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改憲に異 異端の宮司 神社本庁の方針と対立

 f:id:a-tabikarasu:20171127081810j:plain 24面/2017.11.27

こちら特報部改憲に異 異端の宮司 神社本庁の方針と対立/24面

 改憲運動をけん引する神社本庁側と真っ向から対立する宮司が存在する。軍隊保持や天皇の元首化などの方針に同調せず、「改憲は許されない」「戦前の全体主義に戻してはいけない」と持論を展開する。先月の衆院選で大勝した安倍晋三首相が2020年の新憲法施行を目指す中、神社界はどうあるべきなのか。異端の宮司たちを訪ねた。 (池田悌一)

宮田さん「一人の人間。政治的な考えまで同調せず」
 三重県伊賀市の山あいにある神明神社。スギやクスノキの大木がうっそうと茂る境内では、近隣の氏子らが時折拝殿でかしわ手を打つ以外、ほとんど物音はしない。
 神社本庁改憲姿勢に異を唱えるのが、宮田茂一宮司(72)である。
 「毎朝お供えや掃除をして、村の安全を祈る。神社がしっかり守れば、神様が村に幸せをくれるんちゃうかなって。私の仕事は安寧の場をつくること。だから、安寧が乱された戦前に回帰するかのような今の神社界には怒りしかない」
 もともと中学の教師をしていた宮田さんが、先代の父を継いで宮司になったのは約20年前だ。春は豊作を祈願し、秋は収穫に感謝する。そんな穏やかな環境を一変させたのが、2014年7月、安倍内閣閣議決定した集団的自衛権の行使容認だった。
 憲法9条の解釈を変えて他国を武力で守れるようにする衝撃ー。宮田さんは、戦中世代の氏子らから「この地域も戦争で多くが死んだ」「うちの兄貴は戦地で殺された」と聞かされていた。何よりも胸を締めつけたのが、教え子たちへの思いだった。「あの子たちを戦場に送ったら絶対にいかん」。知人らに声を掛けて市民団体を結成し、閣議決定を批判するとともに護憲を訴えた。
 宮田さんは、あくまでも「個人として」デモや集会への参加を募った。宮司として市民運動に関われば氏子らに迷惑がかかるかもしれないからだ。しかし神社本庁の地元組織には、右翼団体から「神主が安倍政権を批判するとは何事だ」と抗議が相次いだ。
 というのも、神社本庁改憲への意欲は強い。傘下の政治団体「神道政治連盟(神政連)は15年6月、改憲パンフレット「誇りある日本をめざして」を発行し、「連合国軍総司令部GHQ)が自ら、わずか1週間で、我が国の大日本帝国憲法を抜本的に書き改め、日本側にその受け入れを迫って作られた」と現憲法の「押しつけ論」を主張する。
 天皇の元首化、自衛隊の軍隊化、戦争や災害時に首相に権限を集中させる緊急事態条項の創設…。パンフには具体的な改憲項目も列挙する。自民党が12年4月にまとめた改憲草案との共通点は多い。
 神政連の国会議員懇談会には今月15日現在、自民党を中心に衆参合わせて計283人が会員として名を連ねる。現閣僚20人のうち、安倍晋三首相ら16人が会員だ。
 宮田さんは、神社本庁周辺から幾度も市民運動への懸念を伝えられ、神政連ヘの加入も求められたが、その都度「何が悪い。神政連に入るくらいなら宮司を辞める」と突っぱねてきた。
 なぜあらがうのか。「私も一人の人間だ。政治的な考えまで神社界に合わせる必要がどこにあるのか。安倍政権と神社本庁が一体となって立憲主義を壊しにかかっている中、何もしないまま死にたくはない」
 <略>

神社本庁 全国8万社の神社を包括する宗教法人終戦翌年に設立され、神社代表の宮司禰宜(ねぎ)など2万人以上の神職を抱える。「主な活動」に政治的要素は掲げていないが、総長の田中恒清(つねきよ)氏は、憲法改正運動を展開する右派組織「日本会議」の副会長や、1000万人を目標に改憲署名を集める「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人を務める。傘下の神道政治連盟は、参院比例代表山谷えり子氏(自民)らを組織的に支援している。