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沖縄・石垣 陸自ミサイル計画 市民反発「住民投票で」

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こちら特報部/沖縄・石垣 陸自ミサイル計画 市民反発「住民投票で」/20面

 沖縄県石垣市陸上自衛隊の「ミサイル基地」を造ろうとしている防衛省に地元住民が反発している。押しつけの計画を嫌い、賛否を問う住民投票をするための署名を集めたところ、法律で必要とされている数の約20倍も集まった。沖縄では辺野古新基地建設の是非を問う県民投票も控えている。国策といえども、投票で示される地元の意思を無視して進めることは許されない。(石井紀代美)

 「みなさんのおかげで、1万4844筆集まりました」。石垣島南部の海岸にある公民館で1日夜、10月末から1カ月の期限で集めた署名の数が発表された。会場から歓声が湧き、指笛の音が鳴り響いた。
 家業の黒毛和牛を飼育しながら毎日、署名集めの街頭スピーチや戸別訪問をしてきた宮良央(みやらなか)さん(28)は「やっぱり、みんな島の将来のことを思っているんだ」と声を弾ませた。
 暑名は島の若者が中心となって結成した「市住民投票を求める会」が集めていた。ハーブ農家の伊良皆(いらみな)高虎さん(28)もその一人だ。「なぜこの場所なのか、どんなものができるのか。国に聞いても『機密なので言えない』と答えるだけ。島の将来に関わることなのに、説明もないまま。納得がいかなかった」と憤る。
 伊良皆さんが疑問に感じる予定地は、島中央部の密林で、生活用水をまかなう川の水源地。防衛省は約46ヘクタールに駐屯地を設け、500~600人規模の警備部隊と地対空・地対艦ミサイル部隊を配備する。年度内着エの方針だ。会で署名を集めたのは、住民投票についての条例に必要だからだ。
 条例は議会が決める。その案を提出できるのは、首長や議員だけではない。地方自治法の規定では、有権者の50分の1の署名を集めれば、住民が出せることになっている。
 石垣市有権者は約3万9000人なので780筆で足りる。はるかに多い1万筆超えを会は目指した。数で市政に圧力をかけようと狙ったからだった。

「国の専権事項」 市長は基地容認
 市政では容認が優勢になっている。中山義隆市長は計画に理解を示し、議会などで「国防や安全保障は国の専権事項。住民投票はそれにそぐわない」と述べている。9月の市議選では、市長側の候補が過半数を握った。条例案を出しても否決されかねない情勢だ。
 会代表の金城龍太郎さん(28)は「石垣の有権者は、地縁血縁で市議選の投票先を選ぶ傾向が強い。市議選では、駐屯地計画に反対でも市長側に投票した人が少なくない。1万筆を集めれば、そんな与党支持者の名前も署名に入ってくる。議会にプレッシャーを与えられる」と狙いを説明する。
「ばんみかすどー」(島の方言で「やるぞー」の意味)と威勢良くスタートを切ったが、15日目の中間集計では約3000筆にとどまった。宮良さんは「賛成」「反対」という言葉に、石垣の人たちが敏感だと感じ、作戦を変えた。
  国の計画を押し返し、住民で話し合う時間をつくる。家を回って「国に勝手に決められるより、住民の答えを出した方が島のためになる」「みんなで話し合うための住民投票です」と説得した。会員制交流サイト(SNS)やLINE(ライン)も使った。街頭演説ではコント風の掛け合いで訴えた。仲間が増え、差し入れをくれたり、「がんばれよー」と叫んでくれたりする人も出てきた。
 市議会にも変化が出始めた。関係者は「『若者が頑張っているのにつぶせない』という雰囲気になってきた。住民投票に否定的だったのに、揺れている議員もいる」と明かす。 <略>