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米トランプ氏 横田基地から出入国

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こちら特報部/米トランプ氏 横田基地から出入国/24面

なぜ「正面玄関」から来ない?
 日本を訪れていたトランプ米大統領は7日、公式日程を終えて韓国へ向かった。これまでの米大統領の公式訪間と大きく異なるのは、日本の主権が及ばない米軍横田基地(東京都福生市など)から出入国した点だ。なぜ「正面玄関」から来ないのか。(皆川剛)

主権国家の自負心どこへ 「マッカーサーを彷彿」
 5日午前、大統領専用機「エアフォース・ワン」から降り立ったトランプ夫妻を歓迎し、スマートフオンを向けたのは、米軍人やその家族らだった。
 「アジア歴訪を始めるにあたり、アメリカの兵士と日本の自衛隊員が集まっているこの基地ほどふさわしい場所はない」。トランプ氏が星条旗を背景に演台でそう熱弁を振るうと、会場からは「USA」のコールが。出迎えに安倍晋三首相の姿はない。埼玉県のゴルフ場へ一足先に向かっていたからだ。
 日米地位協定は、米軍が米側以外の人を基地内へ立ち入らせない権利を認めている。米軍の命令で移動する米兵が基地を経由して日本に入国する場合もパスポートは不要だ。「事実上の治外法権」とも言われている。
 主権国家としての機微にかかわる場所だけに、公式訪間でいきなり基地に降り立つ大統領は前代未聞。実際、米大使館の広報サイトなどによると、1974年に現職の米大統領として初めて来日したフォード氏からオバマ氏まで、歴代の米大統領7人は入国時に羽田空港など民間機の離着陸する空港を利用している。
 元レバノン大使で外交評論家の天木直人氏は「米国の要人が米軍基地から出入国するのは、連合国軍総司令部GHQ)のマッカーサー最高司令官が厚木基地に降り立った占領下の日米関係を彷彿(ほうふつ)とさせ、象徴的な意味でまずい。歴代の米大統領が『正面玄関』から来日したのは、主権国家である日本への外交儀礼上の配慮でもあったが、今回はそうした配慮が見られない。日本側にも主権国家としての自負心がない」と批判する。
 他方、空港利用者への影響を考えれば横田基地の利用は合理的との見方もある。航空評論家青木謙知氏は「大統領の到着時間は厳守せねばならず、航空管制上の優先権を与えるため、これまでは民間機の運航に遅れが出ていた。今回はトランプ氏がゴルフ場にヘリコプターで向かうことが決まっており、羽田でヘリが離着陸できる駐機場を占有すると、海上保安庁の遭難者捜索に影響も出る。日米双方にとって、横田を利用した方がメリットが大きい」と指摘する。
 だが、分単位の来日スケジュールは歴代米大統領も同じはず。横田基地出入国に利用した経緯について、外務省の担当者は取材に「いろいろな事情を総合的に考慮して判断した。基地を利用するのは問題ない」と述べるにとどまった。
 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、日米双方の変化を読み取る。「これまで米軍は基地問題を非常に敏感に扱い、駐留国の基地反対運動を引き起こす行為は慎重に避けてきた。日本に米軍基地への反発が薄れていることと、好戦的なトランプ氏の大統領就任によって、米側にそうした配慮が働かなくなった。外務省の官僚は直感的にまずいと分かっているはずだが、安倍首相とトランプ大統領の緊密な関係を見て、何も言わない方がよいと判断したのだろう」