今日の東京新聞

購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。

太郎の国際通信「#フェイスブック削除」

太郎の国際通信「#フェイスブック削除」/4面

 ソーシャルネットワークの巨人・フェイスブックを巡るスキャンダルが広がっている。
 フェイスブックは全世界に約22億人の利用者がいると言われるが、このうち約5000万人の個人情報が漏洩(ろうえい)して米大統領選などに利用されたとされ、10日(現地時間)に最高経営責任者(CEO)のザッカーバーグ氏が米下院の公聴会に召喚されて証言することになった。
 情報漏洩には、英ケンブリッジ大の心理学者コーガン博士の開発した心理テスト用アプリケーションが利用された。このアプリを使った約27万人の利用者の氏名、年齢、宗教、仕事、教育などのデータが本人の知らぬうちに流出すると同時に、これら利用者の「友達」に登録された約5000万人のデータも漏れた。
 これらのデータは、「ケンブリッジ・アナリティカ(CA)」という英国の調査会社に売却され、同社で投稿内容を分析したり、「いいね」の意思表示から「友達」の思考傾向をモデル化した。
 一昨年の米大統領選挙でトランプ陣営は、CAから入手したデータを基に特定の有権者層に狙い定めたメッセージを集中的に送りつけて激戦州を制して選挙に勝利したと言われる。
 この問題はCAの元調査部長のワイリー氏の内部告発で明らかになったものだが、ワイリー氏は英議会での証言で、CAのデータは1昨年の英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票の際にも離脱派に利用され、さらにはナイジェリアやトリニダードの選挙にも使われたと証言している。
 さらにワイリー氏は「フェイスブックが、利用者の話を聞いている可能性がある」とも証言した。
 かねてフェイスブックスマホのマイクを通じて利用者の声を聞き、広告展開に利用しているのではないかという疑念が指摘されていた。
 「猫の話をしていたら、フェイスブックにキャットフードの広告が現れた」(英テレグラフ紙2017年10月30日)
 フェイスブック側は全面否定しているが、米下院の公聴会ではこうした問題もザッカ―バーグ氏を問い詰めることになるだろう。
 フェイスブック利用者の不信が高まったことは言うまでもない。「#フェイスブック削除」という動きがインターネット上に広がった。
 個人だけでなく、電気自動車のテスラ社や独の銀行コメルツバンク、ウェブブラウザーモジラ、それに雑誌のプレイボーイ社などがフェイスブックの使用や広告表示をやめることを宣言している。
 今のところ欧米だけの動きだが、ソーシャルネットワークに国境はない。フェイスブックのボイコットがさらに広がったり、ソーシャルネットワーク全体に不信感が及ぶかもしれない。(木村太郎、ジャーナリスト)