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本音のコラム 「財政民主主義」

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本音のコラム 「財政民主主義」  山口二郎/27面

 憲法86条は、予算は毎年度国会が審議し、「議決を経なければならない」と規定している。
 この条文が毎年度と明記していることには意味がある。他年度にわたる予算を許せば、それだけ国会の吟味がおろそかになり、国民にとって長期にわたる負担や拘束が押しつけられる危険があるからである。
 しかし、今の日本ではこの財政民主主義が危うくなっている。本紙の「税を追う」という特集が明らかにしている通り、防衛費において値の張る装備品が分割払いで発注され、将来にわたって防衛費を押し上げる構造を作っている。しかも、その装備品が本当に日本の防衛に必要かどうかの吟味は不十分で、米国の言うままに、トランプ政権のご機嫌を取るために高価な買い物をしているのが実態である。
 社会保障の増加、災害の多発など、国の予算を必要としている問題は広がり続けている。歳出の優先順位を考えることは国民的課題である。第二次世界大戦の英雄で後に米国大統領を務めたアイゼンハワーは、退任に当たって軍産複合体が民主主義の脅威になることを警告した。そして、「警戒心を持ち見識ある市民のみが、巨大な軍産マシンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができる」と述べた。今こそこの言葉をかみしめなければならない。(やまぐち・じろう/法政大教授)