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原発30キロ圏に国補助金 立地自治体から拡大

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原発30キロ圏に国補助金 立地自治体から拡大/1面

 経済産業省が、原発が立地する自治体を対象とした国の補助金を、2017年度から、原発の半径30キロ圏内の自治体にも支払う仕組みに変更していたことが13日、分かった。17年度の予算額は16年度と同じ45億円で、対象自治体は150を超え、新たに支給予定の立地外の自治体は16に上る。対象自治体などによると、支給予定の補助金の総額は少なくとも約5億円に上るとみられる。同省は仕組みの変更を報道発表していなかった。

再稼働容認 促す懸念
 原発事故が起きた場合、広範囲の被害への懸念から、30キロ圏内には再稼働に慎重な自治体もある。経産省は「原発の影響が周辺にも及ぶことが分かり仕組みを見直した。再稼働への同意を得る目的ではない」としているが、原発のコストに詳しい龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「地域再生策として趣旨は理解できるが、補助金を渡すだけという手法には反対だ。再稼働への理解を得たいという意図があるのではと読めてしまう」と指摘した。
 経産省によると、補助事業は「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」で、 16年度に始まった。主に老朽化などで廃炉が決まった原発が立地する自治体に対し、再生可能エネルギーの普及促進など地域振興の取り組みを後押しする。
 17年度からは公募要領を変更し、「原子力発電施設からおおむね半径30キロの区域を含む市町村、および当該市町村が属する都道府県」に応募資格を広げた。
 <略>

条件の「廃炉」突如消え 報道発表なし
 経済産業省が、原発の立地自治体から周辺自治体まで交付対象を広げた補助金は当初、廃炉を決めた自治体に再生可能エネルギーの導入を促す目的で始まった。しかし、2017年度の交付条件から突如として「廃炉」という文字が消え、原発再稼働への容認を促しかねない内容に変わった。
 交付金の条件などを定めた要綱は制度が始まった16年度では、交付対象を「廃炉が行われる原発が立地する市町村」と明記していた。ところが、現在では「廃炉」の言葉が一切なくなり、交付対象が「原発を取り巻く環境変化の影響を受ける自治体」に広がった。
 経産省によると、「原発を取り巻く環境変化」には原発の部分的稼働も含まれる。関西電力高浜原発福井県)では、3,4号機が再稼働し、1,2号機が停止中だが、同原発周辺自治体も交付対象に当てはまるという。
 経産省資源エネルギー庁の若月一泰原子力立地政策室長は「廃炉を条件に限定すると、応募が広がらないため」と説明している。補助金をばらまくために要件をゆるくしたとも受け取れ、「廃炉」を明示した当初に比べ、補助金の目的がぼやけたことは否めない。
 原発に関する自治体への補助金は、原発を受け入れてもらうことを目的に交付されてきた歴史的な背景がある。補助の仕組みの変更を報道発表しなかった経緯も含め、再稼働の容認を促すための新たな「アメ」と取られても仕方がない。(伊藤弘喜)