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本音のコラム 「平成の大盤振る舞い」 鎌田慧

 f:id:a-tabikarasu:20181211161038j:plain 1面/2018.12.11

筆洗 2018.12.11 「おじいさんのワッペン」/1面

 おじいさんがリヤカーを引いて、おもちゃを売りにやってくる。機関銃や戦車など他では売っていない精巧なおもちゃの数々。買えば、かっこいいワッペンまでオマケにくれる▼子どもたちはこぞって買い求めるのだが、実はおじいさんは悪い宇宙人。ワッペンにひそかに仕込んだ機械で子どもたちを自由に操り、地球を征服しようとたくらんでいた。子どもの時に震えた物語をぼんやり思い出す。この手の話に詳しい同世代の人間によると「ウルトラセブン」の「アンドロイド0指令」という回らしい▼その製品の中にも怪しいものが…。政府のサイバー攻撃対策担当者の会議は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から事実上排除する方針を決めた。その中身が疑われた▼「悪意ある機能が組み込まれた機器を調達しない」とは菅官房長官の発言である。名指しは避けているが、かなり手厳しい。両社製品を使えば、通信を傍受され、安全保障上の脅威になるかもというのが中国と対立する米国の見立てで、日本もこれに足並みをそろえる形になった▼事実なら、その製品はおじいさんのワッペンであり、調達するわけにはいかぬが、現段階では明確な証拠や手口が示されているわけではなかろう▼後手には回れぬ安全保障の話とはいえ、まず、知りたいのは事実の「中身」である。

 

本音のコラム  「平成の大盤振る舞い」  鎌田慧/25面

 まるで「平成」を足蹴(あしげ)にするように安倍内閣は「平成」時代最後の臨時国会で、いくつかの重要法案を、一挙に争乱のうちに成立させた。「外国人材」の虚名で外国人労働者の大量導入を図る「改正入管難民法」は衆参両院合わせて40時間足らずの討論時間。水道の民営化を促進する「改正水道法」、さらに大企業の漁場進出を助ける「水産改革関連法」など大企業優遇策が深夜から未明にかけ強行採決された。
 「権力を握る側の弾圧として映った」とは、58年前の5月、やはり深夜から未明にかけて衆議院本会議で日米新安保条約を承認した後、安倍首相の祖父が世論の批判を受けての述懐である(『岸信介回顧録』)。
 「昭和の妖怪」「巨魁(きょかい)」と称された岸首相が憲法改悪の悲願を達成できずに退陣したのは、この暴挙に対する世論の反発と大衆的なデモによっている。後世、安倍氏はどう呼ばれることになるか。
 トランプ大統領の安倍首相への感謝の言葉が明らかになって、二人の間に米軍需産業の高額兵器を爆買いする密約があったことが分かった。防衛費が膨れあがっても、日本の兵器産業にまわる資金は払底するほどの大盤振る舞いである。
 日本製護衛艦「いずも」は、憲法違反の「空母」に改造される。破格の価格であるF35B戦闘機を搭載するためだが、これも米国製だ。(かまた・さとし/ルポライター