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「ぼけますから、よろしくお願いします」

 f:id:a-tabikarasu:20181025165054j:plain 1面/2018.10.24

娘が撮った母の「認知症」「老老介護」「ぼけますから、よろしくお願いします」/1面

 認知症のある87歳の母を95歳の父が支える-。広島県の実家で暮らす両親を、東京に住む一人娘の映画監督(56)が撮影したドキュメンタリー映画が近く封切られる。昨年の正月、母から掛けられた言葉「ぼけますから、よろしくお願いします。」がタイトルだ。認知症老老介護、遠距離介護といった問題に直面する家族を、ありのままに捉えた。 (五十住和樹)

 撮影・監督したのは、引きこもりなど社会的なテーマでドキュメンタリーを撮り続けている信友直子さん。2001年正月から、故郷の広島県呉市に帰省する機会を利用し、両親を撮り始めた。「一人っ子で独身。家族は両親だけ。自分が寂しくならないように撮りためていた」
 社交的だった母文子さんの言動がおかしくなり始めたのは13年。翌年にアルツハイマー認知症と診断された。信友さんは帰省を2カ月に1回に増やし、食事の準備や病院への付き添いなどの介護をしながら、母と、それを支える父良則さんの日常を撮影。「娘が撮った母の認知症」などのタイトルで3回、テレビ番組で放送した。
 映画はこれを基に、14~17年の映像を中心に再編集した。「思っていた母が少しずつ自分の前から消えていく」。そんな苦悩を抱えながらも、撮り続けたのは「映像は今しか撮れない」という職業意識もあったという。
 映画では、認知症が進んだ文子さんが「自分だけ、のけものにして。死んでやる」と良則さんと大げんかする場面など、老老介護の現実をリアルに映し出す。たらいで洗濯したり、包丁でリンゴをむいたりして「初めての家事」を頑張る良則さんの様子も。娘に向かって「お母さん、おかしいじゃろう。何も分からんようになっていてごめん」と語る母の姿も、泣きながらカメラに収めた。
 信友さんの勧めもあり、両親は16年に初めて要介護認定を受け、文子さんは要介護1だった。良則さんは「非該当」のためサービスを受けられない。買い物袋を両手に提げて何度も休みながら歩く父の姿に、老いの厳しさも重ね描いた。 <略>