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トリエンナーレ補助金 再開直後の不交付

トリエンナーレ補助金 再開直後の不交付/29面

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、文化庁が芸術祭への補助金の不交付を決めた。関係者からは「文化の危機」「忖度(そんたく)が広がりかねない」と怒りや不安の声が上がった。 (小倉貞俊)=1面参照

 「愛知県知事が展示再開を目指すと表明したばかりだったのに…」。憤りをにじませるのは、企画展に靖国神社参拝を批判する紙などを張り付けた立体作品を出品した造形作家、中垣克久さん(75)。「展示内容を疑問視してきた菅義偉官房長官河村たかし名古屋市長らの発言からみても、手続きの不備で補助金を交付しないのは表向きの理由でしかない」と断じる。
 さらに「多様な価値観を認め合うべき文化・芸術分野に、政治や行政が介入するのは、社会が統制された戦前にも似て歴史的な危機。末期症状であることに気付かない人は多い」と語気を強める。
 同じく企画展に出品した芸術家グループ「Chim(チン)↑Pom(ポム)」はツイッター上で「あり得ない。日本の公共的文化制度が終わります。こんな前例ありますか。これがまかり通って良いのでしょうか」とコメントした。グループの出品作品は、原発事故の被災地を舞台にした映像作品。説明文には、過去に別の展示会に出そうとした際、主催者から「安倍政権になってから、海外事業へのチェックが厳しい。福島、慰安婦、朝鮮などはNGワードで、背くと首相周辺からクレームが来る」との趣旨の説明を受けたと明かしている。
 有識者や市民でつくる「表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク」を七月に立ち上げた世話人の一人、武内暁さん(70)は、文化庁の不交付決定について「これを機に、政府の意向を忖度する空気が、いっそう広がりかねない」と危ぶむ。
 行政などによる表現の自由への侵害行為が全国各地で起きていることを注視しており、26日も東京都内で関連のシンポジウムを開催。「政府の意向にそわない展示には補助金を出さない、という構図にみえる。国民主権の前提である多様な意見が抑圧され、公共機関にも民間にも自粛ムードがまん延しつつある。われわれ一人一人が、今こそ問題を考えていかなければ」と力を込めた。