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<社説>辺野古に土砂 民意も法理もなき暴走

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政府「奇策」連発 普天間22年返還困難 辺野古土砂投入/1面

 政府は14日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部で土砂投入を始めた。埋め立てが本格化し、原状回復は困難になった。辺野古移設に反対する県は反発。来年2月に実施する県民投票で民意を明確にし、対抗する構えだ。玉城(たまき)デニー知事は辺野古沖合に存在が指摘される軟弱地盤の改良工事を巡り、将来的に知事権限を行使する考えも示した。日米両政府による1996年の普天間返還合意から22年を経て移設問題は新たな局面に入った。

 玉城知事は県庁で記者会見し「激しい憤りを禁じ得ない。一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっている」と政府を批判。「民意をないがしろにして工事を進めることは、法治国家や民主主義国家ではあってはならないことだ」とも語った。 <略>

東京新聞:政府「奇策」連発 普天間22年返還困難 辺野古土砂投入:政治(TOKYO Web)

 

<社説>辺野古に土砂 民意も法理もなき暴走/5面

 群青の美(ちゅ)ら海とともに沖縄の民意が埋め立てられていく。辺野古で政権が進める米軍新基地建設は法理に反し、合理性も見いだせない。工事自体が目的化している。土砂投入着手はあまりに乱暴だ。
 重ねて言う。
 新基地建設は、法を守るべき政府が法をねじ曲げて進めている。なぜそこに新基地が必要か。大義も根底から揺らいでいる。直ちに土砂投入を中止し虚心に計画を見直す必要があろう。
 辺野古工事の根拠となっているのは2013年、当時の仲井真弘多知事が公有水面埋立法に基づき防衛省沖縄防衛局に与えた埋め立て承認だ。しかし、県はその後の工事の進め方に約束違反があるとしてこの8月、承認を撤回した。この処分は生きていると言える。
 防衛局は、国民の権利保護のための行政不服審査法をいわば脱法的に利用。撤回の効力停止を身内の国土交通相に申し立て、国交相は当然のように認めた。県は国地方係争処理委員会に国交相の決定は違法だと訴えており、結論はまだ出ていない。
 さらには、埋め立て用土砂の性質や搬出場所、経路なども当初計画や県の条例、規則に反する疑いが続出。県は12日、防衛局に工事即時中止の行政指導をしたものの、国は無視している。
 岩屋毅防衛相は13日、玉城デニー知事との会談で工事を急ぐのは「普天間飛行場の危険性除去」のためと述べ、中止要請を突っぱねた。だが、新基地建設=普天間返還との相関論は破綻寸前だ。
 土砂投入を始めた辺野古崎南側海域だけでも、埋め立てに必要な土砂は約130万立方メートルという。
 防衛局は詳しい工事手順を示していないが、地元の土木技術者は陸揚げ土砂をダンプカーで投入地点まで運ぶ方法では、休みなしに作業を続けても終了に4年を要するとみる。県が新基地完成まで13年と試算したのもうなずける。
 県が算出した工費は約2・6兆円。普天間に駐留する海兵隊の役割も、東アジアの安全保障情勢も変化している。途方もない時間と税金を使った末の普天間返還にどれだけ意味があるか。県民は待つだけか。その労力を米国との交渉に用い、普天間の無条件返還につなげる方が現実的だ。
 あらゆる民主的な主張や手続きが力ずくで封じられる沖縄。そこで起きていることは、この国の民主主義の否定でもある。
 これ以上の政権の暴走は、断じて許されない。

辺野古ルポ「諦めない。止めないと」 沖縄の市民  闘志新た/27面

 政府は14日、沖縄県名護市辺野古(へのこ)の新基地建設に向け、沿岸部への土砂投入を始めた。米軍キャンプ・シュワブ演習場に隣接した砂浜では、市民たちが集まり、怒りの声を上げた。その様子に、警備員が境界のフェンス越しに目を光らせる。夏のような日差しが照り付ける中、集まった人たちは美(ちゅ)ら海に向かって「諦めない」と誓った。 (神谷円香)

 宜野湾(ぎのわん)市の吉岡千絵さん(40)はこの日、午前8時すぎにカヌーで砂浜を出発し、土砂投入が行われる区域へ向かった。海上保安庁に警告されるのは、いつものこと。投入の様子は見えなかったが、土砂を運んできたとみられるダンプカーを見て「どんどんなし崩しになっていく。止めないと」と決意した。
 琉球大への進学を機に熊本県から沖縄に移り、2004年からは仕事の合間を縫い、基地移設に反対する活動を始めた。当初関わった人たちの中には、亡くなった人もいる。県外からも人が集まるようになった。移設を巡る地元の移り変わりを見てきた。
 市民の力で食い止めた部分もあるが、工事は進み、海に土砂が入れられる段階にまで来てしまった。「今日の土砂投入は、もう後戻りできないと印象づけようとする、政府のパフォーマンス。これからどうやって移設を止められるかを考えることが大切」と冷静に受け止めた。
 翁長雄志(おながたけし)前知事の妻樹(みき)子さん(63)も抗議の声を上げた。「翁長の名前が玉城(たまき)デニー知事の邪魔になる」と表に出るのをやめようと思ったが、「黙っていられない、あまりにも情けなくて」と、辺野古入りを前夜に決めた。「翁長の女房ではない、一県民として来た。諦めるなんてとんでもない。県民は負けない」と国への闘志を新たにした。