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「種守る」北海道民立つ 種子法に代わる条例提案

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「種守る」北海道民立つ 種子法に代わる条例提案/26面

 米などの安定供給を支えてきた主要農産物種子法の廃止を受けて、各県で同法に代わる新たな条例を制定する動きが広がる。日本の食を支えてきた北海道では道民有志が独自の条例案をまとめ、道に提案した。種の情報や流出の防止を求める案からは、大企業優位の競争を推し進める「アベノミクス農政」 への懸念も浮かび上がる。 (安藤恭子

 9月、東京都内で開かれた種子法廃止を考えるシンポジウム。「道が示した条例の骨子案は私たちの理念とは違う。旧種子法が定める米・麦・大豆以外にも、北海道の大切な作物の種はたくさんあるのに対象とならない。法が廃止されたこの際、抜本的な改革を求めたい」。市民グループ「北海道たねの会」代表の久田徳二・北海道大客員教授が、道が示した条例骨子案に苦言を呈した。
 4月に廃止された同法は、米などの優良な種子の生産普及を都道府県に義務付けてきた。農業が盛んな県を中心に種を開発し、優秀な種を「奨励品種」と定めて農家に提供することで、国民への食糧の安定供給を担ってきた。
 しかし政府は昨年、民間参入による農業の「競争力強化」の一環として種子法の廃止法案を提出。衆参合わせてわずか12時間の委員会審議で廃止が決まった。その後成立した「農業競争力強化支援法」では、都道府県が有する「種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること」も定められた。
 種子法廃止に伴い、多くの県が内部規定の要綱などを改定し、当面の種の生産体制の維持を打ち出した。新潟、兵庫、埼玉の3県では、種子法に代わる条例が制定された。
 こうした中、種の存続に危機感を持つ農業関係者や道民有志で六月に発足したのが「北海道たねの会」だ。現在の会員は約150人。種子条例の制定を道に求める一方、独自の条例案をつくり、8月に高橋はるみ知事に提出した。
 会の独自案は16の条文から構成され、種子を「人類共有の財産」と位置付ける。種子法が対象とする米、麦、大豆のほか、ジャガイモやタマネギといった幅広い作物の種や在来種も条例の対象に含め、普及体制の整備や保護を図るとした。在来種や農家が自ら育てた作物から種を採る「自家採種権」の保護もつたう。
 知見の提供をうたう農業競争力強化支援法への対抗から、道内の種などの資源や知見が流出し、遺伝子組み換え技術による応用などが図られた結果、多国籍企業に独占されることがないよう、種や情報の保護と流出防止の措置を講じることも盛り込んだ。<略>