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「核使用」下がるハードル トランプ政権新指針

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「核使用」下がるハードル トランプ政権新指針/2面

軍拡でも「米国第一」
 トランプ米政権が2日に公表した新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」は「核兵器なき世界」を目指したオバマ前大統領の方針を大転換した。「世界は大国間の競争に回帰」と、核増強や使用条件を緩和する方針を明確に打ち出したことで、世界を軍拡競争や軍事衝突に巻き込む懸念が高まる。(ワシントン・後藤孝好、石川智規)=1面参照

◆脱オバマ
 「米国は過去10年間で核の保有数や役割を縮小したにもかかわらず、他の核保有国は備蓄量を増やし、新兵器を開発した」。トランプ米大統領は2日の声明で、核軍縮から核増強へかじを切る必要性を強調した。
 トランプ氏はさまざまな政策で「脱オバマ」を図るが、核兵器に関する政策転換は特に顕著だ。核軍縮の旗振り役を務めたオバマ氏は、米国が率先して核弾頭の保有数の削減に取り組み、新たな核兵器開発をやめた。
 トランプ氏は一方、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)に用いる小型核や、海洋発射型の核巡航ミサイル(SLCM)を開発する方針を表明。爆発力を抑えた小型核は「一般市民を巻き添えにする恐れが減る」と利点を強調することで、核兵器使用のハードルを通常兵器のレベルに下げる危険を伴う。
 NPRには、通常兵器だけでなく、サイバー攻撃ヘの反撃にも核使用を排除しない方針も盛り込まれた。北朝鮮を念頭に置いているとみられる。トランプ氏は今年1月、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に対して「私が持っている核のボタンの方がずっと大きくて強力だ」などと挑発し、米議会でも不安の声が上がったが、NPRは、安易な核兵器使用にお墨付きを与えた形だ。

大国主
 NPRは、国際協調に背を向けるトランプ氏の大国主義的な姿勢も浮き彫りにした。
 包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を支持しない方針を明示し、「技術的、地政学的な問題が生じた時に備えて核実験を再開できる態勢を維持しなければならない」と強調。爆発力を抑えた小型核の開発などを念頭に、地下核実験を実施する可能性を示唆した。
 昨年ノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の尽力により、国連総会で122カ国の賛成を得て採択された核兵器禁止条約を「米国やその核抑止力に頼る同盟国の安全保障を損なう可能性がある」と批判。「核廃絶の非現実的な期待に基づいている」と言い切った。
 トランプ氏は、2021年に有効期限を迎えるロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)も「ロシアに有利な内容」と非難していた。核増強の方針を打ち出したことで、新STARTの延長交渉は難航が避けられない。

核体制の見直し(NPR=Nuclear Posture Review) 米国の今後5~10年間の核戦略の指針を定めた文書で国防総省が中心となつて策定。大統領が承認し連邦議会に報告される。1994年のクリントン政権で初めて策定され、今回は2002年のブツシュ(子)政権、10年のオバマ政権に続き4回目。