今日の東京新聞

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本音のコラム 「10大ニュース」 斎藤美奈子

本音のコラム 「10大ニュース」 斎藤美奈子/23面
 今年もあますところ1週間。各種10大ニュースが発表になっている。
 読売新聞の読者が選ぶ「2019年日本の10大ニュース」も、在京の新聞・通信8社の「社会部長が選ぶ今年の10大ニュース」も、1位は「天皇陛下が即位。『令和』に改元」だった。以下、双方の上位に入った項目は「京都アニメーション放火、36人死亡」「ラグビーW杯日本大会、日本8強」「東日本で台風大雨被害、死者相次ぐ」など。読売読者が4位に選んだ「消費税10%スタート」を社会部長は無視し、社会部長が8位に選んだ「首相主催『桜を見る会』、私物化に批判噴出」は読売では圏外。
 なんでそうなるの !? とは思うが、まあ改元ラグビーも私には圏外だからな。以下、どちらにも選ばれなかった国内の重要ニュースを時系列で拾っておきたい。
 ①沖縄県名護市辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票で「反対」が7割に(2月)、②かんぽ生命の不正発覚(7月)、③参院選でれいわ新撰組健闘。二人の障害者議員が誕生(7月)、④あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」一時中止に(8月)、⑤新閣僚相次いで辞任(10月)、⑥伊藤詩織さん、元TBS記者・山口敬之氏の性暴力を訴えた裁判で勝訴(12月)
 今年最後に飛び込んできた山口氏の敗訴は桜事件と並ぶ首相案件だ。来年こそは真相究明につなげたい。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)

国の借金、太平洋戦争末期水準

国の借金、戦争末期水準 18年度残高  GDPの2倍/1面

 日本が抱える借金の規模が太平洋戦争の末期とほぼ同じ水準になっている。借金の推移を示すグラフは二度大きな山を描いており、一度目は敗戦後の極端なインフレで帳消しになる一方で国民の資産も失われた。現在も編成作業が大詰めに入った2020年度当初予算案は過去最大になる見通しで、巨額借金の帰結がどうなるのか、誰も答えを見いだせていない。 (渥美龍太)

 「戦前・戦時期の金融市場」を著した東京海上アセットマネジメントの平山賢一氏の分析では、18年度の国内総生産(GDP)に対する借金残高比率は200%。終戦前年1944年度は国の借金の経済規模に対する比率は204%で両者はほぼ同じ水準だ。
 19年度4兆5000億円の補正予算案に加え、20年度当初予算案も2年連続の100兆円超えの見通し。借金残高はさらに上昇する。
 戦時発行された国債は戦後のインフレで価値を失い、購入していた一般国民が大きな損失を被った。今は大規模金融緩和の一環で日銀が国債を大量に買い入れ所有する。
 日銀元審議委員木内登英(たかひで)氏は「日銀の買い入れで財政規律が緩んだ」と指摘。「借金は結局、将来世代へのツケ回し。企業が将来の増税などで消費が落ちるとみなし、賃金や設備投資を抑える弊害もすでに生じている」とみる。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201912/CK2019121702000155.html

新聞を読んで 「生徒の思考力と安倍内閣」 寺町東子

新聞を読んで 「生徒の思考力と安倍内閣」 寺町東子/5面

 2018年に高校1年生を対象に経済協力開発機構OECD)が実施した学習到達度調査(PISA)の結果が公表され、日本の生徒の読解力が低下していることが示された。特に、根拠を示して考えを述べる力、情報の真偽を見極める力が弱いとのことである。(12月4日朝刊)<略>
 しかし、翻って考えると、日本社会でそうした力は、どれほど求められているのだろうか。
 首相主催の「桜を見る会」の招待客名簿を今年5月に野党議員が内閣府に請求したその日に、内閣府は資料を破棄し、残されていた電子データのバックアップも後に破棄したと回答していた(12月4日朝刊)。これは、国民の代表である国会議員の国政調査権に基づく記録の提出要求(憲法62条)を無視し、国会(立法府)が内閣(行政府)をチェックする機能を無効化する行為である。
 また、「桜を見る会」に反社会的勢力とされる人物が参加していた問題で、第1次安倍内閣が07年に反社会的勢力の特徴を定義したにもかかわらず、一転「反社会的勢力の定義は一義的に定まっているわけではない」として、参加者の実態確認を拒否している(12月2日朝刊)。都合が悪くなると基準を変えてしまう手法は、実体調査による真偽判定や、論理的な当てはめとは対極にある姿勢だ。
 安倍内閣は、国有地の売却に関する利益供与が疑われた森友学園問題、獣医学部の新設に関し「総理のご意向」の影響が疑われた加計学園問題の際にも、疑惑解明の鍵となる文書を保存期間1年未満文書として廃棄したとして、事実確認を拒否してきた(11月29日朝刊、12月8日朝刊)。しかし、公文書の管理は、行政の透明性を確保し、法の支配(rule of law=権力を法で拘束することによって個人の権利・自由を擁護することを目的とする原理)を全うするうえで極めて重要な事項である。
 内閣が権力の恣意(しい)的な行使を疑われているときに、公文書を廃棄し、基準を変え、事実確認すらも拒否できるとなれば、行政の専横をチェックすることはできなくなる。
 このような大人の姿勢を見て育つ子どもたちに、論理的思考力やファクトチェックの重要性を訴えても響かないだろう。隗(かい)よりはじめよう。  (弁護士・社会福祉士) 2019.12.15

筆洗 2019.12.12 「ムーミン谷の仲間たち」

筆洗 2019.12.12 「ムーミン谷の仲間たち」/1面

 フィンランド作家トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の仲間たち』に「目に見えない子」が出てくる。女の子の名はニンニ。人から皮肉を言われ続けたせいで顔が青くなり、色あせ、ついには見えなくなってしまった▼ムーミンママの薬によって、少し回復するのだが、顔がなかなか見えてこない。ムーミンの仲間で遠慮のない性格のミイはいつもおどおどしているニンニに腹を立てる。「たたかうってことをおぼえないうちは、あんたには自分の顔はもてません」▼内気なニンニを思いだしたのはヘルシンキ生まれのその女性も少女時代、自分を「透明人間」のように感じていたと語っていたからである。フィンランド首相に選ばれたサンナ・マリーンさん。34歳は現職の首相としては世界最年少という▼幼いころ、両親が離婚し、母親と母親の女性パートナーによって育てられたそうだ。同性カップルである。貧しく、当時の感覚では風変わりに見えた家庭のことを少女はあまり人に話したくなかったそうだ。「透明人間」の理由はこのあたりにある▼もっともそういう家庭が少女を政治に向かわせたのだろう。「平等、公平、人権」に重きを置いた政治を訴えている。その大切さを育った家庭と苦しい生活の中で身をもって学んだ▼タフで率直な物の言い方をする人と聞く。現在はどちらかといえば頼もしいミイに近いらしい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019121202000123.html

桜名簿「復元しないのは違法」

桜名簿「復元しないのは違法」 元公文書管理委の弁護士指摘/1面

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡り、元公文書管理委員会委員長代理で、行政文書の管理に関するガイドラインの改定に携わった三宅弘弁護士が本紙のインタビューで「国会議員が資料を要求したのに復元しないのは公文書管理法に違反する」と明言し、法改正も含む抜本的な改革を政府に求めた。内閣府が招待客名簿の保存期間を1年未満にしたことも「情報隠しと疑われても仕方ない。官僚の劣化だ」と痛烈に批判した。 (妹尾聡太、清水俊介)

 内閣府は今年の招待客名簿の書類と電子データを「5月に破棄した」と説明。当時は共産党議員が関連資料を請求した直後で、外部にバックアップ(予備)データが保存されていたが公表せず、現在も「復元は不可能」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)との立場を崩していない。
 政府のこうした対応について、三宅氏は「招待客名簿の廃棄を正当化するために、今まで積み重ねてきた情報公開法と公文書管理法の運用をねじ曲げている。その場しのぎで実に見苦しい」と批判し、政府が今後もガイドラインに沿わない不適切な運用を続けるのであれば「公文書管理法の抜本的な改正をしなければいけない」と強調した。
 ガイドラインが「重要または異例な事項に関する情報を含む」文書などについて、保存期間を1年以上に設定するよう定めていることを踏まえ「保存期間1年未満の文書でも、議論になれば(1年以上保存の)歴史公文書として残す必要がある」とも語った。
 菅氏が予備データについて、職員が業務に使用できず「組織共用性」を欠くため、行政文書に該当しないと説明したことに対しては「ものすごく解釈が狭い。バックアップは万が一のために組織で共用している。行政文書だ」と明言した。
 安倍政権の文書管理の姿勢については「公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源なのに、権力維持のために情報をコントロールしている」と指摘した。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019121290070340.html

本音のコラム 「永田町菌の猛威」 斎藤美奈子

本音のコラム 「永田町菌の猛威」 斎藤美奈子/25面
 7日、菅義偉官房長官は視察先の熊本県益城町で「各地に世界レベルのホテルを50カ所程度新設することを目指す」と述べたそうだ。驚異的なズレっぷり。益城町は2016年4月の熊本地震で大きな被害が出た被災地だ。そこでわざわざこんなこというか?
 9日、安倍晋三首相は国会閉幕後の記者会見で「憲法改正はけっしてたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と述べたそうだ。これまた驚天動地のズレっぷり。自らの疑惑解明はそっちのけ、国会からも逃げ回っておいてどの口が…である。
 以上二つの発言は、この政権が何らかの病魔に侵され、正常な判断力を失っていることをうかがわせる。目の前の厄災は知らぬ存ぜぬで通す。自身に向けられた疑念を聞こえぬふりをし、一部の身内にだけアピールしそうなことをいう。問いと答えがかみ合わない。現実から目をそむけ、五輪や賭博などの快楽に逃避する。権力に長くいたために増殖した永田町菌の仕業か。憂慮すべきは永田町菌が霞ヶ関にも回り官僚が続々「プチ菅」化していることだ。
 桜事件を追及する野党やメディアに「いつまでやっているのだ」「もっと大切なことがある」と意見する方には、何をおっしゃる、病巣の摘出が先だといいたい。「もっと大切なこと」があれですよ。緊急手術レベルでしょ。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)

「桜」名簿 復元指示せず 国会閉幕

「桜」名簿  復元指示せず  国会閉幕、首相会見「改憲、必ずや私の手で」/1面

 第200臨時国会は9日、閉会した。安倍晋三首相は官邸で記者会見し、自身が主催した「桜を見る会」について、招待者名簿の復元を指示する考えがあるかどうかを問われ「内閣府が定められた手続きにのっとって適正に廃棄している」と応じない考えを明らかにした。データ復元も「不可能との報告を受けた」と述べた。名簿が復元できなければ、首相の地元支持者が多数招かれたほか、反社会的勢力も出席していた問題は解明できない。首相自ら問題の幕引きを急ぐ姿勢を示した。(中根政人)

 首相は、マルチ商法を展開した「ジャパンライフ」の元会長が2015年に招待されたことを巡っては「個人的な関係は一切ない。多人数の会合で同席した可能性までは否定しないが、1対1の形で会ったことはない」と強調した。
 桜を見る会の運営の在り方については「招待者の基準があいまいで、結果として招待者数が膨れ上がってしまった」と説明。「国民からさまざまな批判があることは承知している。運用を大いに反省する」と語った。予算や招待人数の見直しは「私自身の責任において行う」と述べた。
 これに関連し、菅義偉官房長官は記者会見で、見直し策を来年夏までに取りまとめる考えを示した。
 首相は改憲に関し「決してたやすい道ではないが、必ずや私自身の手で成し遂げていきたい」と21年9月までの自民党総裁任期中の実現に意欲を示した。来年の通常国会では「憲法審査会で与野党の枠を超えた活発な議論を通じ、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させたい」と語った。<略>

<解説>「逃げ」際立つ長期政権
 長期政権の秘訣(ひけつ)は逃げ足の速さにあるのかと言いたくなる。臨時国会では、通算在職日数で憲政史上最長を更新した安倍晋三首相率いる政権のひずみやおごりが一気に表面化した。その度に首相は反省や陳謝を口にしながら、国民の疑問には十分に答えないままだった。
 首相は9日の記者会見冒頭、桜を見る会に関し自ら釈明せず、都合の悪いことは語りたがらない姿勢を鮮明にした。日米貿易協定承認を成果として誇る一方、日本製自動車の関税撤廃を米国が現時点で認めていないことには触れなかった。
 桜を見る会を巡る問題は政権の体質を象徴する。地元支持者を多数招待したことは「身びいき」との批判を免れない。首相夫妻の「お友達」を優遇して行政がゆがめられた疑念が晴れない森友、加計学園問題と同じ構図だ。公文書が残っていないとして幕引きを図る手法も共通する。
 逃げの姿勢は、公選法違反疑惑を指摘された菅原一秀経済産業相河井克行前法相の相次ぐ辞任を巡っても際立った。首相は閣僚の順法精神が問われる異常事態に「任命責任は私にある」と頭を下げたが、その後、2人に説明責任を果たすよう促した形跡はない。
 都合のいいことだけを語る姿勢に大宰相の威厳は感じられない。記者会見では在任中の衆院解散・総選挙の可能性に言及した。堂々と疑問に答えられない首相がさらに在任を続ける先にどんな政治があるのか。首相官邸を取材するチームのキャップとして、権力監視の責務を改めて確認した。(後藤孝好)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201912/CK2019121002000132.html