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本音のコラム「兵糧攻め」 斎藤美奈子

本音のコラム「兵糧攻め」 斎藤美奈子/27面

 4日の沖縄県名護市長選で与党推薦の渡具知武豊氏が当選。止まっていた米軍再編交付金を政府は再開する方針という。
 なんじゃそりゃ。あんたは鳥取城を兵糧攻めで落とした秀吉か!
 あまりに露骨な対応に頭から湯気が出そうになったが、頭を冷やして過去に遡(さかのぼ)って見た。
 そうだった。普天間飛行場辺野古移設に反対する稲嶺進氏が市長選で初当選したのは2010年1月。直後に再編交付金は止められた。菅直人政権の時代。民主党よオマエもか、である。
 しかし、さらに遡ると07年、第1次安倍政権の時代に行き着く。この年の5月に成立した「在日米軍再編特別措置法」が諸悪の根源で、以来、政府案をのむか否かで交付金支給の是非が決定されてきた。
 この措置で、沖縄県の金武(きん)村、恩納(おんな)村、宜野座(ぎのざ)村は次々降伏。住民投票で空母艦載機の移駐に反対の民意が示された山口県岩国市も、米陸軍司令部の新設に反対してきた神奈川県座間市も、市長が苦渋の決断の末に寝返った。それでも名護市は交付金に頼らない行政を貫いて、全学校への冷房設置や校舎の耐震化、小中学生の医療費無料化まで実現させたのよ。
 選挙中、自民党交付金の再開を当然ちらつかせただろう。札束の力で自治体をねじ伏せ、住民を分断させる恫喝(どうかつ)政治。これ、民主主義なんですか。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)