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本音のコラム「晴れ着と格差」 宮子あずさ

本音のコラム「晴れ着と格差」 宮子あずさ/29面

 振り袖の販売・レンタル業者が成人式を目前に閉店し、多くの新成人が晴れ着を着られなくなった問題。被害者の悲嘆を思いつつ、初めて知った成人式のあり方にも、疑問を感じている。
 今回、晴れ着が着られず参加しなかった被害者も多数出たと聞く。ならば、晴れ着にかけるお金がない人はどうなるのか。晴れ着が必須ならば、自治体主催の式典として不適切ではないか。
 ただこれは成人式に限った話ではない。格差社会が問題になる一方で、子ども関連のイベントは華美になっている。小学校の卒業式も、着飾った子どもが目立つ。ここでは格差という論点がかすんでいる。
 思えば幼少期、母は徹底して、「貧しい人を排除する行動はしないように」私を導いた。例えば友人を招く誕生日会は決して開かず、招かれるのも禁止。「プレゼントを買えない人もいるから」というのがその理由だった。その結果私が気まずい思いをしても、母は意に介さなかった。
 こうした環境で育ち、私は晴れ着とも成人式とも無縁に大人になった。よって、成人式への関心は元々薄いと言える。
 だからと言うべきか。「晴れ着が着られなくなったら成人式に出られない!」と当たり前のように語られている現状に、とても胸が痛む。今回の事件を機に、晴れ着中心の成人式こそ、見直されて欲しい。(みやこ・あずさ/看護師)