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エルサレムに米大使館移転 ガザで衝突、37人死亡

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エルサレムに米大使館移転 ガザで衝突、37人死亡/1面

 【エルサレム=奥田哲平】昨年12月にエルサレムイスラエルの首都と認定したトランプ米政権は14日、在イスラエル大使館を商都テルアビブから移転し、開館式典を行った。パレスチナの反発や国際社会の懸念を押し切った中東政策の一大転換で「二国家共存」を目指す和平交渉再開を遠ざけるのは決定的となった。=怒りと歓迎8面

 式典にはトランプ大統領の長女イバンカ補佐官と夫のクシュナー上級顧問ら約800人が出席。トランプ氏がビデオ演説する。米国は移転先をエルサレム南部アルノナ地区にある米総領事館内に置き、移転時期を前倒ししてイスラエル建国70年の14日に合わせた。
 建国はパレスチナ人が難民化した「ナクバ(大惨事)」の節目でもあり各地では抗議デモが発生。ガザ保健当局などによると、約4万人が参加したガザ地区ではイスラエル軍との衝突で37人が死亡、1700人が負傷した。

 

遠のく一方 中東和平/パレスチナ「デモが状況変える」イスラエル「素晴らしい日」歓迎/8面

 【エルサレム=奥田哲平】トランプ米大統領エルサレムイスラエルの首都と認定してから5カ月。米国が14日、ついに大使館の移転に踏み切った。「歴史的な瞬間」(ネタニヤフ首相)を迎えたイスラエルは歓迎一色に染まった。 一方、パレスチナ人には怒りがうずまき、抗議デモの暴徒化が懸念される。

米大使館 エルサレム移転
 大使館があるアルノナ地区はエルサレム南部の高台にある閑静な住宅街。近くに暮らすイスラエル人の投資家マーク・ウィンクさん(46)は「何て素晴らしい日だ。米国の大統領は20年以上、移転を約束しながら実行しなかった。トランプ氏は真の友人だ」と喜んだ。道路沿いには「トランプ氏はイスラエルを偉大にした」との垂れ幕と星条旗が並ぶ。
 垂れ幕を飾ったのはイスラエル建国の歴史を紹介する博物館「シオンの友人」。創設者はキリスト教右派福音派」の米国人。福音派は聖書の言葉を厳格に解釈、親イスラエルの立場を取る。米国最大の宗教勢力でトランプ氏の支持基盤だ。その支持者の心をくすぐるように米国は建国70年の節目に開館日を選んだ。
 しかし翌15日は、建国に伴ってパレスチナ人が難民化した「ナクバ(大惨事)の日」だ。大使館に近い東エルサレムに暮らすパレスチナ人のサミ・ダバシュさん(39)は「ここは米国ではなく、トランプ氏に首都を認定する権利はない。なぜナクバから70年という微妙な時期に介入してくるのか」と憤る。
 怒りの矛先はアッバス議長率いるパレスチナ自治政府にも向かう。和平交渉が行き詰まる中で占領の固定化が進み、最近もイスラエル当局による家屋の強制取り壊しが起きた。パレスチナ人の雑貨店員ハマムードさん(32)は「政治家には頼らない。デモの力が状況を変える」と決意する。米国が「首都認定」を表明した昨年12月以来、自治区内では90人以上が死亡している。
 イスラエルメディアによると、大使館は暫定的な移転で最終建設地は未定。ただ、現在の建物は1949年に結んだ第1次中東戦争の停戦ラインの真上にある。エルサレムの帰属は和平交渉で決めるという国際合意に反し、東西エルサレムを一体化するイスラエルの主張に沿ったとして議論を呼ぶ。
 アルノナ地区に60年間暮らすイスラエル人のハンナ・ベンメナハンさん(73)はユダヤ人迫害の機運が高まった1930年に両親がドイツから移住。大使館移転を歓迎しつつ「セレモニーにすぎない」と冷めている。「問題は二国家共存という和平に誰がどうやって導くかだ」

エルサレム ユダヤ教キリスト教イスラム教の共通の聖地。1キロ四方の壁に囲まれた旧市街には、ユダヤ教の「嘆きの壁」、「イエス・キリストの墓」があるキリスト教の「聖墳墓教会」、イスラム教の預言者・ムハンマドが昇天したとされる「岩のドーム」がある。1947年、国連はパレスチナ分割決議を採択。エルサレムは国際管理都市となったが、48~49年の第1次中東戦争で東西に分断支配され、67年にイスラエルが東エルサレムも併合した。パレスチナは東エルサレムを将来の首都と位置付ける。