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原発再稼働へ 国が批判封じ?

 f:id:a-tabikarasu:20170928171128j:plain 26・27面/2017.9.28

こちら特報部経産省前「無届けデモ」男性逮捕で波紋/26・27面

 経済産業省前の抗議行動中に逮捕された男性が釈放され、再び路上で脱原発を訴えている。デモの届けがなかったという理由の逮捕は異例で、「批判封じ」との反発も広がる。抗議活動への締め付けと足並みをそろえるように、国は東京電力原発再稼働に事実上のゴーサインを出した。福島原発事故から6年半、「経産省前」から眺めた民主主義の姿は一。(大村歩、池田悌―)

 「お金のために原発を続けるのはやめましょう」
 パイプいすに座った高齢の女性が、ひたすら訴えかける。東京・霞が関経済産業省の正門前。いすは8つほどあり、脱原発を訴えるのぼりがくくりつけられて立っている。座っているのは多くが高齢者だ。
 経産省国会通り側の角地にあった脱原発テントが強制撤去されたのは昨年8月だった。脱原発を願う人々が全国から集うよりどころがなくなった後も、テントの人々はあきらめずに座り続けている。現在は毎日正午から午後6時まで交代で座り込む。
 市民団体「経産省前テントひろば」共同代表の淵上太郎さん(75)は「テントはないが、抗議を続けることには変わりない。だって国が原発をあきらめてくれないから」と笑う。そんな淵上さんは今月11日夜、逮捕された。容疑は都の公安条例違反。いわゆる「無届けデモ」を指揮したからだという。
 東日本大震災から半年後の2011年9月11日にテントが設置されたことから、毎年この日に記念集会が開かれてきた。逮捕された日も、午後6時から経産省正門前に約200人が集まった。
 集会後に経産省の周囲の歩道を1周するウオーキングが行われた。「ただ歩くだけで、のぼりを立てたりシュプレヒコールはなしだよ、と注意はしていた」(淵上さん)。車道に出るつもりはなく、道路使用許可申請はしていない。
 集会の後片付けなどで最後尾にいた淵上さんは、ウオーキングが渋滞したため調整しようと最前列に向かった。そのとき、後ろにいた参加者が「原発反対!」とコールした。思わず淵上さんも手を挙げた。それが「無届けデモを指揮した」という容疑になったという。
 「すっと二人の警察官が淵上さんの両脇をつかみ、あっという間に警察車両に連れ込んだ。逮捕というより拉致という感じ」と、状況を見ていた山本礼治さん(72)は語る。
 淵上さんは逮捕後、警視庁の取り調べに完全黙秘。逮捕を知った多くの市民団体関係者らが、毎日30~80人警視庁本庁舎の前に集まり、逮捕への抗議と即時釈放を訴えた。座り込みに加わる木村雅英さん(69)は「東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を許す動きも含め、脱原発運動を締め付けたい意図を感じる。逮捕もその一環だ」と憤る。警視庁公安部は取材に「法と証拠に基づいて逮捕した」とする。
 逮捕から11日目の22日、淵上さんはやっと釈放された。担当検事は理由を「諸般の事情」とだけ話したという。釈放されたその足で、再び「経産省前」の路上に戻った。「われわれはここに居続けて脱原発の意思を訴え続けることしかできない。テントはなくなったけど心のテント広場は今でも多くの人の中にあるんだから」
 淵上さんの逮捕に強い違和感を抱く関係者は多い。
 福島原発告訴団団長の武藤類子さんは「あまりにもひどい。警察官はまず注意をするべきだった。コールされた言葉が『原発反対』だったからでしょうか。いきなり逮捕して10日以上も身柄を拘束するなんて、明らかに行きすぎだ」と憤る。その上で「原発に反対する活動を何とか抑え込もうという意図を感じるこんな脅しめいた逮捕が正当化されれば、私たちの言論は封殺されてしまう。政府が原発再稼働を推進する大きな流れの中で、今回の事件が起きたように思えてならない」といぶかる。
 都公安条例は「道路その他公共の場所」でデモを行うときは、都公安委員会の許可を受けなければいけないと定めているが、「共謀罪対策弁護団」共同代表の海渡雄一弁護士は「ここまでの微罪で逮捕・勾留とは…」と驚く。「警察は市民運動の中心人物を簡単に逮捕し、『一般市民であっても同じようなことをすれば逮捕する』というメッセージを発した。特定秘密保護法共謀罪が相次いで成立する中で、治安維持態勢が強まっているように感じる」と危ぶむ。
 <略>