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「物言えぬ世 食い止めた」九条俳句訴訟

 f:id:a-tabikarasu:20180519174946j:plain 25面/2018.5.19

「物言えぬ世 食い止めた」九条俳句訴訟/25面

 憲法9条について詠んだ俳句の掲載拒否を巡る訴訟で、1審判決に続き、掲載しなかったことの違法性を認めた18日の東京高裁判決。原告の女性(77)や、識者らは「思想や信条によって不公正な取り扱いは許されないと認めた意義ある判決」などと評価した。 (山田祐一郎)=1面参照

原告、改めて掲載訴え
 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した弁護団の久保田和志弁護士は「市が市民活動に介入した点について、違法性を認めた」と指摘。「訴訟を通じて公正、中立を理由に市民の権利を制限することがいけないと主張してきたが、今回の判決も『正当化できない』と結論づけた」と述べた。
 会見後、女性は控訴審前の今年2月に98歳で死去した俳人金子兜太(とうた)さんに触れ、「(金子さんは)『物が言えなくなる世の中が戦争につながる』と言っていた。それを食い止めるような判決で良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 掲載拒否の問題は、本紙紙面で金子さんと作家のいとうせいこうさんの対談で取り上げられ、本紙「平和の俳句」(2015~17年)が始まるきっかけになった。
 女性は「判決では、掲載を命じなかったが、市側は当然、俳句を掲載するべきだ」と改めて訴えた。今後、市に俳句の掲載を要請する方針だという。
 政治的中立を理由に地方自治体が市民の活動を制限する動きについて、同様の事例が近年、全国で相次いでいる。武蔵野美術大学の志田陽子教授(憲法)は「判決には思想や信条によって不公正な取り扱いは許されないという強いメッセージが込められている」と指摘する。
 集団的自衛権の行使や安全保障関連法案を巡る議論が活発化した2015年前後は、同様の事例が多く発覚。 16年には神奈川県海老名市が、政権を批判する内容のプラカードを持って静止するパフォーマンスを禁止したが、横浜地裁は禁止命令の取り消しを命じた。 14年以降、市民団体が東京都国分寺市のまつりに参加を拒否されたケースでは、人権救済申し立てを受けた東京弁護士会が、まつりの実行委員会に対し拒否しないよう要望した。
 公民館など公の施設について、志田教授は「市民が集会や学習の場として活用し、政治的な意識を共有できる民主主義を育てる場だ」と説明。「公の施設が政治問題に神経質になっている中、明確に違法性を認めた。判決は今後、同様の事例を抑止するための指針になる」と期待する。