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当時4歳でも 国「訴訟費用92万円支払え」 判決に波紋

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こちら特報部/当時4歳でも 国「訴訟費用92万円支払え」 判決に波紋/26面

 4歳といえば、ものごころがつくかどうかの年ごろ。その年齢に親が起こした訴訟を理由に、18歳の女性が国から92万円の支払いを迫られている。国が訴訟の費用を女性に請求し、仙台地裁が今月上旬、支払いを命じる判決を出したためだ。ちょっと取り立て、厳しすぎませんか?(大村歩)

 判決などによると、両親と女性は2000年に仙台市内のマンションの入居。04年~05年にかけ、3人ともシックハウス症候群と診断された。両親は不動産会社を相手取り、損害賠償請求を求める訴訟を起こした。4歳だった女性も、両親が原告に加えた。12年に最高裁で女性側の敗訴が確定した。
 ここで訴訟費用が問題になった。収入印紙で裁判所に納める手数料や、訴状の作成料、書類の発送料など裁判進行上かかる実費で、弁護士費用は含まない。民事訴訟法61条は「敗訴の当事者の負担とする」と定めている。
 この訴訟では、シックハウス関連の鑑定費用や控訴手続きなどで、計200万円に上った。父親は払えないとして、訴訟が終わるまで支払いを待ってもらう「訴訟救助」を申請し、認められていた。
 敗訴が確定し、最高裁は女性側に請求した。ところが、父親は自己破産し、支払いを免責された。母親はすでに亡くなっていた。国は原告だった女性には支払い義務があるとして、昨年、提訴した。
 女性側は「親が子どもの訴訟費用を負担するのは世の常識。支払い義務は父親にある」と反論。村主隆行裁判長は「確かに、未成年者の訴訟費用は法定代理人の親権者が支払っているのが通常なのは事実」と認めつつ「未成年者が支払い義務を負わないという結論は導けない」と退けた。
 とはいえ4歳の子どもに訴訟を起こすかどうかの判断はできない。仮に勝訴しても、賠償金をまず受け取るのは、親だったはずだ。その費用を女性に払わせるのは酷ではないか。
 女性の代理人の吉岡和弘弁護士は「親が起こした訴訟であり、女性は被害者として原告になっただけだ。親が支払えないからと、未成年の女性に支払いを迫り、自己破産させていいのか」と憤る。女性は21日、仙台高裁に控訴した。
 この判決を聞いた椎名麻沙枝弁護士は「女性が原告なので、確かに支払い義務はある。しかし、一連の訴訟を実質的にやっているのは父親であり、あまりにも形式的な判断ではないか」と疑問を投げかける。
 椎名氏はこれまで、薬害エイズ訴訟、銀行の貸し手責任追及訴訟など消費者側に立った訴訟を手掛けてきた。その経験から「50年、弁護士をやってきたが、訴訟費用を相手に請求したこともなければ、請求されたこともない。普通やらない」と語る。 <略>