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「令和」祝賀ムード 「国威発揚に危うい空気」

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本音のコラム「女性天皇」 師岡カリーマ/19面

 「日本で新天皇即位、夫人はそれを見ることが許されず」。女性皇族が出席しなかった「剣爾(けんじ)等承継の儀」を、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙はこのような見出しで報じた。代替わりという歴史的瞬間における女性排除の特異性が強調されてしまった形だ。
 本紙によれば「前例を覆して女性皇族を入れれば理由が問われる」というのが政府の立場だというが、理由なら容易に説明できる。儀式における洋装も、かつて「前例を覆した」結果だ。現代の女性皇族はさまざまな公務を担っており、私生活も犠牲になっている。大切な儀式から締め出されるのは不可解だ。
 人目に触れぬよう女性を隔離する伝統が続く国ならまだしも、日本は違う。外交の場には夜会服で姿を見せる女性皇族の儀式不在は、明らかに矛盾だ。女性蔑視と解釈されても仕方がない。
 ちなみに「女性隔離」で真っ先に浮かぶのがアラブ・イスラム世界(に一部伝わる文化)だと思われるが、アラビア語メディアでも「女性が除外された儀式」と報じられた。
 かつて天皇を男性に限定した根拠はいろいろ挙げられるだろうが、いまどき女性でダメなわけがない、とある多国籍なおしゃべりの場で発言したところ、アラブ人の間でも保守的な部類に入る男性がこう言った。「むしろ女性のほうが適任かもしれない」。 (もろおか・かりーま/文筆家)

 

「令和」祝賀ムード 「国威発揚に危うい空気」/20面

 皇室の代替わりを巡る政府与党や企業、国民らの祝賀ムードや「令和」商戦、各種イベントの様子をメディアが大量に報じている。識者からはこうした空気に、天皇の政治利用や国威発揚の危うさを指摘する声が相次いでいる。
 今回の代替わりを巡っては、各地でちょうち ん行列や「令和」の人文字が行われたり、商店街に奉祝の横断幕が掲げられたりした。
 天皇の退位は約200年ぶりで、江戸後期の光格天皇から仁孝(にんこう)天皇への譲位以来。東京大の藤田覚(さとる)名誉教授(日本近世史)は「当時の譲位の行幸が描かれた絵図には、京都の人々の様子が描かれている。めったに見られない珍しいものを見ている感じで、祝う雰囲気はない」とし、今回とのムードの違いを指摘。「平成への代替わりは『自粛』の同調圧力が強かったが、今回は『祝え、祝え』という同調圧力が強い」とみる。
 近現代史研究者の辻田真佐憲氏は「天皇陛下御在位30年記念式典」や首相官邸が「令和」発表でインスタライブを活用したことなどを挙げ「今の政権による国威発揚は五輪まで続くのは間違いない」と危ぶむ。
 安倍晋三首相は4月1日、菅義偉官房長官が新元号発表後に自ら談話を読み上げ、NHK民法の番組に出演した。辻田氏は「会見やテレビで、万葉集には天皇から庶民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められていることに触れながら、一億総活躍という自分の政策をアピールした。政権浮揚への利用に全くためらいがない」と元号天皇の政治利用を非難する。
 「公文書改ざんや統計不正問題など、国家の根本的な部分で機能不全になっているのに、代替わりを巡る一連の大騒ぎが政権批判をすべて吸収している」と話すのは、京都精華大白井聡専任講師(政治学)だ。
 自民党は5月1日、若者をターゲットにした令和時代の新たな広報戦略「#自民党2019」プロジェクトを始め、ユーチューブに、安倍首相と10代のアーティストやダンサーらが共演する動画を投稿した。白井氏は「自民党がターゲットにしたのは若者と子ども。彼らに集中的にプロパガンダ(政治宣伝)することで、一気に改憲にもっていこうとの戦略がはっきりしてきた」との見方を示した。 (神野光伸、西田義洋)