今日の東京新聞

購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。

森友文書 事実解明一歩も進まず 「同じ」写し提出

 f:id:a-tabikarasu:20180309085739j:plain 2面/2018.3.9

事実解明一歩も進まず 森友文書「議員開示と同じ」写し提出/2面

 財務省は8日、森友学園問題を巡り、朝日新聞が書き換えた疑いがあると報道した決裁文書の「原本」の写しを国会に提出した。財務省側は「写しの全てだ」としながらも、疑惑報道の核心である書き換えの有無についてはまた明言を避けた。同じ内容なのにチェック印の場所に違いがある文書も提出され、野党は書き換えをさらに疑う。事実の解明に前進は全くみられない。(桐山純平)=1面参照

■書き換え有無?
 「近畿財務局にある文書の写しの全てだ」。8日午前に開かれた参院予算委員会理事会で、財務省の富山一成理財局次長はこう説明した。「原本」はすでに大阪地検に提出しているため、昨年5月に議員に出したものと同じものをあらためて示した。財務省がこの日、国会に提出した写しは、「貸付決議書」と「売払決議書」の「原本」で、それぞれ2015年4月28日と16年6月14日が決裁完了日になっている。だが、原本がほかにないことを確認することを目的に「この写しは、その時に作成されたものという認識でいいか」と野党議員から問われると、富山次長は「指摘の点は全体調査の中で引き続き確認作業をしている」と言葉を濁した。
 ほかの文書の存在についても、富山次長は「これ以外の調査は継続中で、その中で明らかにしたい」と明言を避けた。朝日新聞が報道した「問題発覚後に書き換えられた疑い」のある文書の写しである可能性を完全に否定できなかった形。財務省の煮え切らない対応に、野党議員は「ほかの文書がないと明言しなければ、調査は1ミリも進んでいない」と憤った。

■チェックの意味?
 財務省は貸付決議書と売払決議書のそれぞれで、電子データ(PDF)からプリントしたものと紙の写しを提出。売払決議書の紙の文書には、手書きで斜め線のチェックをしたような印(マーク)があった。
 8日に開かれた森友問題を追及する野党のヒアリングでは「(PDFと紙では)チェックのあるなし、穴開きパンチの位置も違う。同じ原本からの写しなのか」などの追及が相次いだ。財務省は「調査を継続している」と明確な説明を避け、誰が印を付けたかの特定もしていないと答えた。

■究明の動きは?
 公文書の書き換え疑惑という今回の問題は今月2日に浮上し、9日で1週間がたつ。6日の調査報告では「捜査」を盾に説明を拒み、この日の資料提出では従来と同じ内容のものを新たに示しただけ。議論の堂々巡りが続く中で、「隠蔽(いんぺい)の時間稼ぎにしかみえない」との批判も野党から出る。
 公文書管理法は行政文書の適正な管理を確保するため、首相には行政機関の長に資料の提出を求めたり、職員に実地調査をさせる権限がある、としている。
 大半の野党が欠席した8日の参院予算委で、安倍晋三首相は「政府としても誠意をもって対応していく」と答弁した。だが今のところ、真相究明に自らが動く様子はない。

野党猛反発「国会冒とく」
 「森友学園」問題で財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがあるとの朝日新聞報道を巡り、財務省が8日に国会に示した資料は、既に開示した文書の写しだったため、野党は「国会への冒とく」「マイナス回答だ」などと激しく反発した。参院予算委員会安倍晋三首相らが出席して集中審議を行ったが、同省の説明に納得しない野党の大半が欠席。事実解明が先だとして、態度を硬化させている。
 立憲民主、希望、民進、共産、自由、社民の野党6党は国会内で合同集会を開き、文書書き換えの有無を答えない政権を、各党幹部が次々に批判した。
 立憲民主の福山哲郎幹事長は「国会審議が混乱しているのは、すべて財務省の対応に起因する。国会への冒とく、国政調査権の蹂躙(じゅうりん)だ」と抗議。政府に関係資料の速やかな開示を求め、与党には国政調査権の行使に応じるよう呼びかけた。野党の反発を受け、衆院本会議も開催が見送られた。
 民進党の大塚耕平代表は記者会見で、書き換えがあったとする朝日新聞の報道に関し「事実関係の説明が国会正常化の必要最低限の条件だ」と主張した。
 一方の与党は、財務省にさらに説明を求めるとしながらも、国政調査権を行使して決裁文書の原本を提出させることなどには否定的だ。自民党幹部は「こんなことで国政調査権行使の先例をつくるわけにはいかない」と語る。
 野党の求めには一定の対応をしたとして、8日の参院予算委は大半の野党議員が欠席のまま審議した。衆院議院運営委員会でも、9日の本会議開催を野党理事が反対する中、古屋圭司委員長の職権で決めた。
 自民党内では、財務省の対応を懸念する声が相次いでいるのも事実だ。
 二階派の総会で、最高顧問の伊吹文明衆院議長は「報道がすべて事実であれば、憲政上大きな問題が生じる」と指摘。麻生太郎副総理兼財務相が不在だった麻生派の総会でも、山東昭子会長代行が「財務省という役所は信頼できる役所であるはずだ。きちんと対応してほしい」と語った。(生島章弘、中根政人)