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ネット広告 不正システム放置に歯止めを 津田大介さん

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見張り塔から/ネット広告 不正システム放置に歯止めを 津田大介さん/4面

 2016年の米大統領選挙で欧州の小国・マケドニアのヴェレスという小さな町が「フェイクニュース工場」になったことが話題になった。若者たちが中心となって、ニュースサイトを立ち上げ、虚偽の情報を元にトランプ候補を支持する、あるいはクリントン候補を批判する記事を量産したのだ。彼らのつくるフェイクニュースは耳目を集め、フェイスブックツイッターで拡散、大統領選の投票行動に影響を与えたとも分析されている。
 なぜマケドニアの若者たちは、自国の選挙でもない米大統領選のニュースサイトを運営していたのか。答えは簡単、広告収入目当てで、扇情的な記事をつくり、アクセスを集めていたのだ。
 中央公論17年7月号に掲載された「マケドニアフェイクニュースの里』を歩く 大学生や高校教諭が一攫千金(いっかくせんきん)を夢見て」という記事によれば、19歳の大学生がネット上のトランプ米大統領のニュースをかき集めて若干の編集を加えることで「ニュースサイト」を作成すると、簡単に月刊3000ユーロ(約36万円)が手に入ったという。
 虚偽情報を元に扇情的な記事をサイトに掲載し、広告収入を稼ぐ事例は米国だけでなく日本でも見られる。「まとめサイト」と呼ばれる形態のサイトの多くが、それに当たる。昨年11月13日に放送された「クローズアップ現代+」で、ある上位まとめサイトの月収は700万円ということが明らかになった。そのことからも政治ネタを扱う人気サイトの多くがイデオロギーではなく、広告収入目当てで運営されているということがわかる。
 ネット広告は仕組みが複雑であるがゆえに、なかなか実態がつかめない。倫理的に問題のある業者も多く関わっていると言われていたが、そうした悪質業者の具体的な手口を明らかにしたのが9月4日放送の「クローズアップ現代+」だ。
 テレビ番組や雑誌、新聞であれば広告主が媒体を名指しで選択して広告を出稿することができるが、「アドネットワーク」という仕組みを使うネット広告は、ネットワークに登録している無数のサイトのいずれかに表示されるため、広告主がどのサイトに自社の広告が出ているのか把握することが難しい。
 アドネットワークが引き起こしている問題は、誰もが簡単に自分のサイトに広告を掲載することができるが、その内容については精査されないということに集約される。<略>
<見張り塔から・メディアの今/ジャーナリスト津田大介(つだ・だいすけ)さん>