法21条2項が禁じている検閲にもつながる」と批判している。

あいちトリエンナーレ 少女像展示変更も検討

あいちトリエンナーレ 少女像展示変更も検討

 名古屋市などで開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏は2日、同市で記者会見し、元慰安婦を象徴した「平和の少女像」について「展示の変更も含め検討する」と述べた。事務局にテロ予告や脅迫とも取れる抗議電話が殺到していることなども明らかにした。
 一方、同市の河村たかし市長は同日、会場を視察し慰安婦問題が「事実でなかった可能性がある」と発言。少女像を「国などの公的資金を使った場で展示すべきではない」とし展示中止を求める抗議文を、芸術祭の実行委員会会長の大村秀章愛知県知事に出した。
 事務局によると1日、抗議の電話が約二百件、メールは約500件あった。津田氏は会見で「安全面の懸念があり、この状況が改善されなければ何らかの対処は必要」と説明した。中止などの具体的な対応は「検討中」とした。反響の大きさについては「日本の表現の自由が後退した実証になってしまっている」と話した。