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メガソーラー 共存への課題 山林削られ保水不安

  

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「山林削られ保水不安」メガソーラー 共存への課題(中) 茨城・ 筑波山/26面

 太陽光発電所の設置が、市の条例で禁じられた山がある。茨城県つくば市筑波山だ。そのふもとで、昨年7月の条例制定のきっかけとなった発電所が、斜面に張り付くように稼働している。
 今年7月末、発電所がある同市沼田地区を訪れた。集落から森の中の道路を10分ほど歩くと、空が開けてソーラーパネルの一群が現れた。パネルはきつい傾斜に沿って奥ヘと積み上がっていくように見える。
 「木が伐採されて保水力が落ち、雨の日に斜面から流れてくる水の量が増えた」。発電所に近い自治会「沼田区」(約280世帯)の区長、渡辺一雄さん(68)が話す。県は発電所の周辺を、土砂災害警戒区域に指定している。
 発電所が稼働したのは昨年3月。その年の8月の台風の日、渡辺さんは発電所の様子を見に行こうとしたが、道路が水没し急流のようになって進めなかった。近くの家では、庭の池があふれて飼っていたコイが流された。以前はあまり増水しなかったが、その後も数回、大雨の際に道路付近に川ができるようになった。
 渡辺さんが筑波山での太陽光発電所計画を知ったのは、2015年10月ごろ。当時は国定公園内に3件と、現在稼働している公園外に1件の計画があった。渡辺さんは説明会の開催を求め、業者の説明を聞いた住民らは土砂崩れなどを心配して反対運動を展開。公園内の計画は県が開発申請を不許可としたり、業者が辞退したりして全て立ち消えとなった。しかし、開発許可が不要な公園外の計画を止める手だてはなかった。
 森林伐採にも許可は要らなかった。 1ヘクタールを超えると県の許可が必要になるが、建設地の伐採面積は0.98ヘクタールで、市への届け出だけで伐採が可能。業者が市に伐採届を出したのは、渡辺さんが計画を知る2ヵ月前だった。「どうしてそのときに指導できなかったのか」。渡辺さんは市の職員にただしたが、「届け出だから止められない」と答える
のみだった。
 事業者のセンチュリー・エナジー(東京都千代田区)は取材に、「法令に従って設置した」と説明。稼働後、大雨時に増水がみられるようになったため、市から見回りなどの対応を求められたという。「敷地内に植栽を進めており、水や土が流れ出にくくする」と話した。
 筑波山は関東を代表する山の一つだ。市は住民の反対の声を受け、「筑波山の自然と生活環境を守る」として昨年7月、太陽光発電所の設置を禁止する条例を施行した。
 しかし、条例も既に稼働している発電所は止められない。山麓でただ1ヵ所のソーラーパネルを見ながら、渡辺さんが話す。「制度にとらわれず、伐採前に指導してほしかった。本が切られ、裸の土の斜面になればどうなるか。行政は生活への影響を想像する力をつけてほしい」

 

<ブログコメント>周辺でもソーラー発電所が増えています。近くの元ゴルフ場もソーラー発電所に変わるようです。住宅隣の空き地が突然、小規模なソーラー発電所に変わることも少なくありません。2011年の福島第一原発事故を契機に「原子力から自然エネルギーへ」が声高に叫ばれました。ソーラー発電所建設はその流れにあるのですが、最近の野放図な開発を目の当たりにすると、あのときのもうひとつのスローガン「コンクリートから人へ」はどこへ行ってしまったのかと首をかしげます。各地でソーラー発電所の乱開発が始まっています。