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本音のコラム「曇りのち晴れ」 斎藤美奈子

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本音のコラム「曇りのち晴れ」 斎藤美奈子/23面

 玉城デニーさんは明るかった。沖縄県知事選の期間中、私は配信される動画を見ていただけだけれども、太陽のような明るさにしびれた。仮に私が政治に興味がなく、普天間飛行場の移設問題にも関心がなく、新聞も読まず右や左の意味がわからなかったとしても、この人に投票するだろうなと思った。楽しそうなほうに人は行くのだ。
 この結果にカチャーシーを踊りかねないほど喜んでいる非沖縄県民は多い。翁長路線が継承されて辺野古移設に歯止めがかかるという理性的な理由もさることながら、曇り空の隙間から日差しが見えた気がしたからではないか。本土では、だってもう6年近く曇天が続いてるんだから。
 その証拠に見よ、永田町の茶番劇を。内閣改造とかいってるが、見飽きたメンバーにあまり見たくない新閣僚が加わっただけ。誰も責任をとらない厚顔無恥内閣、希望が見えない曇天内閣だ。
 注目度の高い選挙だったのに、NHKも民放も報道はほとんどせず、結果を報じるニュースも適当。当選後も、キャッチーなはずの新知事の横顔さえ伝えない。翁長前知事の誠実で堂々たる雰囲気もすてきだったが、玉城新知事には大衆的なスター性がある。メディアを介して全国的な人気が出たりしたら、そりゃ政権は困るわよね。
 それでも風は吹き、晴れ間は見えた。吹き飛べ曇り空。(さいとう・みなこ/文藝評論家)