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笑点の大喜利 ネットざわつく 「洒落わかってない」

 f:id:a-tabikarasu:20180531134859j:plain 24面/2018.5.31

笑点大喜利 ネットざわつく 「洒落わかってない」/24面

 長寿演芸テレビ番組「笑点」(日本テレビ系)の大喜利で、安倍政権を皮肉ったネタがインターネット上で議論になっている。なかには「政権批判の印象操作」と非難する書き込みもある。しかし、政治や世相を斬り、民衆の留飲を下げる力があるのが「お笑い」。政治的偏向とみなす批判をたしなめる識者も少なくない。(中沢佳子)

笑いは反権力「非難やぼ」
 議論になっているのは、今月27日放映の回の大喜利。司会の春風亭昇太さんが「公害で一番苦情が多いのは騒音。うるさいと耳をふさぎますよね。そこで皆さん、耳をふさいで、 一言」とお題を出した。
 三遊亭円楽さんは「安倍晋三です」。「どうしたの」という合いの手に「トランプ氏から国民の声は聞かなくていいと言われました」。会場は笑いと拍手。続いて「麻生太郎です」と、林家たい平さんが麻生財務相の口調をまねてみせ、オチは「やかましい」。森友・加計疑惑や財務次官のセクハラ問題などでの両者の態度を皮肉った。
 林家木久扇(きくおう)さんは「うるせえなぁ」と顔をしかめ、「沖縄から米軍基地がなくなるのは、いつなんだろうね」とチクリ。「おお―」と得心の声と拍手が湧いた。ちなみに、お三方とも座布団一枚となった。
 ところが、このやりとりにネット上がざわついた。
 「笑点使っての政権批判、印象操作酷(ひど)いな」「風刺を通り越して政権批判」など、政治的な偏りだと見る非難が相次いだ。「首相批判や米軍駐留反対の話題は、お笑い番組としてふさわしくない」と番組制作側の姿勢を問う声もあった。
 一方、「権力者を椰楡(やゆ)するのもお笑いの要素」「ほんとに、笑いました」「多くの人が沖縄の基地問題を気にしているよ」と、好意的な受け止めも。「ネトウヨネット右翼)」を名乗る人も「笑点の社会風刺はあれでいい。権力に対する風刺で、自民以外が政権取っても同じように風刺する」と理解を示している。
 「政治ウオッチャー」として紹介されることもある落語家の立川談四楼さんはツイッターで「国策落語を強いられた過去を持つ落語家に(非難は)ナンセンス。政権批判は(落語家の)日常業務」とつづった。
 番組への非難について、「洒落(しゃれ)が分かっていない」とあきれるのは元文化庁文化部長で、落語通で知られる寺脇研・京都造形芸術大客員教授「笑いは、権威をからかうもの。『反政権』ではなく『反権力』だ。芸人が芸の中で言うことは思想信条と次元が違うし、そもそも落語にはいろんな価値観がある」と話す。
 落語家の門下にいた経験のある漫画家の高信太郎さんも「僕は右寄り」と言いつつも、落語家が政治家を批判しても本心とは限らないと前置きし、「要は受けるかどうか。落語を聴く人なら、それを分かって聴くはずだが」と苦笑する。
 権力やままならない社会に対する民衆のもどかしい思いをくみ取る。それも落語の魅力の一つ。古典落語には殺害や盗み、娘売りの話もある。善悪や「政治的偏向」で一律に語れるほど薄っぺらくはあるまい。
 コラムニストの小田嶋隆さんは「みっともないね」と切り捨てる。ネットは政権支持の人たちが組織的に動きやすい空間と指摘した上で「ネタは『政治色が強い』というほどの内容ではなかったし、『笑点』が政治ネタを扱うことは珍しくない。それを非難するというのはやぼだ」と語った。