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新聞を読んで/「加計ありき」鮮明に 永田浩三

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飢えと病  遺体焼く地獄 開発の宮古  かすむ記憶/1面

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新聞を読んで/「加計ありき」鮮明に 永田浩三/5面

 新聞は忘れてしまったことを整理し、われわれの立ち位置を再確認するためのかけがえのないメディアだと思う。
 7月28日の東京新聞の1面。加計学園とライバル関係にあった京都産業大学の大槻公一元教授の独占インタビューが掲載された。2年前の2016年1月、内閣府で国家戦略特区を仕切っていた藤原豊地方創生推進室次長(当時)が大槻氏と面会した際、「今ごろ持ってくるなんて遅い」と批判したという。申請期限はないにもかかわらず、加計学園の学部新設はすでに決まったかのような発言だった。発言は本当なのか、藤原氏に確認を求めたが回答はない。
 翌29日に「権力の内幕~検証・加計疑惑 第二部」が始まった。第1回には、石破茂氏が内閣改造で特区を担当する地方創生担当相から外れた途端、加計学園の学部新設の動きが一気に進んだようすが浮き彫りにされた。記事からは、石破氏がまだ大臣の任にあり、従来の獣医学部とは違うものでなければ認められないとした、「石破4条件」を設けたにもかかわらず、新学部認可に向けての動きが安倍政権水面下であったことがうかがえる。連載では「加計ありき」の不自然さ、京産大のとまどいが改めて鮮明になった。
 同じ29日朝刊の2面には、石破氏のブログが紹介されていた。「自民党総裁選に立候補するか否かという決断は、本当に幾晩も寝られない懊悩(おうのう)が続く苦しいものだ」とし、さらに、かつて総裁選後に自殺した中川一郎氏のことを挙げて、「その恐ろしさをまざまざと感じた」という。記事は小さいけれども、その中身は怖すぎないか。
 そこから見えてくるのは、加計学園問題と総裁選がいやが応でもリンクし、石破氏がのっぴきならない立場にあると同時に、安倍氏の側も必死でつぶしにかかってくるであろうことだ。権力闘争はこれからどのように進行するのか目が離せない。
 一方、東京新聞は6月14日から7回にわたり、「背信の根~検証・森友問題」という力のこもった連載をした。 1年以上国会や市民を欺き続けてきた疑惑の背景になにがあるのか、検証を試みていた。森友学園理事長だった籠池泰典被告の生家の高松市や、文書改ざんを命じられ自ら命を絶った近畿財務局職員の岡山の実家を訪ねるなど、丁寧な取材がなされていた。「あの人が自分から(書き換えを)やるわけない。自殺するなんて本当につらかったんだなあって…」。この一言を記事にする裏に、どれほど膨大な取材があることだろう。いつの時代も組織の犠牲となるのは個人だ。
 われわれは日々に汲々(きゅうきゅう)となり忘れっぽい。でも、忘れてはいけないことがあるのだと、新聞は気づかせてくれる。

武蔵大学社会学部教授)※この批評は最終版を基にしています。