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室伏流学び体幹安定 / 桐生 9.98の真実

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室伏流学び体幹安定 / 桐生祥秀9.98の真実(中)/21面

筋トレ 終盤の走り克服
 最後まで上体はぶれなかった。安定したフォームで駆け抜け、9秒98をマークした。弱点だった終盤の走りを克服。桐生の大きな成長だった。
 昨夏のリオデジャネイロ五輪は日本勢でただ一人予選落ち。パワー不足を痛感し、肉体改造の必要に迫られた。だが、通常の器具を使った筋カトレーニングは「大嫌い」。大学1年の冬に一度は本格的な筋トレに臨んだが、すぐに断念した。
 「世界一になった人のトレーニングってどういうものなんだろう」。桐生が提案したのがアテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏に指導を仰ぐことだった。
 昨秋から6月の日本選手権まで週1回、約2時間の個人レッスン。あおむけになり、ゴムチューブを使った開脚トレーニングやカヌーの器具を使ってオールをこぐ練習も。持ち上げたバーベルの両端にハンマーをぶら下げ、振り子のように何度も揺らした。
 室伏氏は「体幹がぶれないと振り幅が大きくなる。筋力だけでなく、負荷をかけながらのバランスやリズム、タイミングも走ることに役立つ」と説明する。筋肉を大きくするだけでなく、動きと連動したトレーニングだった。
 筋トレ嫌いの桐生が「楽しい」とのめり込んでいった。肉体にも少しずつ変化が表れてくる。体重は2キロ増え、体つきもゴツゴツしてきた。「いろいろなトレーニングをやって、結果的に体の軸が出来上がる感じ。これまでは悪い癖で終盤になると体が反っていたけど、上体がぶれずに走れる。まとまってきた」
 9秒98を記録したレースでは65メートル地点で最高速度の秒速11.67メートルに達し、その後も変わらぬフォームで極力減速を抑えた。東洋大土江寛裕コーチはトレーニングの効果を強調する。「室伏先生のおかげで体幹が安定した。真っすぐ進むだけでなく、揺らされる負荷にも強くなっている」。桐生が自ら進んで励んだ室伏流トレーニング。9秒台を刻める肉体へとなっていった。    (森合正範)