今日の東京新聞

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政府への異論 議事録削除 社会保障検討会議

政府への異論 議事録削除 社会保障検討会議/3面

 政府が9月に開いた全世代型社会保障検討会議の初会合を巡り、有識者メンバーとして政府方針と異なる意見を述べた中西宏明経団連会長の発言の一部が、公表された議事録に記載されていないことが7日分かった。政府が見直しを検討している「在職老齢年金制度」に言及した部分で、複数の会議関係者が「削除された発言がある」と明らかにした。異論を表面化させない意図が働いた可能性がある。
 社会保障に関わる幅広い検討を行い将来にわたる制度改革を決める重要会議で、議論の透明性を担保するはずの議事録の削除があったことに、専門家からは「政策決定過程の信頼性を損ないかねない」との批判も出ている。
 問題の議事録は、安倍晋三首相が議長を務めた9月20日の会合で、閣僚や有識者ら出席者の発言を記録したもので、10月4日に首相官邸のホームページに公開された。
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 中西氏は取材に対し、削除された内容を会議の場で発言したのは事実とした上で、議事録の記載は「政府側の判断だ」と述べた。一方、会議の事務局の担当者は「所定の手続きを踏んでおり、適切に処理したと考えている」とコメントした。
 公文書問題に詳しい東京大の牧原出(いづる)教授(政治学)は「発言内容をできる限り記録に残すのが公文書の原則だ。異論をないことにしてしまう安倍政権の体質が出ている」と指摘した。

ウィーン芸術展 公認撤回 不寛容な政府に反発

ウィーン芸術展 公認撤回 出品者、不寛容な政府に反発/1面

 オーストリアと日本の国交150年記念事業としてウィーンで始まった芸術展について、在オーストリア日本大使館は記念事業の認定を取り消した。政府に批判的な動画や、東京電力福島第一原発事故をモチーフにした作品が含まれていたためとみられる。出品するアーティストらは批評に不寛容な政府の姿勢に反発を強めている。
 芸術展は、日本の表現の自由の限界をテーマにした「Japan(ジャパン) Unlimited(アンリミテッド)」で、現代美術家会田誠さんや美術集団「Chim↑Pom(チンポム)」など約20アーティストが出展。9月26日~今月24日、ウィーンの「ミュージアム・クオーター」で開かれている。
 会田さんは、日本の首相が国際会議で演説する動画を出品。別のアーティストは、終戦後、昭和天皇連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー最高司令官が並んで撮影した写真のパロディーを出品した。血の付いた放射線防護服に見える作品も展示されている。
 大使館によると、芸術展の開会後に内容を審査し、先月30日付で公認取り消しを主催者側に通知。大使館は「展示全体が『日本とオーストリアの相互理解と友好を促進する』という認定要件に合っていなかった。どの作品が原因とは言えない」と説明する。「日本の国会議員から外務省に意見があったことも要素の一つ」とするが、展示は続いており「表現の自由の侵害には当たらない」とする。
 同展に出品する「Chim↑Pom」メンバーの卯城(うしろ)竜太さんは「複雑につくられた作品の一部を切り取って『反日』と断じることは本質を見誤っている」と批判。公認の撤回は「『国民が自国を批評する』という民主主義国家として当たり前のことに政府がネガティブな姿勢であると、海外に広く示してしまった」と話している。 (梅野光春、小倉貞俊)

本音のコラム 「嘘から出てきた実」 北丸雄二

本音のコラム 「嘘から出てきた実」 北丸雄二/25面

 今日の午後にも4者協議で結論が出る五輪マラソン札幌案で、どうにもわからないのは「最後の段階まで相談も議論もなかった」と苦言を呈する小池都知事の怒りが、一体どこに向けられているのかということです。
 そりゃ誰だって相談もなく頭ごなしに既定路線を変えられたら頭にきます。でも、そもそもなぜ変えられたのかが問題の核心。それがもっともな理由ならゴネるのは(心情はわかりますが)みっともない。そしてその核心とは、東京の夏は「温暖でアスリートに最適」と言って招致した「嘘(うそ)」のことです。
 私たちはみな東京の8月が「温暖」などではないことを知っています。「マラソンしたら死ぬぜ」とマジで話していました。だから300億円もかけて道路舗装に手を加えたり打ち水をしようなどとさえ呼びかけられ、同時に、そんなのは文字通り「焼け石に水」だとも知っていました。
 小池さんが怒るべきはその最初の嘘に対してであり、その嘘の責任者です。でもエラい人たちは誰も(「福島はアンダーコントロール」という復興五輪の嘘にも)それを咎(とが)めない、謝らない。
 開催時期の縛りや競技規則の勝手な変更など、五輪は常に「頭ごなし」でした。札幌移転費用のゴタゴタであらためてカネの問題も再燃するー。嘘から出てきた実(まこと)の姿にたじろぐ東京の11月です。(きたまる・ゆうじ/ジャーナリスト)

<社説>「身の丈」発言 制度の欠陥認め 見直せ

 <社説>「身の丈」発言 制度の欠陥認め 見直せ/5面

 撤回ですまされる話ではない。「身の丈に合わせて頑張って」という萩生田光一文部科学相の発言は、英語民間試験では公平性が担保できないことを自ら示している。制度を見直すべきではないか。
 大臣はもちろんご存じだとは思うが、そもそもの話から書く。教育の機会均等は憲法14条の法の下の平等と、憲法26条によって保障されている。
 これを具現化し1947年にできた教育基本法は「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」とうたう。憲法14条にはない「経済的地位」が追加された。貧富で子どもの未来が左右されてはならないという決意の表れだろう。2006年の改正後もこの部分は変わらない。
 大学入学共通テストで導入される英語民間試験は機会均等の原則を損なう恐れがある。6団体7種類の試験は都市部での開催が中心で、受験料が2万円を超える試験もある。地方の受験生は交通費や、場合によっては宿泊費もかかる。共通テストで成績が使われるのは3年生で受ける2回だが、試験に慣れるためには同種の試験を繰り返し受けた方が有利だ。
 萩生田文科相は自らの発言を撤回した29日の会見でも「制度としては平等性が担保される」と話す。しかし全国高等学校長協会が延期を求めるなどの異例の事態を見れば、教育現場がそう感じていないことは明らかだ。
 すでに経済格差や地域格差が以前より高い壁となっている現実がある。08年のリーマン・ショック以降、首都圏の大学に通う地方出身者の割合は減少している。地方の受験生が挑戦しやすいよう制度を改革する大学もある。多様性が生み出す活発な議論が、イノベーションなどの新たな価値を生み出す効果を重視しているからだろう。
 共通テストの民間試験も4年制大学の3割が使わず、出願資格とした大学でも別の手段で英語力を証明する余地を残したところもある。格差拡大への懸念が解消していないことの表れだ。
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辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める

<社説>辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める/5面

 沖縄県辺野古新基地建設阻止のため国を相手に起こした訴訟で、県が敗訴した。法治の規範であるべき国が、法の恣意(しい)的運用で地方自治を封じ込める-。そんな手法を認めた判決は納得し難い。
 福岡高裁那覇支部が23日、判決を言い渡した裁判は「国の関与取り消し訴訟」と呼ばれる。
 新基地建設を巡り、県は昨年8月、埋め立て承認を撤回。防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法(行審法)に基づき、埋め立てを所管する国土交通相に審査請求し国交相は4月、撤回を無効にする裁決をした。これを根拠に防衛局は埋め立て工事を進めている。
 県の主張は主に(1)行審法は国民(私人)の権利救済を目的としており防衛局は審査請求できない(2)防衛局と同じ内閣の一員である国交相が申し立てを審査するのは公正さを欠く-の2点。国の手続きの是非のみを争点に違法な請求に基づく裁決を取り消せと訴えた。
 高裁判決は、国の言い分を全面的に認め、県の請求を却下した。
 埋め立ては民間業者も行う事業で、県もそれと同様に許認可を判断したのだから防衛局にも民間人と同じ権利がある、国交相の権限乱用もなかった、と認定した。
 防衛局が私人とはどう考えてもおかしい。海上保安庁が立ち入りを規制する海域で基地を建設するのは、国の専権事項である防衛のため。行審法はこうした「固有の資格」を持つ国の機関は審査請求ができないと定めている。国交相の裁決も「選手とアンパイアが同じ立場」という玉城デニー知事の主張の方に利がある。
 翁長前県政時代からの県と国との訴訟は8件に上るが、国の裁決に関して判決が出たのは初めて。
 多くの行政法学者が「法治国家に悖(もと)る」と批判した強引な法の運用で自治体の決定を覆すことが許されるなら、憲法がうたう地方自治の理念は大きく歪(ゆが)む。三権分立の観点からも司法の中立的判断が期待されたが、県の主張は退けられた。県は上告する方針だ。<略>

 

「社会に広がる虚無感」 編集局南端日誌

「社会に広がる虚無感」 編集局南端日誌/27面

正常性バイアスの結果?
 台風19号は各地で甚大な被害をもたらした。まだ避難所から離れられない人びともいるのに、次の台風が迫る。すでに暦は10月下旬である。
 海水温の高さが一因とされる。たしかに釣りをしていても、魚種から海中はいまだ夏だと実感する。水温上昇はここ数年続いており、常態化しそうだ。気候は過去とは異なる別次元に入ったのだろう。
 ただ、従来と異なる次元に突入したのは気候だけではない。人びとの倫理観もそうではないか。台風で報道は減ったものの、関西電力の金銭授受問題はそう感じさせる。
 原発建設をめぐる腐敗構造は周知の通りだが、今回それ以上に驚いたのは関電幹部たちの言い訳の拙さだった。世間的には彼らは社会的エリートなのだろうが、その劣化のひどさにがくぜんとした。
 例えば、もらった金品について「個人的にあずかった」と釈明した。ところが受け取ったスーツ券は仕立てられていた。そればバレると、他人のせいにした。いわく金品を渡した福井県高浜町の元助役(故人)が怖い人物で「おびえて」返せなかったという。
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 「子どもじみた」という表現は子どもたちに失礼だが、この幼稚さは関電幹部にとどまらない。先生も同じだ。神戸市立東須磨小の教員らによる後輩教員いじめである。
 激辛カレーを食べることを強要し、ぬぐいつけ、送迎を強いていた。深刻なのは市教委の対応だ。給食のカレーの一時中止を決めた。いったい何を考えているのだろう。
 公職選挙法に抵触しかねない菅原一秀経済産業相の「贈答品バラまき疑惑」では元秘書や有権者の証言もある。だが、当人は「リストが見つからない」と開き直っている。ほかにもあれこれある。それでも世間の反応は煮え切らない。逆にニヒリズム虚無主義のにおいが強まっている。
 今回の台風では「正常性バイアス」が被害を広げたと語られた。災害などに際し、自分に不都合な情報を無視しようとする人間の特性である。漂う虚無感の原因はこれかもしれない。そうだとすれば、直面している危機は極めて深刻だ。(特報部長・田原牧)

ジェーン・フォンダさん 温暖化防止訴え 一時拘束

ジェーン・フォンダさん  一時拘束 温暖化防止訴え  米で無許可デモ/2面

 【ワシントン=時事】「帰郷」「9時から5時まで」などの映画に主演した米女優ジェーン・フォンダさん(81)が11日、地球温暖化防止を訴えて米首都ワシントンの連邦議会前で無許可の抗議行動を繰り広げ、警察に身柄を拘束された。その後、釈放されたという。
 フォンダさんは赤いコート姿で抗議行動に参加。後ろ手に手錠を掛けられ連行される様子が、テレビで報じられた。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、首都警察は「違法デモに参加した16人を逮捕した」と説明した。
 フォンダさんは拘束前、米メディアの取材に「気候変動の危機が最優先課題だと、はっきりさせなければならない」と強調。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)への連帯も表明した。
 フォンダさんはアカデミー主演女優賞を2回受賞。ベトナム反戦運動など政治活動に積極的に携わってきたことでも知られる。