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新基準「適合」だが 柏崎刈羽原発「ない」づくし

 f:id:a-tabikarasu:20171228094523j:plain 2面/2017.12.28

新基準「適合」だが 柏崎刈羽「ない」づくし/2面

 原子力規制委員会が、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は対策工事を講じれば新規制基準に「適合」すると正式に決定した。東電は福島第一原発事故を起こした当事者。その事故収束もままならない中、もしも柏崎刈羽で新たな事故が起きれば、事故収束の要員確保、新たな賠償とも対応できる力はない。再稼働に不可欠の地元同意を得られる見通しもない。 (小川慎一、宮尾幹成)

■難作業
 福島第一原発では事故から7年近くなった今も、 1日約6000人が働く。タンク建設など大型の土木工事は見通しがついたが、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しなど、世界初の難作業が待ち構える。
 事故収束にとっては、原子炉に詳しい技術者や機械を自在に扱える作業員が不可欠。もし柏崎刈羽で事故が起きた場合、こうした限られた要員が二つの事故に対応できるのか。作業員には年間で被ばくできる放射線量に限度があり、貴重な要員が両原発で作業を掛け持ちすることはできない。
 福島事故の収束作業そのものは、人が近づけないほどの高い放射線量が壁となり、計画より遅れ気味。東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は「まだ登山口。山の高さが分からない」と話す。新たな事故が起きれば、東電が福島事故の収束を「やり遂げる」とした約束が宙に浮きかねない。

■負債
 資金面でも、東電の原発運転資格には疑問がある。既に福島第一原発事故で巨額の負債を抱え、柏崎刈羽で事故が起きた時に新たな負担に耐えられる余力はないからだ。
 福島第一事故に伴う損害賠償と除染の費用は8兆9000億円で、政府の試算では11兆9000億円まで増える見通しだ。東電だけではまかなえず、政府からの借金や他電力会社の支援にも頼っているのが実情だ。
 国の原子力委員会の専門部会は、原発事故に備えた保険の上限額を、現行の1300億円から引き上げる方向で検討している。とはいえ、ひとたび事故を起こせば賠償額は「兆円」規模に達する。多少の上積みでは気休めにしかならない。

■30キロ圏
 規制委が新基準「適合」と判断しようと、現実的には地元が同意しないと、原発は再稼働はできない。
 東電は2014年11月に原子力部門のトップだった姉川尚史(たかふみ)常務(当時)が国会で、「(柏崎刈羽の)30キロ圏内の自治体の理解がなければ、再稼働の条件が十分でない」と明言した。
 他の電力会社の中には、原発が立地する県と市町村だけの同意で再稼働しているところもあるが、東電の場合、国会での約束は現在も生きている。
 本紙が30キロ圏の9市町村に取材したところ、どの自治体も新潟県が独自に進めている①事故原因②健康被害③避難―の3つの検証を見守るとの回答だった。
 長岡市の担当者は「市民の不安が解消されない限り再稼働すべきではない。県の動きをしっかり見ていきたい」と話した。他の自治体からは「県の検証が終わらないと再稼働は議論できない」(燕市)、「再稼働の賛否は現段階で判断できない」(出雲崎町)といった答えだった。
 そもそも、立地県である新潟県米山隆一知事が慎重姿勢。県が進める検証もまだ2、3年かかる見通しだ。現時点で地元同意が得られる見通しは全く立っていない。