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沖縄の夜間中学 守って

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こちら特報部/沖縄の夜間中学 守って/24面

 沖縄戦による混乱で学校に通えなかったお年寄りたちが学ぶ夜間中学が苦境に立たされている。沖縄県教育庁が、運営するNPO法人「珊瑚(さんご)舎スコーレ」(那覇市)に対する支援事業を昨年度で終了したためだ。現在、県内唯一の夜間中学でもあり、県の支援継続を求める署名運動が広がっている。 (片山夏子)

県支援終了で唯一の学校苦境 戦争体験者ら通う
 珊瑚舎スコーレは、埼玉県の自由の森学園校長だった星野人史代表(70)が、2001年に那覇市で開いたフリースクール沖縄戦の影響で学校に通えなかったお年寄りが多いことに気づき、04年に夜間中学を併設した。沖縄で初めての夜間中学だった。
 県内各地からお年寄りたちが通い、これまでに約90人が卒業、うち4割は高校にも進んだ。
 寄付やボランティア講師に頼って運営する同校の取り組みは注目を集め、県教育庁も11年度から、戦中戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった1932~41年生まれを対象に、講師の手当てや光熱費、施設賃借料などの一部を補助してきた。県の担当者は「当初、3年間の計画だったが、対象者が残っているということだったので、昨年度まで支援の延長をしてきた」と説明する。
 途中から同校のほかに塾や人材育成の2事業者も授業を開設。しかし17年度までに対象者がいなくなったとしてどちらも授業を終了している。
 珊瑚舎スコーレの夜間中学には現在、40~80代の12人が通い、うち5人は県の支援事業の対象者だった。県側は「支援事業は昨年度で終わったが(珊瑚舎スコーレに)支援対象者がいるということで、今新たな支援方法を検討している」とするが具体策は決まっていない。
 支援継続を求めて生徒や講師らは先月中旬、県議会に陳情書を提出。署名活動も始め、インターネット上の署名も合わせて、18日時点で1225人の署名が集まっている。
 星野さんは「県は『十分な成果があった』と説明するが、まだ支援対象者がいる。県幹部から支援終了後も次の支援策を検討している、という発言もあったので、何らかの形で支援が続くと思っていた」と振り返る。だが、新年度が始まっても支援は宙に浮いたまま。星野さんは「教育行政の大幅な後退だ」と憤る。
 沖縄県では、義務教育を修了していない15歳以上は10年10月時点の国勢調査で6541人。人口1000人当たりの割合は4.7人で、全国の約5倍と突出して高い。
 星野さんは支援に「年齢枠」があることに疑間を呈する。憲法で保障された学ぶ権利や、16年に制定された教育機会確保法の精神からすれば、そもそも義務教育の未修了者に年齢の枠を設けて支援することはあってはならない」
 沖縄県も夜間中学の設置を検討するが、現在、珊瑚舎スコーレが唯一の夜間中学だ。署名は、お年寄りだけではなく夜間中学で学ぶことを希望するすべての生徒の学ぶ権利の保障と支援を求める。
 夜間中学を研究し、2年前から同校で聞き取り調査をする神戸学院大講師の金益見(キムイッキョン)さんは「本来、戦後の歩みの中、やっと学びを取り戻そうとしている人を支え、責任を取らなくてはならないのは国であり、その責務は県にある。夜間中学ももっと早く沖縄につくるべきだった。国や県がすべきことを民間がやっているのに、支援打ち切りはありえない。年齢枠を設けず支援をすべきだ」と語る。
 署名は、5月末まで同校のホームベージでも受け付けている。