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本音のコラム「特攻五輪」 斎藤美奈子

f:id:a-tabikarasu:20180829093250j:plain 1面/2018.8.29

障害者水増し 究明先送り 省庁の8割不正算入/1面


本音のコラム「特攻五輪」  斎藤美奈子/27面

 こんな季節にオリンピック・パラリンピックなんて、どうかしてるよ。そう思わなかった人はいないだろう。熱中症で急搬送された人は7月だけで約5万4000人。死者は133人。各地で猛暑日が続いた8月の集計結果が恐ろしい。
 2年後の五輪を考えるなら、開催日程を秋にずらすべきだと考えるのが正常な人の神経である。私は東京五輪そのものに反対なので違約金を払ってでも五輪開催権を返上するのが賢明な判断だと考える。同じ意見の人も10人に1人くらいはいるんじゃないか。
 開催日を秋にずらせないのは、アメリカの放送局の都合だそうだ。放映権料をあてにするIOCは最初から日程優先。その条件で招致に成功した日本も逆らえない。
 せめて協賛企業の1社でも「この日程ならスポンサーは降りる」と表明しないか待っているのだが、それもない。大手新聞社がこぞって協賛企業という翼賛体制の下では新聞記事も「暑さ対策」を求めるのが精一杯。
 かくて責任の所在が不明瞭なまま、死を賭した五輪が開催される。選手はもちろん、ボランティアスタッフも観客も命の危機にさらされる。まるで特攻五輪である。
 2年後の猛暑日、朝のニュースは「屋外での観戦は控えましょう」「ボランティアにも参加しないでください」と呼びかけられるだろうか。甚(はなは)だ疑問だ。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)