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シャープ外国人2900人雇い止め 新制度でも「調整弁」か

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こちら特報部/シャープ外国人2900人雇い止め 新制度でも「調整弁」か/24面

 液晶生産で知られるシャープの亀山工場(三重県亀山市)で、今年2月以降、日系外国人労働者2900人が雇い止めにされていた問題。下請け企業の外国人労働者の立場の弱さが注目されているが、こうした間接雇用は国会で審議中の入管難民法改正案でも認められている。専門家は「外国人は『雇用の調整弁』 という考えを変えるべきだ」と指摘する。(大村歩)

 「シャープは雇い止めとは関係ないように装っている。ずるいやり方だ」。亀山工場の外国人労働者らを支援する労働組合「ユニオンみえ」の広岡法浄書記長は、こう批判する。
 広岡氏によれば、米アップル社のスマートフォンiPhone(アイフォーン)の部品生産を受注したシャープは『亀山工場で昨夏以降、大量の有期雇用労働者を必要としていた。シャープの直接雇用ではなく、一次下請けの請負会社から二次、三次の人材派勲社に人第めが任され、ボリビア、ブラジル、ペルーなど南米の日系人が集められ、一時期は約4000人の外国人労働者が働いていた。
 募集時には「月給30万円」などの好条件がうたわれたが、実際は12時間勤務の2交代制6勤1休。「しかし大量に集めた途端に、亀山でアイフォーン関連の仕事がなくなり、今年2月ごろから雇い止めが始まった」(広岡氏)。3次下請け会社の「ヒューマン」(同県鈴鹿市)が2勤2休などに仕事を削減。4月末まで1300円だった時給を段階的に1100円に切り下げ、辞めない人に雇い止めを通告したという。
 ユニオンみえは先月、こうした行為が職業安定法44条違反(労働者供給事業禁止)に当たるなどとして、ヒューマンなどを三重労働局と津労働基準監督署に告発。今月3日、広岡氏らと厚生労働省で記者会見した労組「全国コミュニティ・ユニオン連合会」の鈴木剛会長は「日系人労働者の雇い止めは1990年代後半から問題化していたが、1企業だけで3000人は突出している」と話す。
 「こちら特報部」の取材に、シャープ広報担当の村本昌彦氏は「弊社は業務量と納期について1次下請けと契約を行っている。その先の下請けについではコメントできないと回答。ヒューマンにも取材を申し入れたが、回答はなかった。
 日系外国人は就労できる職種に制限がないなど、入管難民法改正案が目指す新たな在留資格を持つ労働者と異なる点もある。しかし、外国人労働者問題に詳しい指宿昭一弁護士は「入管難民法改正案による新制度で来る外国人労働者にも、こうした大規模な雇い止めは起こり得る。だが、現在の法案ではなんら対策が考えられていない」と批判。
「雇い止めされたら仕事の紹介をし、失業給付もきちんと支払うべきだ。現状では3カ月間在留目的の活動をしないと在留資格が取り消されるが、失業給付受給中は取り消さないなどの特例措置が必要」と話す。
 NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の安藤真起子氏は、日本の雇用全体で派遣・請負といった間接雇用は約3%なのに、外国人労働者の間接雇用率は21・4%という国のデータを示す。
「政府の骨子案では新制度でも派遣で雇うことは可能となっており、不安定雇用が続く可能性は高い。1980年代のオーバーステイ(不法滞在)外国人の雇用以降、日系人技能実習生などその都度、外国人労働者を雇用の調整弁にしてきたが、改めるべきだ」と訴えている。