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「生の姿 見てほしい」 東京朝鮮学校が公開授業

 f:id:a-tabikarasu:20171124110926j:plain 22面/2017.11.24

こちら特報部/「生の姿 見てほしい」 東京朝鮮学校が公開授業/22面

 在日韓国・朝鮮人の生徒たちが通う東京朝鮮中高級学校(東京都北区)が18、19両日に公開授業を行った。国が進める高校無償化では、他の外国人学校は認められても朝鮮学校は「対象外」だ。「何をやっているか分からない」という疑間に答える取り組みを、保護者らに交じってのぞいてきた。 (佐藤大

日本人100人も参観「学校の変化見たい」
 「本日学校公開中」と掲げられた看板を横目に校門をくぐると、まず目を引くのはハングル。靴箱も廊下のポスターも日本の学校と変わらないが、そこに書かれている文字が読めない…。
 すれ違いざまにあいさつをしてくれる女子生徒たちもチマ・チョゴリ姿だ。慎吉雄(シンギルン)校長が「学校に来るまではブレザーを着てくるんです。登校後に更衣室でチマ・チョゴリに着替えています」と説明する。1990年代に登下校中にチマ・チョゴリが切り裂かれる事件が相次ぎ、ブレザーを「第二制服」に採用。近年はほぼ全員がブレザー登校だという。
 現在、生徒数は中級部に130人、高級部420人の計約550人。関東各地から通う在日コリアン3世や4世で、家ではほとんど日本語しか使わない生徒も多い。授業は「日本語」をのぞいてすべて朝鮮語で行われる。
 2日間の公開授業には日本人100人を含む計500人が訪れ、あちこちの教室をのぞいていた。教員志望という大学4年柳田賢さん(22)ら2人組は「授業研究のために来た」と興味津々な様子。朝鮮学校を卒論のテーマにしている国立大の女子学生(21)は「地域に公開することで朝鮮学校がどう変わるのかも知りたい」と話していた。
 言葉が分からない身には、残念ながら授業内容はよく分からない。ただ、熱心に授業を聞いている生徒がいる一方、友だちにちょっかいを出したり、中には居眠りをしている生徒もいる。高級部3年の女子生徒(17)は「自分たちの国の文化や言葉を一番身近に習えるのは朝鮮学校だし、みんな仲もいい。ラグビーとかの部活動も強い」と楽しそうに話した。
 2、3階の高級部の教室では正面の黒板上には、うわさに聞く故金日成(キムイルソン)主席、故金正日(キムジョンイル)総書記の肖像画が並んでいた。ただ、なぜか1階の中級部の教室にはかかっていない。「保護者たちの要望もあって、議論の末に2002年に全国の朝鮮学校で取り外されました」(慎校長)。ちなみに金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長のものをかける予定はないという。
 同校では7年ほど前から年2回の公開授業に地域の人々も広く招いてきた。 10年に都の補助金が打ち切られたころだ。「都民の理解が得られない」という理由だったが、その後も都教委が視察に来たことはないという。
 慎校長が懸念するのは、「反日教育をしている」などのヘイトスピーチのまん延で、実態とかけはなれた学校像が一人歩きすることだ。敗戦後の日本で、民族の言葉や文化を取り戻そうと苦しい生活の中から親たちが手弁当でつくったルーツは顧みられない。
 慎校長は「日本の方たちの支援がなければ、朝鮮学校はやってこられなかったし、これからもそう」と話しながら訴えた。「日本の方から見れば、足りないところもあるし、言いたいこともあるでしょう。それはそれで結構なんです。そうであっても、朝鮮学校の生の姿を見てほしい。いつでも見学に来てください」