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ドナルド・キーンの東京下町日記

  f:id:a-tabikarasu:20170611182917j:plain 2017.6.11

「五輪の闇 報じるべき」 ドナルド・キーンの東京下町日記

 前回の小欄に、私が自転車に当て逃げされたことを書いたところ、多くの読者の皆さんからお見舞いの手紙が届いた。中には「また、事故に遭いませんように」と、お守りを送ってくれた方もいた。街中でも「大丈夫でしたか?」と声を掛けていただいた。右肘の擦り傷は大したことはないが、痛かったのは心の傷。それも皆さんのお気遣いで、すっかり完治した。
 この連載を始めて今年で6年目になるが、ほぼ毎回、手紙が届く。今月で95歳の私は、残された時間を研究活動に使うために返事も書かず、申し訳なく思っている。だが、暖かい手紙は私の活力になっている。この紙面をお借りして、お礼を申し上げたい。
 ところで、意外なのだが、これまでに一番、手紙が多かったのは、私の専門分野の日本文学がテーマだったときではない。、昨年9月に、リオデジャネイロ五輪の報道を批判したときだった。新聞もテレビも、日本選手の活躍ばかりを大きく報じた。その影響で他の重要なニュースが押しつぶされ、まるで全体主義国家にいるような気分がした。
 スポーツに縁がなく、メディア論も門外漢の私だが、五輪という強い光によって、他のニュースが見えなくなることに違和感があった。2020年の東京五輪に向けても、懸念がある。私への手紙が多かったことからして、共感した読者も多かったのだろう。
 あれから9ヶ月たって、私の懸念はますます深まっている。最近では、東京五輪でのテロ対策にかこつけた「共謀罪」法案が、数の力で衆議院を通過した。五輪とは全く関係がないのに、平和憲法を20年に改正しようとする動きも顕在化している。
 私は、もともと東京五輪には反対だ。まだ、その時期ではない。「復興五輪」と銘打ちながら、東日本大震災原発事故の被災地の復興とは無関係だ。むしろ、五輪関連の公共事業によって職人が不足し、復興の遅れや費用の高騰を招いていると聞く。原発事故の後始末もこれからだ。
 被災地にもスポーツ観戦が好きで、東京五輪を楽しみにしている人もいるだろうが、大震災から6年たっても、それどころではない被災者は少なくない。
 五輪の競技施設の建設にしても、東京都知事が代わって、少し見直しをしただけで何百億円も事業費が減額となったことは、誰が見ても不可解だ。まだまだ、五輪の光に隠れている闇はあるはずだ。
 今、私は実行委員長を務める古浄瑠璃「弘知法印御伝記」の公演で、12年に五輪が開催されたロンドンに滞在している。ロンドン五輪は大会後の再開発が評価され、先進国型五輪の成功例とされるが、その背景には積極的な情報公開による住民理解があった。開催から5年の今も是非の議論は続いている。東京五輪の開催返上は非現実的にせよ、その光に幻惑されずに、批判すべきを批判し、報ずべきを報じるジャーナリズムが試されていると思う。 <日本文学研究者>

 

  f:id:a-tabikarasu:20170611183135j:plain 2017.6.11

共謀罪「NO」 声/国会前

 米普天間(ふてんま)飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古(へのこ)での新基地建設や、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に反対する人たちが10日、国会周辺で抗議集会を開き、約18000人(主催者発表)が参加した。参加者らは国会議事堂を取り囲み、新基地建設の反対運動への弾圧が強まっていると訴え「『共謀罪』法案が成立すれば、市民の動きはさらに抑圧される」と声を上げた。
 国会周辺の四ヶ所にステージが設けられ、リレートークが行われた。稲嶺進名護市長は、反対運動の中心的存在で沖縄平和運動センター議長の山城博治(ひろじ)被告=公務執行妨害などで起訴=が長期拘留されたことを挙げ、「『共謀罪』を先取りしたようなことが起きている。法案が通れば、口をつぐんで、正面を見据えることもできず、いつもおどおどしながら生活しなくてはならない時がきてしまう」と訴えた。

 


<ブログコメント>「ドナルド・キーンの東京下町日記」は月一回の連載です。三島由紀夫をはじめとする戦後の日本の小説家と親交の深かったキーンさんは、今は日本国籍を取得して、日本人として東京に住んでいます。御年95歳! 「共謀罪NO 声/国会前」は、東京新聞の定点観測ポイント、国会前からの市民の声です。