今日の東京新聞

購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。

本音のコラム 「無知と怠慢の果て」 北丸雄二

本音のコラム 「無知と怠慢の果て」 北丸雄二/25面

 人口の37%を外国出身者が占めるニューヨーク市は9月末、「国へ帰れ!」などの出身地差別をした者へ最高25万ドル(2700万円)という巨額の罰金を科すことにしました。トランプが大統領になってから彼に後押しされるようにこの種の差別・憎悪事案が増え、こうした発言は差別の歴史を知った上での、確信犯のレベルだと判断されるからです。
 一方、日本で差別発言があるたびに言われるのが「差別の意図はなかった」という言い訳です。
 先月、テニスの「大坂なおみ選手に必要なもの」として「漂白剤。あの人、日焼けしすぎやろ」という漫才がネットで炎上しました。さらに「猿とエッチしたらエイズになるわ」「黒人が触ったもの座れるか!」などの漫才も非難の的にー。
 すると案の定、「黒人差別は日本では身近じゃない」「日本人には差別の感覚がない」からこれらは「本物の差別ではなく無知から生じた発言なのだ」という擁護論が出ました。大坂選手は1月にもCMイラストで肌を白く描かれたのが人種差別と指摘されたばかりです。日本人は一体いつになったら「無知」じゃなくなるんでしょう?
 無知のままで赦(ゆる)されるのは子供だけ。大人の無知はすでに罪です。ましてその無知を言い訳にするのは怠慢も加えた二重の罪の告白です。まずはそれを肝に銘じましょうよ。 (きたまる・ゆうじ/ジャーナリスト)

グレタさん 若者らの怒り代弁

今日紹介するのは、9月25日の紙面です。

f:id:a-tabikarasu:20191008095224j:plain 2面/2019.9.25

「あなたたちは目を背け続けている」 グレタさん 若者らの怒り代弁/2面

 【ニューヨーク=赤川肇】母国スウェーデン地球温暖化対策を訴えるための座り込みを続け、世界に共感を広げてきた環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)。23日、米ニューヨークの国連本部で開かれた首脳級会合「気候行動サミット」に出席し、「あなたたちは私たちを見捨てようとしているのです」と未来を担う若者らの怒りを代弁した。
 「あなたたちは(気候変動の)緊急性を理解していると言います。でも、いくら悲しくても怒っても、私はそれを信じたくないのです。なぜなら、もし本当に現状を理解しているのに行動を起こしていないとしたら、あなたたちは悪です。信じたくありません」
 化石燃料を使い環境負荷の大きい飛行機ではなく、温暖化ガスを出さないヨットで欧州から15日間かけて大西洋を渡ってきた。この日は世界のリーダーらを前に、怒りに震えていた。「私はここではなく、学校に戻るべきです。あなたたちは空疎な言葉で私の夢や子ども時代を奪っているのです」。
 気候変動は30年以上に及ぶ科学的に明白な事実だったとトゥンベリさんは主張。「あなたたちは目を背け続け、目に見える何の政策も解決策もなく、よくもここに来られたものですね」と皮肉り、「若者はあなたたちの裏切りに気付き始めています」とあらためて行動を迫った。
 トゥンベリさんを含む8~17歳の16人は同日、気候危機に対する各政府の不作為が子どもの権利を侵害しているとして、国連子どもの権利委員会に救済を申し立てた。トゥンベリさんは「最悪の結果を避けるには、いま行動する必要があります」と訴えている。

www.youtube.com

dot.asahi.com
<ブログコメント>16歳のグレタさんの懸命な訴えをどう受け止めたらいいのか。昨日、ネットで見つけた上の記事(アエラAERA)を読んで、一つ腑に落ちました。(2019.10.8)
 「環境問題は『未来世代との連帯』と言われてきました、が、その『未来世代』は死者と同じく見えない、声のない人びとでした。その『未来世代』が当事者として人格を伴って登場したことに、世界は衝撃を受けたのでしょう」(上野千鶴子/『AERA』2019.10.7)

 

電凸 多数の電話による「攻撃」

こちら特報部電凸  多数の電話による「攻撃」/26面

 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後2019」が近く再開される見通しだ。抗議や脅迫で中止に追い込まれ、今も賛否さまざまな意見が渦巻いている。心配されるのが「電凸(でんとつ)」と呼ばれる多数の電話による「攻撃」。関係者はどう対応するのか。 (稲垣太郎)

「不自由展」再開へどう対応する?
 「あいちトリエンナーレに関するご意見、ご質問は『1』を、それ以外の県政に関するお問い合わせは『2』を押してください」。愛知県庁の代表電話に電話すると、音声ガイダンスが流れる。
 「1」を選ぶと「発信者の電話番号がすべて記録され、会話内容が録音される」と説明され、県の職員が対応するコールセンターにつながる。通話時間10分で自動的に電話が切れる。
 こんな対応をしているのは、もちろん表現の不自由展を巡って「電凸」が相次いだからだ。
 電凸は開幕前日の7月31日に始まり、初日の8月1日には電話200件、メールやファックスも計500件を超えた。午後にはトリエンナーレ実行委員会の電話がパンク。翌2日に専用のコールセンターを開設。9月17日からは、この音声案内も導入した。
 「録音するというガイダンスが流れ、トーンが和らいだ電話が多くなったような気はする」
 コールセンターでこれまで約120件の電話を受けてきたという男性職員は、その効果を説明する。対応の負担は少し軽くなった。通話時間が10分と短くなり、職員は「より多くの意見を聞けるように件数は増加した」と語る。
 「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」というファックスが来て展示を中止してからも電凸はおさまらない。再開でさらに増える恐れすらある。有識者でつくる「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」は、不自由展の再開に当たって、脅迫や電凸の回避策を十分に講じるよう求めている。
 しかし、決定的な対策はない。県の担当者は音声ガイダンスに加え、「会場の警備を強化する」。再び業務に支障がでるようなことになれば、その時にさらに対策を検討する構えだ。
 「新しいタイプのテロ」。検証委員会の席上で、脅迫と電凸をこう批判する声があった。ただ、行政の施策に反対の意思を示したり、抗議したりすることは、国民の権利。単に数が多いだけで非難されるものではないはずだ。まっとうな抗議と新しいテロの電凸。どこで線を引くべきなのか。
 <略>

トリエンナーレ補助金不交付 有識者委員が辞意

トリエンナーレ補助金不交付 文化庁有識者委員が辞意/1面

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(14日まで)に対し、文化庁が一度採択した「文化資源活用推進事業」の補助金7830万円を交付しないと決めた問題で、文化庁が設置し採択の審査をした有識者委員会の委員1人が辞任を申し出たことが分かった。不交付は委員に相談なく文化庁内で決定され、その際の議事録が作成されていないことも判明した。 (谷口大河、柏崎智子)

 辞意を伝えたのは、鳥取大の野田邦弘・特命教授(文化政策)。
 文化庁は不交付決定を9月26日に発表したが、野田特命教授によると、事前に委員への相談はなく、29日になって同庁の担当者から連絡があった。担当者は不交付は展示内容ではなく、申請内容が不適当という事務的な理由で決めたため委員には諮らなかった、と説明したという。
 野田特命教授は取材に「納得できない。相談なく決めるのなら委員を置く意味がない」と批判。要綱などに定めのない安全性にかかわる報告の有無を理由に不交付を決めたことに「後出し(の理由)で不交付にされたら、自治体はたまったものではない。文化だけでなく、学術研究などあらゆる知的活動が自粛していく」と強い懸念を表した。
 また、同庁が不交付を決めた際の議事録も作成されていないことが判明した。共産党の本村伸子衆院議員が経緯を知るため文部科学省に議事録の提供を求めたところ、同庁から「議事録はございません」と1日付の文書で回答があった。
 回答後に、本村議員が担当者に「恣意(しい)的な決定でないとどう証明するのか」と尋ねたが、「法令に基づき決定した」との回答にとどまったという。本村議員は「異例中の異例のことをしたのにプロセスが分からないのは大きな問題。知る権利や民主主義を守れない」と批判している。
 同庁は、採択は有識者が審査するが、補助金交付は同庁の裁量で、不交付を職員が決めたのは問題ないと説明する。しかし、西尾隆・国際基督教大教授(行政学)は「採択と補助金交付は一体。採択されても補助金がもらえない事態になれば行政システムが機能しなくなる」と指摘。
 さらに、不交付を職員だけで決めたことは「文化に対し、政治や行政は『金は出すが口は出さない』のが原則なので、補助金の対象事業の採択は外部の有識者に審査を依頼している。その後に不交付を事務レベルで決めてしまうのは、政治的な介入をさせないためのしくみを無意味にし、極めて不適切」と批判する。

本音のコラム 「萩生田氏と表現の自由」 前川喜平

本音のコラム 「萩生田氏と表現の自由前川喜平/25面

 萩生田光一文部科学大臣は、あいちトリエンナーレへの文化庁補助金7800万円全額を交付しないと決定した。この決定は、テロ予告や脅迫で「表現の不自由展」を中止させた勢力に加担する行為であり、表現の自由を圧殺する暴挙だ。文化庁の審査会は一体どんな審査をしたのだろう。宮田亮文化庁長官は、ご自身が金属工芸表現者だが、今回の大臣の決定に何らの抵抗もしなかったのだろうか。
 不交付の理由として文化庁は「十分な説明がなかった」という手続きの不備を挙げたが、これは口実にすぎない。萩生田氏は「中身については全く関与していない」と説明したが、それはうそだ。本当は「平和の少女像」など展示の中身が気に入らなかったのだろう。しかし、大臣の私的な好き嫌いでいったん採択した補助金の交付を撤回することは許されない。
 真の理由は、萩生田氏自身のゆがんだ歴史観嫌韓感情、憲法が保障する表現の自由への無理解にある。彼は、「表現の不自由展」を中止に追い込んだ勢力と同じ思想・感情を持っているのだ。
 大村秀章愛知県知事は「表現の不自由展」の再開をめざす方針を表明していた。今回の補助金不交付決定に対しては「表現の自由を高らかに掲げて裁判で争う」と言明している。僕は大村知事を支持する。 (まえかわ・きへい/現代教育行政研究会代表)

 

トリエンナーレ補助金 再開直後の不交付

トリエンナーレ補助金 再開直後の不交付/29面

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、文化庁が芸術祭への補助金の不交付を決めた。関係者からは「文化の危機」「忖度(そんたく)が広がりかねない」と怒りや不安の声が上がった。 (小倉貞俊)=1面参照

 「愛知県知事が展示再開を目指すと表明したばかりだったのに…」。憤りをにじませるのは、企画展に靖国神社参拝を批判する紙などを張り付けた立体作品を出品した造形作家、中垣克久さん(75)。「展示内容を疑問視してきた菅義偉官房長官河村たかし名古屋市長らの発言からみても、手続きの不備で補助金を交付しないのは表向きの理由でしかない」と断じる。
 さらに「多様な価値観を認め合うべき文化・芸術分野に、政治や行政が介入するのは、社会が統制された戦前にも似て歴史的な危機。末期症状であることに気付かない人は多い」と語気を強める。
 同じく企画展に出品した芸術家グループ「Chim(チン)↑Pom(ポム)」はツイッター上で「あり得ない。日本の公共的文化制度が終わります。こんな前例ありますか。これがまかり通って良いのでしょうか」とコメントした。グループの出品作品は、原発事故の被災地を舞台にした映像作品。説明文には、過去に別の展示会に出そうとした際、主催者から「安倍政権になってから、海外事業へのチェックが厳しい。福島、慰安婦、朝鮮などはNGワードで、背くと首相周辺からクレームが来る」との趣旨の説明を受けたと明かしている。
 有識者や市民でつくる「表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク」を七月に立ち上げた世話人の一人、武内暁さん(70)は、文化庁の不交付決定について「これを機に、政府の意向を忖度する空気が、いっそう広がりかねない」と危ぶむ。
 行政などによる表現の自由への侵害行為が全国各地で起きていることを注視しており、26日も東京都内で関連のシンポジウムを開催。「政府の意向にそわない展示には補助金を出さない、という構図にみえる。国民主権の前提である多様な意見が抑圧され、公共機関にも民間にも自粛ムードがまん延しつつある。われわれ一人一人が、今こそ問題を考えていかなければ」と力を込めた。

「憲法変えようとする人 怪しいと思え」 山本太郎インタビュー

憲法変えようとする人 怪しいと思え」 れいわ代表山本太郎インタビュー/1面

 れいわ新選組山本太郎代表は本紙の単独インタビューに応じ、安倍政権が目指す改憲に「現行憲法を守らずに変えようとする人間たちは信用するな、怪しいと思え、ということ」と反対する姿勢を示した。次期衆院選で消費税率5%への引き下げで野党が結集し、政権交代を目指す考えを強調した。 (大野暢子)

 山本氏は憲法が守られていない例として「いちばん分かりやすいのが25条、生存権だ。『健康で文化的な最低限度の生活』ができている人がどれだけいるのか」と指摘した。
 憲法9条への自衛隊明記や、有事に政府への権限集中を認める緊急事態条項の新設などを掲げた自民党改憲四項目については「本丸は緊急事態条項。全て内閣で決めて首相の思い通りにできる。国会はいらなくなるということ」と批判。「自衛隊の明記が大きな問題として取り上げられる可能性があるが、明記しようがしまいが、緊急事態条項が通れば何でもできちゃうって話だ」と訴えた。
 10月から税率が10%に引き上げられる消費税については「収入の少ない人ほど負担が大きくなる。この国を弱らせてきた原因」と指摘。次期衆院選では、れいわが掲げる税率5%への引き下げを野党の共通政策とすることで「消費税を争点にし、減税で人々の生活をどう守るかというカードを出す」との構想を示した。
 引き下げに慎重な立憲民主党や国民民主党には「万年野党で居続けるか、政権交代を起こすかだ」と連携を呼びかけた。一致できなければ「政権交代する意思がない」として、小選挙区での候補者調整に応じない可能性も示唆した。
 山本氏自身の2020年の東京都知事選や次期衆院選への立候補を含めた今後の去就は「全ての可能性を排除しない。山本太郎というカードを最大限に生かせる選択肢を選びたい」と語った。
 れいわは今年4月、参院議員だった山本氏が政治団体として設立。7月の参院選比例代表で228万票を獲得し、重度障害者の2人が当選した。れいわは政党要件を満たしたが、山本氏は議席を失った。

<やまもと・たろう> 1974年、兵庫県宝塚市生まれ。91年に俳優デビューし、映画やドラマに出演。2011年の東京電力福島第一原発事故をきっかけに反原発運動を始める。13年に参院選東京選挙区に出馬し初当選。14年、「生活の党と山本太郎となかまたち」に合流し、共同代表に就任(16年に自由党に改称)。19年4月、自由と国民民主党の合流に加わらず、政治団体のれいわ新選組を立ち上げた。