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トリエンナーレ補助金不交付 有識者委員が辞意

トリエンナーレ補助金不交付 文化庁有識者委員が辞意/1面

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(14日まで)に対し、文化庁が一度採択した「文化資源活用推進事業」の補助金7830万円を交付しないと決めた問題で、文化庁が設置し採択の審査をした有識者委員会の委員1人が辞任を申し出たことが分かった。不交付は委員に相談なく文化庁内で決定され、その際の議事録が作成されていないことも判明した。 (谷口大河、柏崎智子)

 辞意を伝えたのは、鳥取大の野田邦弘・特命教授(文化政策)。
 文化庁は不交付決定を9月26日に発表したが、野田特命教授によると、事前に委員への相談はなく、29日になって同庁の担当者から連絡があった。担当者は不交付は展示内容ではなく、申請内容が不適当という事務的な理由で決めたため委員には諮らなかった、と説明したという。
 野田特命教授は取材に「納得できない。相談なく決めるのなら委員を置く意味がない」と批判。要綱などに定めのない安全性にかかわる報告の有無を理由に不交付を決めたことに「後出し(の理由)で不交付にされたら、自治体はたまったものではない。文化だけでなく、学術研究などあらゆる知的活動が自粛していく」と強い懸念を表した。
 また、同庁が不交付を決めた際の議事録も作成されていないことが判明した。共産党の本村伸子衆院議員が経緯を知るため文部科学省に議事録の提供を求めたところ、同庁から「議事録はございません」と1日付の文書で回答があった。
 回答後に、本村議員が担当者に「恣意(しい)的な決定でないとどう証明するのか」と尋ねたが、「法令に基づき決定した」との回答にとどまったという。本村議員は「異例中の異例のことをしたのにプロセスが分からないのは大きな問題。知る権利や民主主義を守れない」と批判している。
 同庁は、採択は有識者が審査するが、補助金交付は同庁の裁量で、不交付を職員が決めたのは問題ないと説明する。しかし、西尾隆・国際基督教大教授(行政学)は「採択と補助金交付は一体。採択されても補助金がもらえない事態になれば行政システムが機能しなくなる」と指摘。
 さらに、不交付を職員だけで決めたことは「文化に対し、政治や行政は『金は出すが口は出さない』のが原則なので、補助金の対象事業の採択は外部の有識者に審査を依頼している。その後に不交付を事務レベルで決めてしまうのは、政治的な介入をさせないためのしくみを無意味にし、極めて不適切」と批判する。