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<こちら特報部>米国敷く ファーウェイ包囲網

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こちら特報部>米国敷く  ファーウェイ包囲網/26面

 中国通信機器大手の華為(ファーウェイ)を政府調達から排除する動きが広まっている。米国が「安全保障上のリスクがある」としてファーウェイなど中国の2社の製品を政府機関から排除する方針を示すと、日本や欧州などが追随した。米国発のこの包囲網、どういう背景があるのか。 (大村歩)

「安全保障上の懸念」本当にある?
 「ファーウェイにとりサイバーセキュリティーへの取り組みは最重要事項であり、自社の商業的利益をこれに優先させることは決してありません」。ファーウェイ・ジャパンは12月14日、こんな文書をホームページ上に掲載した。「同社製品を分解したところハードウェアに余計なものが見つかった」との報道や、秘密裏にデータを外部に送信する「バックドア」の仕組みが組み込まれているとの報道についても「まったくの事実無根です」と否定。同社のある幹部は「こちら特報部」の取材に「わが社は疑われるようなことはやっていない」と言葉少なに語った。
 1987年にハイテク企業が集まる中国・深せん市で設立されたファーウェイは現在、世界170カ国・地域で事業を展開し、従業員数は約18万人。創業者の任正非氏は人民解放軍出身という。スマートフォン事業で急成長し、世界市場では2018年4~6月期は米アップル社を抜き、韓国サムスン電子に次ぐ第2位を占める。
 こうした急成長に米トランプ政権は警戒感を持っていたようだ。8月成立した国防権限法で「安全保障上のリスクがある」として、ファーウェイと中国通信大手の中興通訊(ZTE)について、政府機関での使用禁止。さらに今月1日、カナダ当局に要請してファーウェイの孟晩舟副会長を逮捕させた。米国は日本や英国を含む同盟国にもファーウェイなどの排除を求めており、総務省は今月14日、第5世代(5G)移動通信システムの周波数割り当て方針で、事実上この2社を排除する項目を盛り込んだ。
 ただ、米国はファーウェイ製品のリスクを具体的に挙げて明らかにはしていない。実際、バックドアなどが本当にあるのか。

トランプ政権 中国の通信事業急成長を警戒
 防衛省を含む世界各国のコンピューターセキュリティーに詳しいコンピューター企業幹部は「どんな高級なタワーマンションでも管理人が非常用のマスターキーを持っているのと同じで、コンピューターのメーカーは遠隔メンテナンスなどのためにバックドアをつけるのはこの世界の常識だ」という。
 そもそも米国自体、安全保障・テロ対策を名目に自国のコンピューター・通信産業に対し、バックドア設置や通信傍受に協力させてきたことが、国家安全保障局NSA)元局員のエドワード・スノーデン氏による暴露などで明らかになっている。「バックドアは誤作動を起こさせて大規模な通信障害などの『テロ』も起こせる。米国は自らそういう仕掛けを作ってきたから、ファーウェイ膨張の危険性を考えたのだろう」
 一方、明治大の海野素央教授(異文化コミュニケーション)は「20年の大統領選で勝つためにトランプ大統領が仕掛けたのだろう」とみる。
 海野氏によれば、中国政府・軍と連携するファーウェイは普通の民間企業ではない。米議会では、中国によるサイバー攻撃などには共和、民主両党とも警戒感が強く、孟副会長の拘束など、強硬措置に対しても反発は出にくい状況だ。
 「国内のIT関連産業を守る一方、米中貿易戦争で有利に立てるメリットがある。前回の大統領選でロシアとの関係が疑われるトランプ氏だけに、ロシアから中国へ国民の目先を変える意味もある。次期大統領選に向けた動きが始まる来年の最終盤まで対中貿易戦争を引っ張り、いいタイミングで勝利宣言してアピールするのではないか」