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日米地位協定 日本、際立つ権限の弱さ

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日米地位協定 日本、際立つ権限の弱さ/2面

 沖縄県うるま市で2016年に女性会社員が元米軍属の男に殺害された事件で日米両政府は、日米地位協定に基づかない形で、遺族に賠償金を支払うことで合意した。在日米軍の特権的な立場を定めた地位協定は、沖縄で米軍絡みの事件・事故が後を絶たない原因とされる。県は、日本と同じ第2次世界大戦の敗戦国であるドイツ、イタリアが米国と結んだ協定と比べて、抜本的な改定を訴えている。 (村上一樹)

独伊は改定  立ち入り可能
 うるま市の事件後、日米は軍属の範囲を縮小する補足協定を結んだが、地位協定の見直しに踏み込まなかった。賠償金を巡っても、日本側は地位協定に基づく賠償を求めたが、米側は、元米軍属の男は「米軍の被用者」に当たらないと主張。協定外の「自発的、人道的な支払い」にだけ応じた。不足した場合、日本側が見舞金として対応する。
 沖縄では米軍絡みの凶悪事件や米軍機の事故が繰り返され、県は地位協定に問題があるとして改定を求め続けてきた。その一環として、米軍が大規模に駐留するドイツとイタリアに職員を派遣し、両国と米国との地位協定を調査。県のサイトで公表した。
 ドイツでは東西統合前の1988年、航空ショーで米軍機が墜落し、70人以上が犠牲になる事故が発生。これをきっかけに92年、地位協定が改定された。米軍機にもドイツの航空法が適用され、夜間飛行が制限される。訓練はドイツ航空管制の事前許可が必要。
 米軍基地内に自治体職員の立ち入り権も認められ、ドイツの警察官が常駐。騒音軽減委員会が設置され、自治体の意見を米軍が聴く仕組みもある。
 イタリアでも98年、米軍機がロープウエーのケーブルを切断してスキー客20人が死亡したことを受け、その後、新たな協定を締結。米軍の訓練の許可制度や、訓練飛行への規制が大幅に強化された。
 対照的に日米地位協定は60年の締結以降、 一度も改定されていない原則として米軍に国内法は適用されず、訓練の詳細情報は知らされない。地域の委員会も設置されていない。沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は先の「慰霊の日」平和宣言で「県民は、広大な米軍基地から派生する事件・事故、騒音に苦しみ続けている」と訴えた。
 しかし、安倍政権は協定の見直しに消極的。外務省の担当者は「日米地位協定が、他の地位協定に比べて不利ということはない」と言い切る。
 イタリアのディーニ元首相は、沖縄県の調査にこう話したという。「米国の言うことを聞いているお友達は日本だけだ。沖縄が抱える問題は、日本の政治家が動かないと解決が難しい」