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首相演説中 警察がヤジ排除

こちら特報部> 首相演説中 警察がヤジ排除/28面

 15日に札幌市であった安倍晋三首相の参院選の応援演説で、「帰れ」と叫んだ男性と「増税反対」と叫んだ女性が相次いで北海道警の警察官に取り囲まれ、体を押さえられて無理やり移動させられた。道警は排除した理由を「トラブル防止のため」と説明するが、専門家は「具体的な危険がなく、不適切な強制力の行使だ」と中立性に疑問符を付ける。 (皆川剛)

体つかみ強制移動 道警「トラブル防止」と言うが… 
 演説は15日午後、JR札幌駅前であった。首相は自民党参院選公認候補とともに選挙カーに登壇。候補者の演説に続き、首相がマイクを通じて集まった聴衆に礼を述べた直後、20メートルほど離れた道路の反対側で、札幌市のソーシャルワーカーの男性(31)が大声でやじを飛ばした。
 男性によると、両手を口の周りに当てて「安倍辞めろ」「帰れ」などと6、7回叫んだところ、警察官の一人が背後から男性の腕をつかんだ。他の制服や私服の警察官数人も加わって男性の体をつかみ、選挙カーから無理やり遠ざけた。
 その直後、「増税反対」「安倍辞めろ」などと叫んだ同市の大学生の女性(24)も排除。女性によると、選挙カーから40メートルほど離れた場所で8人ほどの警察官に囲まれ、両腕をつかまれて引き離された。
 二人は再び選挙カーへ近づこうとしたが、ともに警察官が立ちはだかって先に進ませないようにした。
 男性は、仕事で生活困窮者と関わることが多いという。取材に対し「庶民の生活は苦しくなる一方なのに、一部の富裕層や企業、友だちに利益を誘導し、米国の戦闘機は大量購入する。安倍政権に批判の声を届けたかった」とやじを飛ばした動機を説明。「警察の物理的な強制力よりも、目に見えないが気が付いたら発言の自由が奪われているという、この状況の方が怖い」と危ぶむ。
 街頭でやじを飛ばしたのは初めてという女性は、「男性が強制的に排除されているのに聴衆は誰も気に留めず、安倍首相も何食わぬ顔で演説を続けているのを見て、何か言わずにはいられなかった」と振り返る。「警察の恣意(しい)的な基準で自由を奪われる人を見ているだけの人の自由も、いずれ制限されてしまうと思う」と声を震わせた。
 <略>
 公職選挙法は演説の妨害を禁じるが、園田寿・甲南大法科大学院教授(刑事法)は「やじを飛ばすだけで演説が不可能になることはありえず、選挙妨害には当たらない」と指摘。「現にトラブルが起きておらず、周囲の聴衆がやじに反応するなど具体的なトラブルの兆候もない段階で強制力を行使したのは、明らかに不適切だ。他の政党の演説で同様の排除がなされるかも疑問だ」と批判する。