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無審査で廃棄 保存「1年未満」の公文書

  f:id:a-tabikarasu:20170626110215j:plain 2017.6.26

無審査で廃棄 大臣決定がお墨付き 保存「1年未満」の公文書

 南スーダンPKOの日報や、森友学園への国有地売却に絡む文書の保存期間は「1年未満」とされていた。問題は、この「1年未満」文書が、担当部局の判断だけで廃棄されていることだ。そのブラックボックスぶりは深刻だ。NPO法人情報公開クリアリングハウスは、不透明な廃棄にお墨付きを与えている内閣総理大臣決定の凍結を求めている。(佐藤大

 「保存期間が1年未満のものであっても、行政文書を担当部局が勝手に廃棄していい根拠はどこにあるのか」
 「1年未満」文書が相次いで破棄されていた問題を受け、同NPO法人の三木由希子理事長は5月中旬、内閣府公文書管理課に問い合わせた。そこで示されたのが、公文書管理法が施行された2011年4月1日付の内閣総理大臣決定だったという。
 本来、公文書管理法は、行政の意思決定の過程も後から検証できるように、役所に文書作成を義務付けている。保存期間が過ぎた後、歴史的価値のある文書は国立公文書館などに移管し、廃棄する場合は内閣府の審査を受ける仕組みで、例外はない。
 だが、その決定は「1年未満」文書は、廃棄にあたって個別の審査手続きなしに廃棄していい、とする内容だった。決定は公文書管理について第三者的立場から調査審議する「公文書管理委員会」にも示されず、これまで明らかにされていなかった。三木氏の問い合わせ後、内閣府のホームページに掲載された。
 ただ、決定が想定している「1年未満」文書はそう非常識なものではない。例として記載されたのは「別途1年以上の保存期間で正本・原本が管理されている行政文書の写し」。これなら担当部局の判断で廃棄しても問題はなさそうだが、実際の「1年未満」文書はあぜんとするものも少なくない。三木さんによると、過去の情報公開請求で分かった「1年未満」文書には「『統合防衛戦略』作成にあたり取得及び作成した行政文書」「陸上自衛隊イラクでの人道復興支援活動中に現地で制作・発行・配布した広報資料」なども含まれている。
 三木さんによると「1年未満」文書は、2001年に施行された情報公開法で、請求対象を整理する区分として登場した。公文書管理法にも引き継がれたが、保存期間の線引きもあいまいで各省庁の裁量が大きい。当初は軽微な文書のみを想定していたはずが、「重要文書」まで「1年未満」に仕分けされた結果、審査を受けずに廃棄されている疑念が高まっている。
 同NPO法人は今月19日、安倍晋三首相宛て文書でこの決定の凍結を求めた。三木さんは「『1年未満』文書のブラックボックス化をそのままにして、決定にもとづいて廃棄を続けるのはおかしい。止められる廃棄を止めるべきだ」と訴える。
 不透明な行政文書の扱いはこれにとどまらない。学校法人「加計学園」に絡む文部科学省の文書について、菅義偉官房長官は行政文書でもない「個人のメモ」とした。公文書管理に詳しい長野県短大の瀬畑源助教(日本現代史)は「共有フォルダーに入っていれば、まさに行政文書」と「個人のメモ」との認識を一蹴、政治家や官僚が行政文書への認識を改めるよう促す。
 「行政文書をコントロールできるという発想があるのではないか。それを許せば、政治家や官僚に都合の悪いものは行政文書にしなくてもいい、となってしまう。政策の決定過程も説明責任を果たせるような文書をつくらなければならない、とする公文書管理法の精神に立ち戻るべきだ」