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本音のコラム「施政方針演説の忘れ物」河村小百合

本音のコラム「施政方針演説の忘れ物」 河村小百合/27面

 通常国会が始まった。安倍首相の施政方針演説を読むと、①はじめに、で始まり、②働き方改革、③人づくり革命、④生産性革命、⑤地方創生、⑥外交・安全保障、ときて⑦はもう、おわりに、だ。この国が決して逃げられないはずの重要な問題が忘れ去られている。財政だ。人口減少のなか、世界最悪の借金財政をどう回し子どもたちの世代に渡していくのか、という話がどこにも見当たらない。
 全文をみても「財政」の2文字が出てくるのはたった1カ所。「人づくり革命」のなかの、「財政健全化も確実に実現します」というくだりだけ。財政再建に向けた具体策や決意は一切、見当たらない。
 そもそも、財政の先行きに関する危機感はおよそない。それはこの国の今の雰囲気にも通ずる。財政再建などに真面目に取り組まなくても別に何も困らないということか。しかし、今の明るい ”無風状態” の先には大きな落とし穴がある。
 実はこの放漫財政のツケはすべて中央銀行に転嫁され、日銀が抱えるリスクは恐ろしいほどに膨張している。中央銀行にこれほどのリスクをとらせている国は見当たらない。民間銀行とは違うから、国債をいくらでも何年でも買い続けられる、などということは決してないからだ。日銀が異次元緩和を続けられなくなったときが、この国の財政運営の正念場だ。
 (かわむら・さゆり/日本総研上席主任研究員)