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拉致問題解決 「最重要課題」なのに米韓頼み

 f:id:a-tabikarasu:20180425090637j:plain 24面/2018.4.25

こちら特報部拉致問題解決 「最重要課題」なのに米韓頼み/24面

 「私が司令塔となって、全力で取り組んでまいります」。安倍晋三首相は22日、東京都千代田区で開かれた拉致問題の解決を求める「国民大集会」でこう意気込んだ。だが、具体策はといえば、米国や韓国を通じての要請という他国頼みだ。政権支持率が下がる中、拉致問題を政治利用しているとの批判が出ている。(中沢佳子)

首相「私が司令塔」 支持率回復に利用? 「いまだ成果 何もない」
 「まずは南北、そして米朝首脳会談の際に、拉致問題が前進するよう、私が司令塔となって全力で取り組んでまいります」。首相は集会でそう語った。
 あいさつでは、これまで何十回となく国会などで繰り返された「拉致問題安倍内閣の最重要課題」という決まり文句に加え、「被害者が家族と抱き合う日がくるまで使命は終わらない」などと強調した。
 だが、そこで披露された「成果」はむなしい。
 首相が触れたのは今月17・18日のトランプ米大統領との会談。「(米大統領は)米朝首脳会談で拉致問題を提起する、ベストを尽くすと力強く約束してくれた」と胸を張った。
 加えて、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領との電話会談で拉致問題解決に向けての協力を取り付けたことや、中国、ロシアに拉致問題の早期解決に向けて協力を求めることも説明した。角度を変えて見れば「最重要課題」と位置付ける問題の進展が他国頼みと明かしたに等しい。
 「この期に及んで『司令塔』とは…」。家族会元事務局長の蓮池透さんはあきれる。「拉致問題は日本の問題。それを他国に丸投げしている。司令塔なら、自分で司令するべきでは」
 蓮池さんは「首相がこれまでにやったことは、経済制裁と拉致担当相の新設。見果てぬ夢を被害者家族に与え続けている。まずは最重要課題と言いつつ、長い間解決できないことを謝罪するべきだ」と憤る。
 米朝首脳会談についても「金正恩(キムジョンウン/朝鮮労働党)委員長がトランプ大統領に『拉致問題は解決済み』と返したら、首相は次の手をどうするのか」と話す。
 南北、その後の米朝首脳会談で、拉致問題解決に向けてどこまで進展が望めるのか。浅井基文・元広島市立大広島平和研究所長は「北朝鮮側が拉致問題に関していい返事をしない場合、トランプ大統領は席を立つだろうか。何のために自分が会談に来たのかを理解していたら、そうはしない」と過大な期待をいさめる。
 そもそも、日本は北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向けた関係諸国の動きに取り残されている感がある。
 「首相は進退窮まり、形勢逆転のあがきで拉致問題を掲げたのだろう。だが、首相が自分で解決するべきことを他国にお願いするのはおかしい。その自覚さえないのは末期症状だ」
 今の安倍政権は苦境にある。相次ぐスキャンダルや不祥事から、内閣支持率は下降の一途だ。高千穂大の五野井郁夫教授(政治学)も、首相の姿勢を「困った時の拉致頼み」と政権浮揚に利用しているとみる。
 「ただ、トランプ大統領への働き掛けでは被害者家族だって納得できない。本当の成果とは拉致被害者が戻ること。まだ何も成果を出していない中、パフォーマンスにしか見えない」
 そのうえで、こう提起する。「これまで地道に独自の北朝鮮との外交ルートを築いてこなかったのは致命的だ。本気で拉致問題に取り組むのなら、米国のみでなく、韓国や中国とも丁寧に関係を育てるべきだ」