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「共謀罪」法 あす施行

  f:id:a-tabikarasu:20170710084930j:plain 1面/2017.7.10

解説 物言う自由の危機/1面

 共謀罪は、犯罪の実行を計画した段階で罪に問うものだ。計画を客観的に立証するには、電話やメール、LINE(ライン)を傍受するなど、日常生活に入り込まなくては立証が難しい構造になっている。捜査側は、共謀罪を通信傍受の対象犯罪にすることや衛星利用測位システム(GPS)捜査の立法化、令状の要らない盗聴(行政傍受)や室内盗聴(会話傍受)といった新たな捜査手法が必要だ、という主張を強めるだろう。
 運用面で心配なのが捜査機関の成績主義だ。仕組みをつくると結果を出さなければいけなくなる。警察が選挙違反をでっちあげた鹿児島の志布志(しぶし)事件、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件など、予断や偏見、見込みで誤った捜査が行われてきた。共謀罪の立証では、自白や密告が重要な鍵となるため、見込み通りの供述や証言を得ようとする強引な捜査がこれまで以上に行われかねない。
 さらに、捜査機関が密告に頼ることで、市民による市民監視につながらないか懸念される。こうした捜査や監視が、市民団体や労働組合などに向けられる可能性は否定できない。
 沖縄・辺野古(へのこ)の新基地反対運動では、座り込む市民と沖縄県警の間で微妙なバランスが保たれていたが、2015年11月の警視庁機動隊の派遣後、警察の排除行動が激しくなったという。その後、運動のリーダーが長期勾留された。警察が国策に沿って恣意(しい)的に権力を使ったのではないか。共謀罪は、そうした捜査をも早い段階から可能にするもので、市民の萎縮につながる。物言う自由が危機にさらされる。     (西田義洋)