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長距離ミサイル 専守防衛に反しないか

社説/長距離ミサイル 専守防衛に反しないか/5面

 防衛省が導入を計画する長距離巡航ミサイルは離島防衛などを目的とするが、射程が長く、海の向こうの敵基地攻撃に転用されかねない。憲法9条に基づく専守防衛政策に反することにならないか。

 防衛省が2018年度予算編成で3種類のミサイル関連予算を新たに要求した。ノルウェー製「JSM」の取得費21億6000万円と、米国製「JASSM」「LRASM」の調査費3000万円の、合わせて約22億円である。
 射程はJSMが500キロ、JASSMとLRASMは900キロでいずれも戦闘機に搭載し、艦船や地上目標の攻撃に用いるという。
 小野寺五典防衛相はこれらのミサイル導入について、ミサイル防衛に対応するイージス艦の防護や離島などの自国防衛が目的だとして、敵のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃」を目的としたものではないと強調している。
 しかし、自衛隊保有する対艦ミサイルなどに比べて、有効射程が圧倒的に長い。日本の領空から発射しても、朝鮮半島内陸部まで射程圏内に収める。
 能力がある以上、海の向こうの敵基地攻撃にも使うのではないかと勘繰られても仕方があるまい。
 政府は、ほかに防御する手段がない場合に限り、敵のミサイル基地などを攻撃することは自衛の範囲に含まれるが、他国を攻撃するような兵器を平生から持つことは憲法の趣旨でないとしてきた。
 長射程の巡航ミサイル保有は、政府が禁じてきた「敵基地攻撃能力の保有」につながり、戦後日本が貫いてきた専守防衛政策を逸脱することになるのではないか。
 見過ごせないのは、小野寺氏が防衛相就任前、自民党安全保障調査会の検討チーム座長として、敵基地攻撃能力の保有を含む提言の取りまとめを主導したことだ。
 安倍晋三首相は今年8月、小野寺氏に対し、安全保障や防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱」を見直すよう指示し、敵基地攻撃能力の保有についても、将来的な検討に含みを残している。
 新しい大綱は来年後半に策定される見通しだが、敵基地攻撃能力の保有が一転、容認されることはないのか、長射程の巡航ミサイル導入はその布石ではないのか。
 専守防衛政策の転換や防衛費の膨張にもつながりかねない重要な問題を、国会での議論を経ず、内閣の一存で軽々に決まっていく現状にも危惧を覚えざるを得ない。厳しく監視し続けたい。