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総務省のサイバー担当募集 日給8000円

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こちら特報部総務省のサイバー担当募集 日給8000円/24面

専門性必須なのに 買いたたき
 総務省のサイバーセキュリティー対策担当の職員募集が話題になっている。高度な専門的知識が必要としながらも、待遇は日給8000円で、通勤手当はなし。当然、「安すぎる」と批判が渦巻いている。「働き方改革」をうたう安倍政権の足元で、労働力の買いたたきが公然となされている。(白名正和)

働き方改革」の本音露呈?
 この「採用情報」は総務省が先月27日、自らのホームページで公開した。今年4月から1年間、「サイバーセキュリティに関する施策(人材育成、情報共有、研究開発、制度構築等との事務に従事し、広報も受け持つ非常勤職員1人を募集するという内容だ。
 この求人、誰でもいいというわけではない。募集対象欄を見ると「情報通信ネットワークの構築・運用に関する専門的知識、実務経験を有すること」。ほかにも情報通信技術の動向、サイバーセキュリティーについても、知識と経験が必要とされている。
 つまり、専門家を求めているのだが、賃金は「日給8000円」で通勤手当はなし。勤務は平日のみ、午前10時~午後4時45分で1時間の休憩はあるが、報酬は月額で約16万円、賞与の規定はなく、年収では200万円に届くか届かないか程度だ。そこに自腹の交通費負担がのしかかる。
 「安すぎる」「総務省はやる気あるの?」。ネットでは批判の声が相次ぐ。
 募集を担当した同省サイバーセキュリティ課の担当者は「待遇は、業務の内容や予算の兼ね合いの中で決めた」と話す。2016年にも同じ内容で求人し、採用に至ったという。今回もすでに1件、履歴書が送られてきており、批判に対しては「ご意見は参考にしたい」とのことだった。
 ちなみに同省情報流通振興課も、4月からの採用予定で情報通信技術などに「高い専門性や十分な知見」がある人を日給8000円、交通費なしで募っている。
 労働組合関係者や弁護士などでつくるNPO法人「官製ワーキングプア研究会」の白石孝理事長は、この募集について「専門性を有する人を募集するには、安いと言わざるを得ない。買いたたいていると言われても仕方がないだろう。とても生活できないワーキングプアだ」と指摘する。
 「ただ、専門性が求められない事務職員だと、もっと待遇が悪い。地方自治体も含めれば、最低賃金ギリギリの求人もざらにある」
 安倍首相は昨年10月、経済財政諮問会議で、民間企業に「3%の賃上げが実現するよう期待したい」と要請した。民間は現在「官製春闘」の真っただ中だ。
 その一方、霞が関での低賃金での求人。白石氏は「まず隗(かい)より始めよ、だ。民間に要求する以上は自分たちも、非常勤職員がきちんと生活できる賃金を支払わないといけない」と語る。
 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「サイバーセキュリティーは国の要。にもかかわらず、担当者をこれだけ安く働かせるなんて、情報管理を甘く見ている安倍政権らしい」と皮肉る。
 政権が今国会の目玉とする「働き方改革」関連法案では、データ不備から裁量労働制の対象拡大を断念。それでも労働時間の規制を外す「高度プロフェッショナル制度」など労働界が反対する施策は依然、成立を目指すとしている。
 荻原氏は「この求人も働き方改革と無関係ではない」と話す。「掲げている制度はどれも、労働者を安くこき使うためのものだ。非正規職員と正規職員の待遇差をなくす『同一労働同一賃金』も、賃金が低い方に合わせる狙いだろう。政権の本音が、省庁の求人という形で現れたという点を見落としてはいけない