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本音のコラム 「捏造」の行方 斎藤美奈子

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本音のコラム 「捏造」の行方 斎藤美奈子/25面

 今週(9日)、注目の裁判の判決が出る。
 元朝日新聞記者・植村隆氏が、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と、氏の原稿を掲載した出版3社(「週刊新潮」を発行する新潮社、月刊「WiLL」を発行するワック、「週刊ダイヤモンド」を発行するダイヤモンド社)を相手どって起こした名誉毀損(きそん)裁判だ。
 2014年、朝日新聞が過去の慰安婦報道を検証する記事を載せた際、他のメディアが常軌を逸した朝日バッシング報道に走った事件を覚えておられるだろうか。あの前後に「捏造(ねつぞう)記者」として最大の攻撃対象にされたのが植村氏だった。
 焦点は1991年8月11日の植村氏による記事(元慰安婦・金学順さんの証言をもとに朝日新聞大阪本社版社会面に掲載)で、金さんが「挺身(ていしん)隊」の名で戦場に連行された、などと伝えるものだった。櫻井氏はこの記事を「捏造」と決めつけた上で、各誌にコラムを書いたのである。
 15年2月、植村氏は櫻井氏らを札幌地裁に提訴。裁判は今年7月に結審し、その過程で櫻井氏のコラムにこそ「捏造」があったこと、櫻井氏も自らの非を認めたことなどが伝えられている。
 植村氏の名誉はもちろん、ことはメディアの責任や歴史認識の根本問題にかかわる。9日の判決を報道各社はちゃんと伝えるだろうか。伝えてよね。重大な事案なんだからね。 (さいとう・みなこ/文芸評論家)