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本音のコラム「緊急事態」 山口二郎

本音のコラム「緊急事態」 山口二郎/27面

 このところ、官庁で文書の隠蔽(いんぺい)、捏造(ねつぞう)、改ざんが相次いでいる。
 われわれの日常的な活動において、契約書の文言をこっそり書き換えるとか、あるはずの文書を隠して廃棄したと言い張るとかいったことが起これば、取引は成り立たない。役所にはわれわれの常識は通用しない。
 しかし、雨が降ろうが槍(やり)が降ろうが安倍政権を正当化したい人はいるものである。彼らの言い分は、朝鮮半島情勢や日米関係が急展開する中、日本の国会やメディアはいつまで文書改ざんや隠蔽に没頭するのかという、一見国益を重んじる議論である。
 冗談ではない。非常識な政府が重要な政策を決めること自体が国益を損なっているのである。
 自衛隊の活動記録にせよ、国有地の不正な値引きにせよ、1年以上前から野党やマスコミは疑問を呈し、真相の解明を要求してきた。
 しかし、安倍政権は官僚の子供じみたごまかしを擁護し、根拠もなしに問題ないと強弁し続けた政府の指導者が初動の段階で素直に問題の存在を認め、情報公開を実現していれば、今頃野党に足を引っ張られるなどと泣き言を言う必要はなかったはずである。
 自民党改憲案は緊急事態への対応が必要だという。今がその緊急事態なのだ。そして、それへの対応策は改憲ではなく、内閣総辞職あるのみである。(法政大教授)